獣人世界へ、ようこそ?

ふにゃー

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  薬師ギルドと商業ギルドの魔法袋分の万年雪の氷の塊を収納し……

  爺ちゃん村長が「このくらいの量で充分じゃ」と許可した量。

  それを空間収納に入れたら、万全になった訳だけど……

  この日数で戻れば、痛くない腹を探られかねないので、谷を使う事で山越えができ、ソイの実を取りに行けるとの事だったので、行く事に。

  爺ちゃん村長が提案してくれたの。

  そのルートを使って、逃げて来たそうだ。

  ただ、帝国に知られるとマズイので、慎重によろしく頼むと言われた。

  もちろんの話なので、頷いたよ。

  様子を見に、たまに行ってるという虎獣人の案内で行く事になった。

  こっちは川沿いなので、滝がある絶壁もあるらしい。

  満月まで1日だなと思ってたら……

  途中にあるらしい月光袋。

  あと、オジギソウの巨木があると聞いて、興奮してた。

  けど、あまりに奥地で、薬師連中が行く事ないらしいよ。

  寄ってくれるだけでなく、できたら分けて欲しいが対価だった。



  休みを1日おいて出掛けた事で、時間のロスなく、と言うかギリギリで、オジギソウと月光袋の現地に満月の夜に着けた。

  ただ、高ランクの魔物が結界の外にうじゃうじゃ居る中、採集するのは疲れた。

  虎獣人さんは「酩酊状態であれば対処できる」って言ってたけど。

  ここの月光袋は立派だったよ~。

  10本の群れが最大だと思ってたのに、そのコロニーが3つもあって……

  1番大きな2m越えの月光袋が、甘い物好きな熊の頭を呑み込んでて、驚愕だったんだから!

  蜜に夢中で飲んでいてヤラレタもよう。

  1コロニーを結界の魔道具で囲んで採集をしてたんだけど……

  魔法袋に入れてた3Lのガラス瓶300本と、トカレ村が急遽用意した果物漬け用の5Lのガラス瓶50本が、あっという間に貯まる勢いだったの。

  月光袋に集まって来る魔物をやり過ごして、オジギソウに向かえば……

  オジギソウの巨木も圧巻だったけど、その下にある数え切れない程の月結晶が月光を浴びて煌めいていて……

  リナペッタの近くにあったオジギソウも勇壮で、数多い月結晶あったけど、比べられないくらいに多い。

  手では取れないので、採集用のナイフで地面から切り取るのだけど……

  虎獣人さんも黙々と、頼まれた分を切り取ってる。

  自分たちが採っても、充分に残るだけの数があったの。



  満月の夜だけに、月夜草やらも採集したんだけど、最低限にしておいて、眼下で微かに光る絶景の何かを見ながら寝た。

  勿論、虎獣人さんと夜の番を交代ではあるけど。

  ただ……

  ソイの実がなってるという森に降りて行くのは、悲鳴の連続だった。

  森に入る者の常識だから、心の中での悲鳴だけど……

  でも、そのお陰で、魔法大国でなってる植生とは違う様でね。

  虎獣人さんはよく知っていて、「アッチにはないだろ」って持って来てくれたし。

  それで、東南アジア系の果物に類する物だと気付いた。

  マンゴー、ライチ、グアバ、パパイヤに、バナナ!

  まあ、若干、色が違うけど……

  そんな中、稀少だという卵の木を見付けた!

  のだけど!卵の木って魔樹だったのか!

  根っこを足の様にして、走っていて……

  虎獣人さんも初めて見たのか、絶句してた。

  縞々ストライプ、ボーダーで色もとりどり……

  まさしくイースターの卵だよ!

  あ、そういえば、アッチに卵の殻を装飾して、入れ物にした物あったよね?

  けど、今思い返せば、卵のサイズ大きくなかった?

  あれって、鶏のじゃなくダチョウの卵だったのかな?

  そのサイズ並だよ、木の卵!

  でも、そうやって逃げるのであれば、無理やり薬草畑に入れるのはねえ。

  そう思って、薬草畑に、掘りあげたソイの実の木とか、ついでに見付けた味噌の実の木を植えるのに、薬草畑の扉を魔法袋から出してたんだ。

  ソイの実に種がないので、実を植えるのか木を移植かになるので。

  育つか根付くかを考えたら、移植を選択するでしょ。

  で、薬草畑の扉は、爺ちゃん村長と虎獣人さんは野営してた時に見てるの。

  初め驚いてたけど、契約した者以外は入れないと言えば、興味を失ったのだけど、ごめんねえ。

  入れるか入れないかは、契約云々じゃなく適性があるか否かなんだ。

  で、根を掘り上げたから、植え付けは早い方が良いって事で、ゴソゴソしてたの。

  虎獣人さんとすれば、とりあえず連れてこようと思った場所には着いた様で、警戒しながら何やら動いてるので、その間にって事で。

  一応、爺ちゃん村長が頼んだのか、虎獣人さんも、ソイの実の木、掘り起こしてたけど、それは何処に?

  ただ……

  ソイの実の木と味噌の実(ソラの実)の木、枯れた事を考えて2本ずつを植え終えて、薬草畑の扉を魔法袋にしまってたら……

  「さっき、逃げてた卵いっぱい付けてた木、扉の中に入って行ったぞ」

  そう言われて、首を傾げてたんだ。

  確かに、パッと見の空間は広そうだけど、全て開墾した訳ではないので、森のままになってるところもある薬草畑。

  だけど、許可なく勝手に入れるの?

  だから、え?ってところだけど……

  卵の木が良いのなら別に良いけど。


  その後……

  昼食を終えて直ぐに戻る事にした。

  野営の目標は、1番最奥の滝下の河原。

  滝は大小3つあって、1番奥のが1番高さがあるのよ。

  行きはよいよい帰りは…ってところで……

  絶壁登れるかなあ?

  あ!でも、滝の水飛沫が掛かるところにある苔!

  レア物があるかもだから、頑張るぞー!


  下から2つ目を登りきってヘロヘロに……

  1番下は傾斜40°の大きな岩を流れ落ちる滝だったので、楽勝だったけど、2つ目は60°の2段落ちで、高さが……

  上から降りるのは楽だったのにと思いながら登ろうとしたら……

  赤点が、滝の岩陰から現れた!

  慌てて、離れたら、滝裏がある様だった。

  「サーペントか!」と虎獣人さんがいう様に、爬虫類独特の分かれた舌をぺろぺろと出しながら、出て来た。

  「大きいな!」という様に、尻尾を入れると5mにもなりそうな巨体。

  胴回りだけで1mは優にある。

  そんな奴との死闘だったので、疲れ果てたって訳。

  帝国から逃げた時には見掛けなかったそうだ。

  両目を自分が射抜き、虎獣人さんの大剣で前足脇を斬り裂く事で、体力を削ってなので、時間が掛かったのよ。

  一応、熱源感知の場所が鼻脇にあるのも塞いだのに……

  倒した後も、そやつの処理とか、寝床と思える滝裏にも入ったんだよ!

  けど……げげ!と思うのがいっぱい転がってたんだ。

  獣型の獣人でも、眉間に皺浮かぶんだねえ。という感想を持つ代物だったんだよー。

  何って、ここまで帝国の兵が来てたって証。

  蛇のバイパーもだけど、巻き付いて絞め殺す事もあるけど、大概、活け締め……飲み込んで絞め殺し、金属製は歪んだ状態で吐き出すのよ。

  だから、血がこびり付いた鎧や兜が変形して転がってた。

  ただ、武器系がないのは、爬虫類、錆が嫌いだからだと思う。というか、巣に持ち込む習性があるのはカラスとか鳥類だったか。

  でも、コイツがいたお陰で、帝国から逃げ出した村民が助かったんだろうね。

  逃げた時に遭遇しなかったとしても。


  結界石を念の為に張って、夜の番も交代もしたけど、ぐっすり眠れた。

  と言うか、体力を回復させないと、垂直100mの滝の崖は登れないです。

  帝国も、さすがにコレは登れないと踏んで、迂回ルートを探しに森に踏み込んだんだろうけど……

  なぜ、川沿いの崖で逃走したかは……

  虎獣人さんがいうには、この山の森の奥地で発生する霧は方向感覚を迷わせるそうで……

  夏場、発生頻度は低いけど、秋にはほぼ毎日になるそうで……

  迷いの森と言われていた場所。

  状態異常を回復させる魔道具を身に付けてなかったら、即死亡案件なんだって。

  そんな霧が出ても、水辺なら多少飛沫で洗い流されるらしい。

  だから、地理感と地場情報を知る者の勝ちだねえ。

  秋が深まる前に、収穫物を奪われる前に逃げたらしい。

  それでも、追っ手がないかとか違和感がないか、半年に1度は訪れてるそうだ。

  朝食を食べ終えた後、野営した痕跡を消して、苔の鑑定と採集をして、崖と奮闘。

  若返りの苔「プラナーダ」には出会えなかったけど、水虫の痒み止め「ミズゴケ」はあった!

  あとは、ポーションガラス瓶を作るのに必須の砂もgetできた!

  特に、ここの砂は極上だった!細かく真っ白!

  けど、崖の中腹にある月光袋の採集の経験があって良かったよ。

  多少の崖登りのコツを修得してたみたいだ。

  まあ、身体強化の魔法は掛けたけど。

  ちなみに、絶壁の崖の滝の水量が夏でも減らないのは、氷河の雪解け水、地下の伏流水だよ。

  だって、上がり切った場所に、川がいきなり現れてるんだから。

  何時間も、崖と奮闘した後は、トカレ村までは時間は掛からない。

  そりゃ疲れた身体には長く感じるけど。


  爺ちゃん村長が待っててくれ、1泊後に町に戻るんだけど……

  虎獣人さん、爺ちゃん村長と何やら難しい顔して、喋ってたよ。

  ちなみに、2日目の月光に晒す作業は終わってる。

  ヘロヘロでも、河原で並べて作業したもの。夜の番をしながら。



















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