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しおりを挟む次に目を覚まして、やっぱり夢オチって訳じゃなかったか。と思ってた。
ぐっすりと寝たからか、熱っぽさも取れ、多少、体のダルさも改善。
そうなる事で、周囲の音が聞こえ始め……
階下は食堂?
ドアの開閉音と一緒にカウベルの様なカランコロンと鳴ってる音。
体型だけでなく、やっぱり女将さんだったんだと思える、威勢のいい「いらっしゃい」と挨拶の声。
窓がベッドの側にあった様で、陽射しと共に、小鳥の鳴き声の他に、賑やかな町なのか人の話し声。
その合間に、ガタガタと音を立てて通り過ぎて行く音。
もしかして、石畳の道で、馬車?と考えた事で、ハッとした。
何故、自動車だって考えなかったんだろう?って。
もしかして、リーナの記憶が戻った?と思ったんだけど……
記憶に蓋され、重しが乗せられている様だった。
でも、少し思い浮かんだ光景は、とても重苦しいものだった。
今も手元にある、小さい土色の魔法袋の中に、貴重品を始め、家にあったものを可能な限りに詰め込み、抱え込んでひたすら走っていた小石を敷き詰めた様な道を。
後ろには火の手があがっていたけど、音は無音。
自分の荒い息の音さえ聞こえないのが不気味だった。
今の自分が見て察するのは、住んでた町が強襲された?
薬師というところからも、自分に戦う力はないんだろうね。
自分の貴重品などを全部ではないけど回収して、逃げ出したって事は。
ただ、ふと感じたのが……
あれ?兄弟や肉親は?って事。
気になる友人なんかも居なかった?
誰の事も心配せず、自分の進退だけ?
まあ、こういう状況下に置かれたら、誰しも他人の事は考えられなくなるもんだとは思うけど……
重い蓋がある様に思い出せないけど、いや、今はそれどころではない!
起きたら、出るものがあるので、出しに向かえば……
足はふらふらとするけどだねえ、それよりも驚きだったのが……
いや、驚きの連続だった。
トイレは階下なので、階下に降りるのに、病明けの可能性もあるけど、あまりにも非力だったこと。
トイレが、バケツを下に置いた穴が開いた椅子だった事。
最後のが特大で、手を洗おうとして覗き込んだ水瓶に映り込んだ自分に。
腰が抜けて座り込んだ放心状態だった自分を、3階だった寝てた部屋に、抱きかかえて連れて行ってくれたのは、女将さんではない熊の料理人。
焦げ茶の髪だったので、耳が見にくいけど、ピクピクと動いてた。
食堂の様な店は、熊の夫婦が営んでたのか。と思った時には、3階の部屋に辿り着いてた。
「あまり無理はするな」
そう言って、出て行き降りて行った様だけど……
女将さんよりも大きかったのに、木の階段を降りる音はさほども聞こえない。
じゃなくて!
何で、自分の頭の上に耳が!?
それも、今、気付いたけど、触ったら髭がある……
口の直ぐ上って訳ではなく、小さな鼻の横って辺りに……
でも、目に入らないのは何で?
そして、全く気付いてなかったのが尻尾!
といっても、獣型ではなく、さっきの熊の夫婦の様に、人型に獣耳尻尾タイプだったけど……
猫だった。
長靴をはいた猫ってスタイルじゃなかったのは、良いのか悪いのか……
髪の色が、薬調合する際に入っても困るし邪魔なので、三つ編みにして纏めてたから気付いてなかったけど、刈り取り間際の小麦畑の色。
髪色を見て思い出したのが、自分だけ人型だったので、家から追い出された事。
他の兄弟全員が獣型の猫の獣人で、戦闘職。
いや、本当に猫?
茶トラの様な色合いだったから、虎とかチーターとかもありえるけど……
体の大きさ、重さを考えたら、猫か。
非力な部類ではあるけど、一応、牙と爪があるから戦闘職か。
黄金色ともいう獅子と同じ色の髪だけど、尻尾の形が獅子じゃない。
なので、町にある孤児院の前に親が捨てようとして、老人の人型猫の薬師してた婆ちゃんに拾われた事。
その婆ちゃんも、自分が薬師に成れたのを見届けると同じ頃に亡くなった事。
他の事は覚えてないけど、最低限のところは思い出した様だった。
前世の記憶が戻る可能性がある魂だったから、人型で生まれた可能性が高いけど……
人型で良かったのか、獣型が良かったのは分からないけどね。
あと、安心という程ではないけど、婆ちゃんを思い出した事で、薬関連の事は思い出したので、薬を調合は出来る。
ギルドタグもあるので、商売は出来ると思う。
特に、隣国だったエスペラント王国が、フェラージ帝国に襲われたって事は、需要はある。
フェラージ帝国、人族主義だけど、魔法大国から買ってた筈だから……
売買停止になってると良いんだけど……
でも、この町に行き着くまでの行程や、この町の周囲での薬草の分布など、まだまだ分からない事はいっぱいあるけど。
けど、今、自分に出来るのは……
自分を回復させる事。
魔法袋の中に、保管庫に入れていた在庫の薬は全部入れて来たので……
直ぐに動けなくても、しばらく働かなくても食べていけるだけの金額にはなると思う。
とりあえず、体が治ったら、調合の練習をしなきゃ。
材料や量などの配分は覚えてるから。
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・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
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