獣人世界へ、ようこそ?

ふにゃー

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  雑貨屋のオジサン、あれほど言ったのに自慢したかった様で……

  自分は薬師であって、魔道具師じゃないっていうのにさあ。

  利に聡い商人が、採集から帰って来て数日したら、やって来る様になった。

  「材料さえ持ってくれば作ってくださると聞きました」って。

  調合してる時なら、亜空間内に居るから聞こえないけど……

  採ってきた果実を絞ってジュースにしてたり、リキュールの様な果物酒を仕込んだり、燻製や携帯用の料理を作ってたら、聞こえる訳。

  ただ、場所が衛兵の詰所の真横だけに、声は荒げられない。

  「雑貨屋のオジサンの願いを聞いたのは、自分が必要なのに在庫がないのを融通してくれたからであって。貴方のは完全に貴方の希望ってだけでしょ。それに、私は薬師で、調合の予定がいっぱいなの。邪魔しないで」

  そう言い返す様に、町に帰って来たら、もう1つ、厄介な事が起こってた。


  自分の横を追い越して行った、薬師が乗った幌馬車隊……

  追い掛けて行った隊もあった様で、行先は一緒……

  森の奥で怒鳴りあって、大型の魔物が集まって来て、採集どころじゃなかったもよう。

  それだけじゃなく、そこにあった月光袋が被害に遭ったみたい。

  「死傷者は?」と聞けば、それなりに居た様で……

  自分とすれば、自業自得なので、傷付いた月光袋の栄養素になったら良いかってくらいにしか考えてなかったんだけど……

  ボロボロになった幌馬車が7台戻ってきたんだって。

  数が合わないのは、使えない状態になったって事。

  となれば、ソロの自分が行くと言ってたくらいなので、帰参予定を読んで、家にやって来たって訳。薬師ギルドの職員が。

  当然、たっぷりと回収して戻ってきた自分だけど……300L

  自分としてはたっぷりの量だけど、他に分けられる余分な量はない!

  「分けられないよ。来月は雨が多いから、満月の時晴れるとは限らないんだから」

  そういう様に重要だったから、きちんと回収しておきたかったの。

  だから、縄張り争いなんてせずに、回収を優先すればいいのに……

  薬師ギルドとしては、月光袋の蜜を分けてくれじゃなく、最上級回復薬ポーションを作って、売ってくれというものだった。

  それくらいならって思うけど……

  商業ギルドと定期納品契約してるソッチもあるんで、忙しいのよ。

  野良の月光袋があった崖の周辺で、薬草をたくさん採集して来てて良かったよ。って思うくらいの消費が予定されてるの。

  だからといって、効果が落ちる可能性が高い他者が摘んで来たものを、買ってまでして使う気はない。

  となれば、やり繰りする腕前が必要になる。



  魔法袋を安く手に入れて、王都に行って高く売ろうと皮算用してた者、悪態を吐いてた。

  拉致して働かせようにも、防犯の結界がある様な店な上、左から裏にあるのは衛兵の詰所。

  出て来たところをと言うのも、一向に出て来ない。

  その上、ギルド職員が家にまでやって来る様な者で、ひ弱な猫獣人だけに簡単に捕まえられると思ってただけに、探ってたら……

  衛兵の制服を着た黒豹や狼の獣人に捕まっていた。



  商業ギルドに契約の回復薬ポーション各種を納品に行ける時間がなく、困ってたら、取りに来てくれた!

  薬師ギルドに最上級回復薬ポーションを作って売ってくれと言われた話が回ってた様で、足を運んでくれたもよう。

  護衛を1人連れて来てたので、驚いたんだけど……

  自分が作ってあげた魔法袋の話も知っていた。

  「オジサンが悪いので、もう作ってあげませんけど!」

  そう言い切ったけど、あの大瓶を売ってくれなかったら、回収にはいけてないのでね。

  それに、5Lサイズのガラス瓶以外にも秋の樽も予約したからねえ。

  そういう事情も、さすが商業ギルド裏を取っていて……

  「こちらからも釘を刺しておきました」と言われた。

  今回は、物々交換の様な類いで、契約書もない状態なので、本来、商業ギルドは関与しないんだけど……

  物が魔法袋って事で、噛んだみたい。と言うのも……

  「事をおさめるのに、素材を渡しますので、魔法袋を作って戴けませんか?」

  そう提案されて……

  即答はしないで良いと言われたけど、自分が考えてたのは予定、スケジュール。

  「いや、作っても良いんだけど、調合もあるので、取れる時間を……」

  そう言って、勘定してたんだ。

  満月の夜は1週間の天気が持ちそうなら出掛けるし、最上級回復薬ポーションともなれば、1日で作れる量がしれてる。

  商業ギルドとの定期納品契約程度であれば、余裕があったけど……

  「月に1日、作れるのは素材にもよるけど、多くて5個かなあ?」

  ブラックな環境で仕事はしたくはないので、妥協出来る頻度と数を口にしたら……

  「それでも構いません!」と大喜びしてる。

  「売る値段はそちらに任せるけど、作業賃は出来を見て決めて」

  そう言ったのに……

  「ザイベルさんの物と同じであれば、1つに付き大金貨10枚で、如何でしょう?」

  聞き間違えた?という作業賃だった。

  金貨1枚で経済価値10万円、白金貨1枚が1000万円だから……

  大金貨は100万円だから、「白金貨って事!?」と驚けば……

  1点歩遅れての反応に、微笑ましく見てこられたけど、馬鹿にされた訳じゃない。

  「それほどに、造り手は少なく、リーナさんが作るほどの容量がある魔法袋は数が少ないんです」

  となれば、ヤバいんじゃないか!?

  金の成る木って見られるって事だよね。

  「リーナさんは獣人ですから、早く番が見付かると安心出来るんですけどね」

  そう、爆弾を落として帰って行った商業ギルドの職員。

  ちなみに、彼は長生きのエルフ。

  鑑定魔法を向けてはいけない相手です。

  だって、年齢不詳なだけに、弾かれるだけじゃなく気付かれるもの。

  意外とエルフ、商業ギルドに所属してるんだよねえ。まれに冒険者ギルド。

  だけど、出たよ番問題。

  婆ちゃんが薬師をしてたのは、独りで食べて行く為。

  何度も、番ってだけで突っ走るんじゃないよ。とリーナ言われてたの。

  結婚しても番が現れたら捨てられる、番だと思ったら相手がいる……

  なんてドロドロだよ!

  理性が効かない相手なんて、ラノベでいう魅了の様な呪いを掛けられた様なものじゃない。

  問題なく相思相愛で、添い遂げるのは数が少ないのが実情みたい。

  そういう意味で、番に対して夢は抱いていない。

  リーナにしても、自分にしても。


  二の腕をさすってたんだけど……

  魔法袋、作業賃で大金貨10枚って事は、素材もそこそこ高いのに、幾らで売るんだろう?

  白金貨ものか……














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