獣人世界へ、ようこそ?

ふにゃー

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  リノアールの花蜜の採集に、長いガラス棒は不可欠なので、親切に譲ってあげようとは思わなかった。

  それに、薬草畑に植えられそうな小さな芽があったので、移植する気満々だったところだったから……

  薬師ギルドで調べた資料によると……

  リノアールの生育は特殊で、昼間は花を咲かせ、受粉を助けて貰うのが優先だけど……

  夜に、本体の蔓を伸ばして成長してるそうで……

  ジャックと豆の木の様に、太くデカくはないけど、成長スピードは一気の様で……

  種は付けるけど、発芽からm級まで1日なので、見付けたら即移植なの!

  だって、成長したのを移植するのはほぼ無理。

  巻き付いてるのを解いて移植ってなったら、枯れちゃう。

  まあ、そこから、花を咲かせるまでは時間掛かってる様だけど……

  竹の成長よりも早く育つ原動力は、たぶんじゃなく魔力。

  だからこそ、ダンジョンか魔の森になるんだろうって予測はつく。

  それを邪魔されてる内に、一気に木に巻き付いていっちゃって……

  機嫌が急降下して、超不機嫌の猫になってた。

  だって、早朝に発芽なんだよ!

  遅く起きてのんびりやって来て、邪魔するな!

  だから、「また、明日の朝か…」とボヤいてた。


  ちなみに、14階層の魔物は、蜜蜂くんたちだった。

  いや、肉食系蜂も居るからか、その攻防で他の虫系は皆無。

  リノアール以外にも、蜜量は少ないけど花は多種類いっぱい咲いてる。

  ので、薬草畑の蜜蜂たちの様に水やりをしてあげれば、喜んでた。

  さすがに、ボールは持って来ないけど。

  で、似た様な色合いの彼女は、人型だけど戦闘職として冒険者の様だけど、うーん、何と言えば良いんだろう?

  自分も、冒険者としてはへなちょこだから、逃げの一手だし、偉そうな事は言えないけど……

  自分の力量くらいはわきまえてるよ。

  だけど、彼女とすれば、冒険者として生きて来れたから、それなりだって思ってるのかな?

  それにしたら、自分とすれば初心者冒険者か!って、怒鳴り付けたくなるほど、知ってるべきルール、常識が欠けていて……

  まず、初対面の相手にも距離感がおかしい。

  ズケズケとものを言うので、相手への配慮がない。

  今まで、助けて貰ってたんじゃないか?とか、思う節があるけど……

  助けて貰ったのを気付いてないのか、当然だと思ってるのか……


  無口なデカい男との出会いは、先日同様、魔物にボロくそ殺られてて、助けられたそうで……

  強い男に惚れる傾向にある獣人だけに、懐いた猫状態。

  って!そんな説明要らん!

  リノアールの花蜜が貯まるのを待ちながら、鑑定し、葉をむしったり、花をハサミで切り取ったり……

  とにかく、忙しく手を動かしてる自分。

  「ミスティ、他のところにも花はあるけど、採集道具がない」

  ようやく口を開いたデカい男。

  1度出直そうと、彼女を宥めはじめたけど……

  「もうちょっと粘ったら、きっと貸してくれるって!」

  やっぱりな!っていうほど、彼女の考えは透けて見えてたもん!

  だから、相手をしてる様でしてないという対応をしてたの。

  ごねたもん勝ちで貸せって言われない様に、まともに対応せず、暖簾に腕押しだって分からせようと。

  だけど、彼、困った顔をしてるけど、見てるんだねえ。

  「彼女、採集専門の冒険者なのか、手順も熟知してる様だ。そういう者は仕事道具をおいそれと貸しはしない」

  ギルドにそれ用の道具の貸出があったかもしれないって言いながら、彼女を宥めながら去って行ったけど……

  そういう下準備と情報収集もせずに来たの!?

  着いて早々に、真っ先にして、貸出道具も見せては貰ったけど、自分は作った。

  というのも、花を直には見てなかったけど、花口が小さ目だったのに、作りやすさ優先だったのか、平たい金属の棒だった事もあって……

  ガラス棒といっても、ストローを縦半分に切った様に、サイドを緩くカーブさせてあるのよ。

  それに、ガラス棒ガラス棒っていってるけど、衝撃に弱そうではあったので、スライムゲルで作ったので、丈夫!



  次の日の朝、2度ある事は3度…になって欲しくなくて……

  ダンジョン内といえ、昼夜あるので、早朝にリノアールの花のところに。

  探索と索敵で人が居ないのを確認後、側で薬草畑の扉を設置。

  発芽したばかりのリノアールを移植!

  ただ、世界樹や重要な木々から離れた、開墾する?って思ってた場所に。

  太く大きな木だけに、切り倒すのもなあって思って、渋ってたのもあり、日差しが差し込む半日陰な場所を好むって事もあって。

  5つの根っこは泥玉状態を、木の周りに植えて、しばらく見てたの。

  育つのなら、一気に蔓を這わせて行くから。

  するするっと蔓が伸び始めて、ホッと息が吐けた。

  ついでに、水やりしてから出ようとして、振り向いたら……

  階層で咲いてた花が、根っこという足で走り回っていて……

  きゃ~っていう幻聴が聞こえそうな光景に、固まったもん!

  アレは何だ!?アッチにあったゲームでに似た様なのあったな?

  けど、リノアールは稀で、14階層は魔植物の階層だった訳!?

  ピンクや白、黄色に青から紫までの花が走ってる……

  けど、1種類じゃないな。

  花を冠にした様なのや、花が顔になってるのとか……

  あれ?花が顔の魔花って、流行病の治療薬のレア素材じゃなかったかな?

  ん?もしや……羽根が見えるって事は……

  妖精か精霊が誘導して来たって事!?

  いや、『ダンジョンは食べられちゃうから…』『メッなの!』って言ってたから、ダンジョンには出てないと思うんだけど……

  となると、魔花が、グアの木みたいに入って来た?

  卵の木は、いつの間にか、ガラスの塔の中で植わってて……

  妖精達が卵をたまに捥いで、持って来る様になったんだよね。

  まあ、マンドレイクの花バージョンだと思っておこう。

  あれの類は、割と使えるのに、中々見つけられなくて、困った時あったから、良いって事にしとこ。

  でも、野菜が魔化しない事だけ祈っとこ。

  料理するのに、追い掛け回さないといけないって難儀だから。

  遠い目になりながら、水やりを済ませて、さっさと出て来た。

  薬草畑の扉を、誰かに見つけられたくもなかったし。



  目的は果たせたので、後は大馬鹿者が側にいる時に 滑落しようと思ってたんだけど……

  そうは簡単に話が進む訳がなく……

  何故か、またもや遭遇……再会した似た色合いの彼女……えーっとミティア?

  「ミスティ!」が落ちた……

  自分はヒロイン気質じゃないってか。

  さすがに、鑑定にも落ちた先が何階層かまでは分からない。

  それは罠だって言ったんだけどなあ?

  それに、そっちに興味を持って動くんじゃなく、依頼を受けた採集をしなよ!

  蜜採集の道具を借りて来たはいいが、使い方が分からないって事で……

  彼が頭を下げて教えてくれっていうので、設置の仕方を教えてたのよ。

  呆れた様に息を吐いてた時には……

  彼女の相棒のデカい男も続き、え?えええ!?と思った時には……

  そこには何もなかったという様に、穴が消えた……


  えーっと、えーっと、こういう場合はどうしたら?

  固まってたら、他にも採集に来たのか、冒険者が居たようで……

  「兄妹が落ちたの!?」と、パーティが走って聞いて来た。

  「え?兄妹ではないです!」と否定はしたけど……

  落ちて、穴が塞がってしまった事は事実なので……

  「居合わせた、こういう場合どうすれば……?」

  困惑気味に聞けば……

  「……関係は?」と探りは入れられたけど……

  「花蜜の採集してる時に初めて会って、採集の助言を求められたので、教えてる途中で、名前も…レオンと……ミーティア?」

  いや、何だったっけ?ミリアじゃなく……

  そんな事を呟いてるもんだから、ほぼ他人と判断された。

  「僕たちも落ちたところは見てるから、ギルドに報せには行くけど、ダンジョン内は自己責任とは分かってるよね」

  そう言われたので、頷きはしたけど……

  やっぱりそうだよね。

  鑑定で、このダンジョンが60階層からなる上級ダンジョンだとは判明してるけど……

  踏破されてる最下層は43だって話だから……

  レオンがどのくらい強いのかも知らないけど、彼は彼女を助けに穴に飛び込んで行った。

  自分自身が守れるか分からない場所になんて、冷たいかもしれないけど、無理だよ!

  自分はラノベの主人公の様にはなれない!



  ギルドに報せに行ったのか、パーティの姿が見えなくなった後……

  獣型の猫獣人に姿を変えて、一層慎重になって、気配を消した状態で、1階層を目指した。

  んだけど……あーいうやたら明るく危なっかしいのが良いのかねえ?

  あ!彼らがギルドから借りて来た採集道具、置いて来ちゃった!










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