獣人世界へ、ようこそ?

ふにゃー

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  女将さんのマディさんに、手厚く世話されたからか、目覚めて4日後には歩き回れるくらいになった。

  倒れてた自分を介抱してくれたお礼をしたいと言えば……

  「嫌だよ~、そのくらいは当然じゃないか」と言われはしたが……

  さすがに、あ、そうですかで済むわけにはいかないし、お金をっていうのは、今の状況の自分には出しづらい。

  婆ちゃんの薬屋を引き継いでたから、お金無い訳じゃないけど……

  今後を考えたらって事で、店の手伝いをする事にした。

  だって、女将さんの店「熊の隠れ家」って、従業員が居ないのに、隠れ家っていうだけあって、とっても美味しかったの!

  ラノベである様に、調味料は塩が基本ではあるけど、香草が使われているし、パンも天然酵母で作ってた。

  そう、アッチのラノベの記憶があって、結構、参考になってる。

  ただ、生サラダというのは、有り得ないそうだ。

  ドレッシングやマヨネーズで、チートと思ってたのに……

  何が掛かってるか、どういう状態で育ったか分からない野菜は、火を必ず入れないと、お腹を壊すのが必至みたい。

  虫の卵がついてたり、獣の排泄物が入った水で水やりされてる場合もあるので……

  だから、水も、魔道具の蛇口から出るのは大丈夫だけど、井戸からや川の水は、飲料にしてはいけないもよう……

  そう言われれば、婆ちゃんのところでも、そんな事を言われた様な覚えが……

  あー、それで畑に野菜があったのか。

  それに、そういう状況になって駆け込んで来る人への薬、作ってた気がする。

  同じ意味で、卵はコッコの養鶏がされてる様だけど、生はダメ。と知られてる。

  確かに、卵の殻に菌が付着してる場合があるから、光による除菌をして売られてたっていう記憶があるので分からない訳ではないけど……

  何で知ってるんだろ?  ここの人。

  なので、煮る焼くに関しては、試行錯誤がされてるみたい。

  乳や肉の加工品、チーズやバター、ベーコンにソーセージは存在してるので、産業革命以前のヨーロッパって感じの料理だね。

  だからか、意外と繁盛していたので、手伝う事にしたって訳。

  それが1番のお礼になりそうだったから。

  「薬師様だっていうのに、悪いねえ」とは言ってたけど……

  本当に困ってた様だったので、断られなかった。

  というのも、自分としても、薬屋を開くのであれば、店探しとか色々と用意しなくてはいけない事もあったから……

  その間、宿を取ってたら、ただでさえ多くないお金が減っていっちゃうので、win-winの関係って事で。

  まあ、働き出す前に……

  この町に移って来たと登録するとかの手続きが待ってたんだけど。



  持ってたギルドのタグは、冒険者、商業、薬師3つを兼ねるものだったので、歩き回る事に。

  この町「トワイゾ」は、フライハイト魔法大国の中では辺境にあたる。

  生まれたエスペラント王国とは友好国だったので、国境に緊迫した雰囲気はなかったけど、今後、どうなるかは分からない。

  といっても、フェラージ帝国と戦端が開かれてるリナペッタ辺りから、魔法大国との国境まではかなり離れてはいるようだけど……

  きっと、エスペラント王国は援軍を魔法大国に要請していない筈がない。

  そんな間柄だから、この町はかなり発展して大きい様で……

  覚えてなかったけど、10m強の城壁に囲まれていて、自分、ギルドタグで潜ってたみたいだった。

  まあ、薬師のギルドは出張所ではあったけど。

  商業、薬師どちらのギルドでも、回復薬ポーションの在庫はないか?と聞かれたので、あるだけ全部売り払った。

  置いておいても、栓して封蝋してあって魔法袋に入れていても、劣化して行くので。

  その売却益があっても、店を探し開いてとなれば、回復薬ポーションは高いので雀の涙ほどとは言わないけど、足りない。

  ちなみに、雀は居ないよ。

  代わりじゃないけど、朝から煩いまでに鳴いてるのが居る。

  頭が黒く、頬の辺りが黄色い、ボディは灰色で尾と羽根の先がが白い。

  可愛く見える小鳥だけど、可愛くチュンチュンじゃなく、ケーケーと鳴くんだよ。

  それも結構な声量で。

  電線がないから、町中では屋根や窓の僅かな出っ張りに居るので、寝てる窓で鳴かれると……ね。

  安眠妨害な小鳥だけど、薬屋が大概、裏庭で作る薬草に付く虫を食べてくれるので、益鳥。

  と言っても、小さな角があるので、魔物なんだけど……

  そういえば、雀の様な名前を知らないな。


  食堂ではウェイトレスとして、働いてる訳だけど……

  いずれ、宿も出来る様にって事で、建物は大きくて、自分は3階の1室を借りてる。

  形はスイスの山小屋ロッジ風で、家族用の部屋は上がる階段を変える事で、分けられてるらしい。

  マディさんが相談した地域の衛兵さんが、食べに来てたのでお礼を言ったんだけど……

  灰色の狼獣人で、人型だけど、ふわふわの耳と尻尾が付いていて、顔はキリッとしてカッコ良かった。

  そこに、衛兵の制服に、鍛えられてると分かる体躯……

  ナニソレ……アプローチするほど肉食系じゃないけど、惹かれるでしょ。

  獣型の獣人の様に、身体は大きかったけど、獣型は二足歩行して服を着た状態なので、自分的にはちょっと……

  違和感を覚えちゃって……

  で、ウェイトレスといっても、注文はほぼ一択、「今日のおすすめ」

  メニューはあるんだけど、そっちは頼むと出て来るまでに時間が掛かると、皆さん分かってるのか、「今日のおすすめでー」と頼まれる。

  ちなみに、サービスの水なんて出ない。

  大概が、ラノベ定番の「エールで!」  だ。

  ワイン煮込みが料理にあるので、ワインもあるのだけど……

  ワインといっても、アッチでいうにごりワインレベルのもの。

  漉すという1工程を入れるだけで、良いワインになるんだけど……って、これは平民用のか!

  貴族のワインとは贅を尽くした高級ワインって事ね。

  エールも、ホップとか入れてビールになったのが、高級レストランみたいなところにはあるのかもしれない。

  ちなみに、エールはなんか酒精が腑抜けた感じな上、温度も生ぬるいから、美味しそうに飲んでるけど、美味しくはない。

  冷やせば飲めそうではあるけど……

  冷凍冷蔵庫なんて高額だし、氷魔法なんてレア属性だし……

  って、そういえば、自分、使えたな。

  婆ちゃんに凄くしごかれた記憶を思い出したよ。











  
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