376 / 410
本編 学園中等部編
229
しおりを挟む《テオの様子は神界から偶にだが見ていた。ノアにしたのだな》
呆然とするルーカスに、ルミナスはそう言った。するとルーカスとリヴァイはハッとして答える。
「うん。僕はこれから先もずっとリヴと生きていきたい」
《では寿命を無くす伴侶はノアで良いのだな?》
「リヴが良い」
ルーカスは真剣な表情でルミナスの言葉に答えた。
《分かった。だがまだ寿命は無くせない。その為にはテオとノアには話しておかなければならないことがある》
〈そうね。とても大切な話なの。聞いてくれるかしら?〉
フロースがとても暗い表情でルーカスとリヴァイに尋ねると、2人は了承する。
その返事を聞き、ルミナス、フロース、グラキエスは、悲しそうな暗い表情で話し始めた。
今から3万年程前、神界では紛争が起きていた。
神界には神々を纏める長老と呼ばれる者達がいる。長老はそれぞれの神の管轄を決めたり、堕落した神に制裁を与えたりする立場である。
神界は長老達に統率されて、長らく穏やかな時が過ぎていた。
ルミナス、フロース、グラキエスの三神は自身の管轄に関する仕事やそれぞれ光、花、氷の神力を使い下界の均衡を保っていた。
そして休息の時はこの三神はいつも共にいた。もう一神を加えた四神で。
そのもう一神とは冬の神イヴェールである。
「冬の神……確か神書には堕落し長老が魂を消滅させたと……」
《ああ》
⟬イヴェールの魂は消滅した……⟭
〈そのはずだったのよ。けれど今、その魂は私達の目の前にいるわ!〉
フロースは泣きそうな嬉しそうな瞳でそう言い、何故かルーカスの事を愛おしそうな表情で見つめた。
「……どういう事でしょうか」
⟬イヴェールの容姿は、少し青みがかった透けるような白の、腰まである長髪と宝石のような瞳だった⟭
〈影が落ちると少し水色にも見えるような不思議な色を持っていた。この世でその色を持つのは唯一、イヴェールの魂だけだった。
そしてイヴェールは、右の額に真っ白な雪のような角と、翼を持っているわ〉
そのグラキエスとフロースの言葉にルーカスとリヴァイは言葉が出てこない程驚いた。
それもそのはず、グラキエスとフロースの言うイヴェールの容姿は、ルーカスの容姿と全く一致したのだ。
《恐らくイヴェールの魂は、長老によって消滅させられそうになった時に、時空に迷い込み異なる世界の下界に行った。そして新しく人間の体を手に入れた。その体の名前が翠だ》
「待って? 容姿なんて偶然、似ただけかもしれない。そもそも、神が人間に生まれ変わることなんて有り得るのかい?」
⟬イヴェールは冷徹な神だった。自身や他人に関心を持たず冷酷な裁きも顔色一つ変えずにこなした。だが、友である私達には慈悲深く優しい奴だった。容姿だけでは無い。性格までテオと全く同じだ⟭
〈それにね、テオ。貴方がイヴェールの生まれ変わりである決定的な証拠があるの〉
「証拠……?」
フロースは物凄く真剣な表情でルーカスを見つめながらそう言った。
〈神にはそれぞれの神力があるの。花の神ならば花を咲かせ成長させたり枯らせたり出来るわ〉
光の神は光を操り治癒も出来る。氷の神は氷を操り何も無い場所から氷を生むことが出来る。
〈そして冬の神であるイヴェールは氷を生む他、空気や水等を何でも冷却する事が出来たわ。その冬の神力が、テオが今まで魔力だと思って氷を生み出していた力よ〉
氷の魔法は冬の神力だった……?
「けれどそれならば、僕はどうして他の魔法を使えるんだい……?」
《テオの人間としての肉体に魔力が有るからだ。そして神力は魂に刻まれている。テオは神力と魔力の2つの力を持っているのだ》
〈そしてもう1つの証拠は、神界に来たノアが、私達を目にしても跪かなかったことよ〉
突然自身の名が出た事にリヴァイは驚く。そしてルーカスとリヴァイはフロースの言葉の意味が理解出来ずに不思議そうにする。
〈神界は神の領域。神界には様々な神の神力が満ち溢れているわ。ノアは今、その圧力を感じているはずだわ〉
「……そうなのかい?」
「…恐らく。神殿の祈りの間にいる時と似たようなプレッシャーを、比べ物にならない程感じております……」
《普通ならばそのプレッシャーに気圧され、神と対面した瞬間に強制的に跪かされるのだ。だがノアはそうではない》
⟬信じる一神を決めた者には、その一神にのみ跪かされるのだ。ノアが心から忠誠を誓っている者は誰だ?⟭
それは答えを聞くまでもなく分かりきった質問だった。リヴァイが心から忠誠を誓うのはルーカスだ。
27
あなたにおすすめの小説
ユキ・シオン
那月
BL
人間の姿をした、人間ではないもの。
成長過程で動物から人間に変わってしまう”擬人化種”の白猫青年と、16歳年上のオッサンとのお話。
出会ったのは猫カフェ。白猫従業員としての青年と客としてやってきたオッサン。
次に再会したのは青年が人間として通う大学。オッサンは保健室の先生だった。
青年が金のためにヤバいことをしていて、あるトラブルが起こる。
そこへ見計らったかのようにオッサンが飛び込んで救出したのをきっかけに2人の距離は縮まり……
※表紙絵は自作。本編は進むにつれてどんどん動物園と化します(笑)
寄るな。触るな。近付くな。
きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。
頭を打って?
病気で生死を彷徨って?
いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。
見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。
シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。
しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。
ーーーーーーーーーーー
初めての投稿です。
結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。
※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。
転生したら嫌われ者No.01のザコキャラだった 〜引き篭もりニートは落ちぶれ王族に転生しました〜
隍沸喰(隍沸かゆ)
BL
引き篭もりニートの俺は大人にも子供にも人気の話題のゲーム『WoRLD oF SHiSUTo』の次回作を遂に手に入れたが、その直後に死亡してしまった。
目覚めたらその世界で最も嫌われ、前世でも嫌われ続けていたあの落ちぶれた元王族《ヴァントリア・オルテイル》になっていた。
同じ檻に入っていた子供を看病したのに殺されかけ、王である兄には冷たくされ…………それでもめげずに頑張ります!
俺を襲ったことで連れて行かれた子供を助けるために、まずは脱獄からだ!
重複投稿:小説家になろう(ムーンライトノベルズ)
注意:
残酷な描写あり
表紙は力不足な自作イラスト
誤字脱字が多いです!
お気に入り・感想ありがとうございます。
皆さんありがとうございました!
BLランキング1位(2021/8/1 20:02)
HOTランキング15位(2021/8/1 20:02)
他サイト日間BLランキング2位(2019/2/21 20:00)
ツンデレ、執着キャラ、おバカ主人公、魔法、主人公嫌われ→愛されです。
いらないと思いますが感想・ファンアート?などのSNSタグは #嫌01 です。私も宣伝や時々描くイラストに使っています。利用していただいて構いません!
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』
かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、
転生した高校時代を経て、無事に大学生になった――
恋人である藤崎颯斗と共に。
だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。
「付き合ってるけど、誰にも言っていない」
その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。
モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、
そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。
甘えたくても甘えられない――
そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。
過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの
じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。
今度こそ、言葉にする。
「好きだよ」って、ちゃんと。
嘘はいっていない
コーヤダーイ
BL
討伐対象である魔族、夢魔と人の間に生まれた男の子サキは、半分の血が魔族ということを秘密にしている。しかしサキにはもうひとつ、転生者という誰にも言えない秘密があった。
バレたら色々面倒そうだから、一生ひっそりと地味に生きていく予定である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる