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第3章 聴講生になったので、自由にします!
上級ダンジョン踏破!
しおりを挟む羽虫たちの居住区、意外と広くて、31~34がダンジョンの階段以外の場所で繋がっていて、驚いた。
フィールド階層なのに、罠の様な穴が開いていて、羽虫達はそこで移動してる模様。
そうそう、下位の階層にあったと言って、レイトル達が食べ終えたマジェスタの実の種を出せば……
種の状態でごめんねえ。だけど、それでも羽虫達大喜びしてた。
羽虫達の大好物の1つなんだそうだ。
幾つもあったんだけど、密集しては植えられないので、点在させて植えて欲しいと頼まれてねえ。
それで、31~34階層、妖精の森とか呼ぶ階層をウロウロしてたの。
意外と広くあるけど、害ある冒険者であれば、弾き出す煙幕の様なトレントの群れの森の中だからねえ。
一応、受け入れられてる自分は、倒さずとも漆や樹液の壺を貰うだけじゃなく、果物や野菜を貰う事も。
この階層に来て、初めて知ったトレントの情報は、林檎の実の様な形で白い実は、稀に出る回復の実で……
HP、魔力は当たり前で、食べた個体の欠けたものを元に戻すっていうのが、本来の効果……
さすがに、不老不死効果はないけど、かなりヤバい代物でした……
白じゃない果物は通常より魔力が高い程度だそうだけど、1本の木に多種類の実がなるのは不思議だ。
そのトレントをフルーツトレント、色んな野菜が生るトレントをベジトレントと言うらしい。
トレント何百本の内数本の割合で、条件が重なると現れるそうだ。
先日、ダンジョンの外で遭遇したフルーツトレント、やっぱり凄く貴重だったじゃないか!
で、害がある冒険者は、周辺部を回って、次の階層を目指すけど……
害がない冒険者であれば、この階層はセーフティエリアみたいなものなので、この場所で暫し休憩してるみたいだった。
薬師2人居る老人ズを心配して、一緒にと申し出る様なパテなんかは、羽虫たちに受け入れられるんだねえ。
この階層だから見えてるのかは分からないけど、興味深げに彼らを見てる羽虫たちが居るけど……
彼らにくっ付いてる羽虫は居ない様だった。
ちなみに、彼らのパテの女性陣はもふもふ好きなのか、自分の肩に居るタミアのイベルダをチラチラ見てる。
けど、レイトルもだけど、自分以外に触られるのは嫌みたい。
何でも、手は魔力を出力する場所でもあるので、契約主以外の魔力を感じると、気分が悪くなるんだって。
最悪、体調を崩すそうなので……
理由も含めて、そう口にすれば、実に残念そうだった。
でも、納得もしてたけどね。
「言われてみれば……」と言って、自身の手を見てたもん。
そうそう、この上級ダンジョンが50階層が最深部だと、ギルドが発表したのと、薬師が欲しい物が揃うと内容を付け足した事で、上級の冒険者が戻って来てるみたい。
まあ、初踏破の記録と宝箱が狙いなんだろうけど。
勇者の剣がこの地域の中級ダンジョンで出たのは、冒険者なら知っていて、一時期、この近辺に魔王城がある。なんて噂があった所為でなのか、人が減ってたんだ。
冒険者の出入りが少なくなれば、森からのスタンピード以外に、辺境伯領の兵たちを注ぎ込まなければいけない処だった。
いくら、ワイバーンを手懐け、飛龍隊なんて物ができ、空を飛んでみたい連中が押し掛けて来てたとしても。
自分たち老人ズ、初踏破は目指してないので、40階層のボスで上がって来たんだけど……
35階層のボスはエンシャントトレントで、素材を残すのに、火は使わず、風で切り刻んだんだ。
勿論、根っこを使われたり、近寄って来ない様に、土魔法でコンクリートの様に固めてだけど。
数分間、刻み続ければ……終了!
刻んだ資材はダンジョンでも消えないと実証済み。
まあ、大概、トレントの核の魔石は根っこと幹との境にあるので、火魔法だと広範囲の上級を使って滅さないと届かないけど……
土の槍で深く突き上げれば、意外と早く倒れるよ。
今回は、エンシャントの資材が欲しかったら、この方法をとったけど。
婆ちゃんは呆れ顔だったけどね。
それで驚きだったのが36階層からだよ!
海!それも北海!
中級ダンジョンにあったのは、黒潮の様な温かい海流が近場を通る南国の海だったと、違いが分かる海だった。
白波を立てる荒れ気味の海の為、海岸べりでBBQは無理だけど……
この環境であれば、蟹だよ蟹!
あとは、荒巻じゃないけど、鮭!
中級ダンジョンでは、鰹や鮪系が取れたけど、鮭や秋刀魚など、親潮系の魚介類が居ないなあって思ってたの!
採るぞ!って思ったけど、さすがに荒れ模様の漁場では難しいので、しばらく休憩。
その間に、一網打尽にするべく、切れない破れない大きな網を作り上げただけじゃなく……
魚の位置探知の為のソナーを作るのに、魔道具作成。
晴れてから望むのに有した時間、2日。
フレスベルグ夫婦に、網の端と端を咥えて貰い……
作った飛行魔道具の箒に、自分は乗って、作戦開始!
レイトルは、自身が天馬の様に飛べないので、地団駄踏んでたけどね。
そうイベルダは、自分の首巻になってるんで。
ソナーの魔道具を作動させ、群れの真上で、フレスベルグ夫婦に網を投下して貰い……
自分が網を魔法で引き揚げると!
この要領なので、深い位置の魚には無理なんだけど。
海底に居る蟹対策は、その網で地引きする予定。
大量の秋刀魚以外に、鰯、鰯の群れを追ったホッケなどの大型魚が網に入っていて……
大量、大量!とホクホクしながら、氷魔法で絞めて、インベントリに放り込んだんだ。
アンチョビが作れるよ!
その足で、海底の谷になってる場所を、ソナー作ったけど、探査魔法で探れたよ、残念。
蟹の位置を赤に設定して、網を投下して、探査結果を見ながら、引きずってから海上に引き揚げ。
大量の蟹確保に、嬉しげに見てたら……
おー!ホタテもある!アワビも!ウニも!
地上に上がったら、コーデリアに送ろうと思ったくらい、沢山取れた!
そんな階層だったので、アザラシやトドの魔物も出て来てたけど、ラッコやペンギンが可愛い~!
のだけど、魔物だから。
召喚獣にならない限り、魔物は魔物。
襲って来たので倒したけど、脂肪たっぷりの肉は要らないよ!
確かに、毛が密集した毛皮は艶やかでビロードの手触りで、王侯貴族が欲しがりそうな逸品だったけど。
その中にあった、訳が分からない「セシーの滴」って何?
鑑定によれば、ラッコの様な体型になれる代物で、ラッコの成分で出来ているって……
不気味~!
ちなみに、ボスはシーサーペントだ!と思ってたら、
婆ちゃんに「ちゃんと鑑定しな!」と言われて……
さすが上級ダンジョンだけあって、Sランク。
んん?Sランク?
シーサーペント、中級ダンジョンの上級コースに出て来たけど、Aだったよね?
あれ?あれとは別物?
だって、退化したのか足が残ってない!
だからと言って、ウミヘビタイプではなく、大きなひらひらとしたエラがあるって事は魚系。
だけど、大きく開く口は、顎を外せる=蛇やトカゲ系。
かと言って、ドラゴン系でないのは分かる。
まあ、東洋系の竜種には似てるかもだけど。
あ、よく見たら、カイザーだって。
目を爛々と光らせ、睨めつけて来てたんだけど……
さすが不可思議ダンジョンのボス部屋だけあって、水族館の巨大水槽の前に居るみたいだったのよ。
この量の水圧を耐えるって、ガラス?スライムゼリー?
そんな事を考えてたら、婆ちゃんたちが何やら、ブツブツ言ってたけど、攻略かな?
「あの威圧を感じないとは、大物ですな」
「鈍感なだけじゃろ」
自分が水槽を気にして、魔法を使ってるのに、レイトルが繰り出した蹴りと氷と雷の連打で、水槽木っ端微塵に……
押し寄せるだろう海水に躊躇してたのに、海水、何処に行ったの~!?
その為、ビタビタと暴れるヤツをボコってる召喚獣達に、自分が放心してた。
インベントリになおした巨大な皮は、目の覚める様なマリンブルーだったよ。
肉の重量もトンクラスだったんだけど……
今度は売らないよ、雑食の召喚獣たちが食べたそうに見てるから。
一旦、外に戻りはしたけど、直ぐに41階層に戻ったのは……
薬師求む!のヘルプが入ったので。
勿論?婆ちゃんたち老人ズも居るよ。
41階層に降りて、薬師を求めた理由判明。
冷却の魔法薬が必須の火山地帯だったから。
まあ、冷却以外にも、火傷治療の薬も居るんだけどね。
ヒーラー・治癒士、パテに居たけど、魔力は使えば減るから、バトル中の回復要員として置いておきたいからねえ。
だって、炎を纏った魔物だよ!?ヘルハウンドだよ!?
そう思って、悲壮感ただよってたのに……
コメディかよ!
レイトルたち、氷魔法を使う者多かったけど、一面氷河してしまった。
自分を含め、唖然とするのも仕方ないよ。
でも、隊長が「急げ!駆け抜けるぞ!」と声をあげたので、気付いた。
火山地帯を氷河に出来るのは、数分みたいだって。
レイトルたちに沢山の魔石が提供され、45階層のボス部屋まで、文字通り駆け抜けた。
ただ、ボス部屋の魔物がアースドラゴンになっていて、死闘になりはしたけど、クリア出来た。
出来たけど、あくまで45階層のボスだから。
ラスボスじゃないから。
戦々恐々で、46階層に降りたら……
天国への階段の様な、数え切れない程の光り輝く階段があって、みな、周りを警戒しながら、上がり始めた。
結果から言えば、戦闘すれば殺り返されるので、手を出さない様にすれば、50階層に辿り着けた。
武器をなおせ。と、老人ズが言わなければ、手を出してたと思うんだよね。
自分は討伐以前に、あちこちに生えてる神話級の薬草に、採集支度になってたけど。
エリクサー以外にも、霊薬やアムリタなどを作るのに必須の材料が~!!
みなが警戒しながら進む中、ホクホクしながら採集して歩いてた。
50階層に着けば、上は雲に隠された巨大な扉があって……
「死線をくぐり抜けた者でなければ入れぬ」
そんな声が聞こえたと思ったら、自分以外の者、誰も居なかったんだけど……
居た場所に覚えがあった。
放置案件!?と思った、真っ白な空間だったの。
だけど、前回と違って、視線を感じていて、ゆっくりと目線を上に向けたら……
物凄く大きな白い者が居て、見下ろしてたんだけど、恐怖は感じなかった。
「ほぉ」と漏らした者、ふっと微笑んだ。
「命大切に、そなたに幸あれ」
そう言われたと思った瞬間、風景が変わっていた。
老人ズ以外の者たちは、一様に興奮して踏破を喜んでいて、宝箱を開けて居る。
そんな中、老人ズだけは顔を強ばらせていて……
「無事で良かった」「何処に行っとったんじゃ」
相次いで、質問された。
「自分にとって、始まりの場所に居た」
そうとだけ告げれば、「そうか」としか言われなかったけど……
婆ちゃんに、「自身を鑑定だけしときな」と言われた。
首を傾げながら、鑑定すれば、大声をあげそうになった。
限界を超えし者って、何それ!?
こんな称号で、お腹は膨れないんだよ!
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