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しおりを挟むベッドの上で起き上がっていた自分が、頭が真っ白になって、後ろに倒れたので慌てた女将さんは……
ふっくら?いや、どっしりとした体型だったんだけど、自分が硬直した原因が獣耳だった。
焦げ茶色の髪なら、直ぐに気付かなかったんだろうけど……
栗色の髪を結い上げた上に、それはあった。
頭に対して、大きさは大きくはないけど、濃い茶色の丸い耳が。
熊そのものの姿だったら、卒倒してたんだろうけど……
女将さんは人型の上に付いてたの。
何分もしない内に、気を取り戻した自分、慌ててた女将さんに何度も謝った。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「構わないよ。アンタは家の前でぶっ倒れてた上に、熱が高くてねえ」
そう説明してくれてるんだけど……
熊の獣耳があるって事は、自分はアッチでは死んだのか?
いや、原因は覚えてないけど、そういう事なんだろう。
さすがに、夢オチじゃないって事くらいは、リアルな感触から分かるよ。
「一応、衛兵に相談して、抱え込んでた荷物から、身元を確かめようとしたんだけどさあ」
そう言って、目の前に差し出されたのは、小ぶりな巾着、いや紐が長いからナップサック?
色は小汚い土色だった。
「アンタが抱え込んでただけあって、高価な魔法袋なんだね。それも所有者刻印までされた。おかげで開けられなかったんだ」
と言うことは、自分はお金を持ってると看做されて、泊まらせてくれて、看病されてたって事?
あ、でも、身元不明な者ともなれば、普通、病人といえ受け入れて、看病なんてしてくれないよね。
衛兵立ち会いの上だったとしても。
「ありがとうございます」と言って、頭を下げて、抱え込んでたっていう魔法袋と向き合ったんだけど……
自分が手を差し込めば、口は開いた。
だけどさあ、今、前の個人情報がないだけでなく、この体の個人情報さえ覚えてないないよ~!
女将さんっぽい熊さんは見た事なかったのか、「お、開いたよ」とワクワクしてるけど。
中を覗き込んだら……宇宙が見える……
コレって、ラノベでいうところのアイテムバッグってヤツだよね?
興奮すべきところだけど、不安の方が大きかった。
中に手を突っ込むのか?中に入ってるリストはないのか?
分からないけど、南無三と意を決して、手を突っ込んだ。
ラノベで言うところのギルドカードはないのか?と思いながら。
だって、リストが現れそうになかったんだもん。
手に何やら触れた感があって、掴んで手を抜けば……
案の定、カード?いや、ドッグタグの様な物を持っていた。
最初、読めなかった文字は、ゆらりと形を変えて日本語になった。
「エスペラント王国、リナペッタ所属、薬師リーナ…」
そう呟いたけど、このリーナの記憶は全く浮かび上がらない。
自分の反応に、「アンタ、まさか!」とクマさん叫んでいて……
「ごめんなさい。全く思い出せないんです…」と言えば、眉を下げ、憐れむ様な顔になった。
「大変だったんだね。あの国の事は聞いてるよ」
そう言って、肩を抱いてくれたんだけど……
え!?何だって!?いきなり不穏になったぞ。
「まあ、この国は魔法大国だから大丈夫だ。魔法重視の実力主義ではあるけど、種族は問われないからね」
安心しなと言われたけどだねえ。
魔法があって、剣があるって、ハードモードの異世界ファンタジーってか!
多少、サバイバルとまではいかないけど、「食べれる野草とキノコ」とか「ソロキャンプ~行く前から帰るまで~」という本を読むくらいには、野外経験はあるけど……
あくまで、襲って来る獣がいないのが前提で……
自分、生きて行けるのかな?
薬師だった様だけど、全く記憶がないのに。
重たい溜息を吐いた自分の頭を撫で、「もう少し寝ときな」と言って、横にさせた女将さん。
まだ熱っぽいしダルいし、疲れが取れてるとも思えないので、従ったけどだねえ。
異世界アイテムと言っていい魔法袋やタグを見たかったんだけど……
頭を撫でられた時のくすぐったさなど違和感は覚えてたけど……
体は正直で、目を開けていられなくなった。
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