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第一章 腐れ剣客、異世界に推参
帰還せし腐れ剣客、地上へ向けて走れ
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「――っおっと」
地面に足が着いた感触に思わず声が出た鴎垓。
誰かの声を聞いたような気がして、しかしそれを確かめることが出来ず、色のなくなった空間を漂っていたかと思えばどこかに体が引っ張られる感覚が襲い、そうしたらいつの間にかさっきのところとは別の場所にやってきていた。
いや違う。
この岩で囲まれた空間。
見覚えがある。
「――オウガイ君! それにレベッカ君も!」
「――戻ってこれたのですね!?」
そうここは、暴水鬼と戦ったあの場所だ。
多少落石が増えているもののあの大きな窪み、そしてこの声の主たちの存在がここが元の世界であることを如実に物語っている。
結晶の中から出てきた鴎外たちの無事を喜ぶフィーゴとフランネル、そして腕の中にある確かな重みに目を落とし、そこにあるレベッカの顔を見て、無事に戻ってこれたのだと実感する鴎外。
「まあでも、何とか成し遂げたか……」
「二人とも無事かね! 中で何があった! というかどうして君は核の中に入ることが出来たんだ!?」
一つ余韻にでも浸りたいところだったが経験のないことの連続で驚き散らしているフィーゴの追求にそれもできず、それを避けながら後ろを振り向く鴎外。
あの青黒い結晶。
この異形どもの巣窟を作り出していた厄物は既になくなっており、それがあったのが分かるような跡だけが地面に残されていた。
あの【鬼】を斬ったことで核の根幹となるものがなくなったからだろうか、そんなことを考えていた鴎外に焦燥の混じったフランネルの声が飛ぶ。
「ちょっとお二人とも! 今はそんなことしている場合ではなくてよ!」
その声に反応し視線を向けると頭上の岩盤から大きな欠片が地面に落ちる瞬間が目に入る。ズズンと音を鳴らしぶつかるそれが切っ掛けとなったのか、岩盤の罅割れが至るところに広がり始める。
瞬く間に天井を覆い尽くした罅と連動するように更に激しさを増す震動。立っていられなくなるのも時間の問題だ。
「崩落が速度が速まっていますわ!
レベッカさんを取り戻せたのならもうここに用はありません、早く地上に!」
そうフランネルが言い終わったのと同時にまた一つ。
ズドンッ……!と明らかにヤバイ音を鳴らし、土煙を巻き起こしながら深く地面へと突き刺さった。
五人ぐらいなら纏めて潰せそうな岩の塊。
そんなものがまだ、今か今かと頭上で待ち構えている。
「……」
「……」
「……」
それからの動きは早かった。
無言で隊列を作り一同に出口へ。
足早に崩壊激しい暴水鬼との激戦の地から脱出し、数多のゴブリンと前哨戦を繰り広げた広間を駆け抜ける三人。
地上へはフィーゴが事前に用意していた、通ってきた道を示すという道具を頼りにして入り組んだ通路をどんどんと進んでいく。
先頭を走るフィーゴは崩落の影響で閉じた道があれば盾ごと体当たりして道を開き、振り掛かる落石を察知しては率先してパーティーを守る。
フランネルも光源を作り出しながらなけなしの力で炎弾を放ちフィーゴを援護する。
それでも通れないほどに崩れた道が現れ、元の進路からずれていく。それでも道具が記す方向を頼りにできるだけ近い道を選んでいく三人だったが一番後ろでレベッカを抱えながら走る鴎外は連戦の影響で早くも青息吐息、進路変更で振り回されながらそれでも最後の意地で二人の背中に食らいつく。
この間も全く目を覚ます様子のないレベッカは乱暴に振り回されて不機嫌なのか顔を歪めて鴎外へ抱きつき、抗議の締め付けを敢行してくる。
「おっふ苦しっ……! 今それは大変不味い……!!」
「うう~……!」
「めり込む! めり込んどるからそれ!」
「ううー!」
「誰か助けてくれーーー!!!」
「黙って走って下さる?! でなければ死にますわよ!」
「その前にこいつに殺されるわ見て分からんか!?
儂一番頑張ったよな!?
なのに何でこんな目に会わなくてはならんのだ!!」
「もう少しで地上だ! それまで頑張ってくれ!」
狭い通路から再び大きな空間に飛び込む三人。
ここも崩壊が著しい。
倒れた篝火の残骸があちこちにあり、様々な方向に横穴が空いているここで、本来の道とは外れたものの着実に上へ進んで進んでこれていた三人の足が止まる。
それは先導役のフィーゴが持つ道具が原因だった。
「不味い、道を逸れすぎた! ここから先が分からない!!」
手元の地図のような道具に目を落とし、周囲と見比べて焦るフィーゴ。ここまで何とか導いてくれていたそれがこの緊急時に限って役に立たない。
いくつもある道のどれが地上に繋がっているのか。
広大な洞窟の中で初めて来たの場所故に彼には全く見分けがつかないのだ。
「嘘でしょ! こんなところで!!」
そしてそれはフィーゴに先導を任せっぱなしだったフランネルも同様だ。
数ある通路の中から正解を選ばなくてはならないというのにその手がかりすらない、そんな状況でどう行動しろというのかとフランネルは脂汗を顔に滲ませ通路の間で視線を揺らす。
「こっから当たりを選ぶんは……無理筋というやつか?
いやでもなんじゃ、どうにも頭に隅が疼く」
鴎外も二人と似たようなものだったのだが、少しだ様子が違った。
出口がどれかは分からないのは二人と同じなのだが、この光景を見ていると説明できなのだが何かしら記憶に訴えかけてくるものがあるのだ。
何か。
何か忘れているような……。
「――あの道だ、馬鹿め」
その声に、三人の視線が止まった。
そしてすぐ、視線がその発信源に向けられる。
先程まで動揺していたことなど忘れ、揃いも揃って意表を突かれたような顔になった彼らの注目が集まったのは鴎外――の腕に抱き抱えられている人物に。
閉じられていたはずの瞳が開き、気だるげな表情で鴎外の顔を見上げている――レベッカの姿があった。
「お、お前……」
「今は私のことより早く脱出しろ、道を忘れたなんて言わせんからな。というか、お前にはお前って呼んで欲しくないな、何故か寒気がする」
やっと目を覚ましたレベッカに込み上げてくるものはあったものの、突き放すような態度と言葉に面くらい言いたいことが胸の当たりで止まってしまう鴎外。
他の二人は衝撃から戻ってこれていないのか口が空いたままでポカーンとしている。
「え、ええ……馬鹿て、寒気がするて……そこまで言うか。
というか忘れとるって――っあ!?
ここはあれか、儂らが最初に出会ったときの!!」
そしてその間に鴎外はレベッカの言っていることにようやく思い至り、そして周囲を見回して愕然とする鴎外。
震動の影響でところどころ変わってはいるものの、確かにここは一番始めにレベッカと出会ったあの場所だ。
倒れた篝火の位置も、よく思い出せばそのままではないか。
「そうだ、やっと分かったかこの馬鹿め」
「いやお前、目覚めたばかりだというのによく儂らの状況が分かったな……」
「あれだけ揺さぶられれば嫌でも起きるし、勝手に聞こえてくる話のどういう状況かは嫌でも理解出来たからな。
まあ、体が動かないから暫くこのままだがな」
「え、じゃあ儂かなりお前に締め付けられてたんんじゃけどそれは一体」
「それについては私は何も覚えていないな、無意識でそうなっていたのではないか」
「ええぇ……」
いや、うーうー言ってたよね?
それで無意識って、かなりあるのでは……とあまりの言い様に困惑しきりの鴎外。
レベッカというのはこんな性格をしていたのかと思うくらい辛辣で何だか傍若無人な感じになっている。
折角助けたのにこれってどうなん?
色々と言いたいことはあるもののそれで鴎外が嫌な気分になるかといえばそうでもない。
こんな態度の彼女との距離がどことなく近くなったような感覚を味わっていたからだ。
「……はは、まあそんだけ元気があればこれ以上心配せんでもいいようじゃな」
「ああそうだ、だからいい加減早くしろ」
「あいよ、また揺れるが我慢しとくれよ、お嬢さん」
「ふん、しょうがないから我慢してやる」
レベッカのその言葉に苦笑いを浮かべた鴎外はきっと顔をあげ、呆ける二人に渇を入れる。
鴎外の声に正気に戻った二人は目覚めたレベッカに色々聞きたい様子だったが彼女に早く脱出するよう促されて意識を切り替える。
先頭に鴎外を据えて再び通路を進みだした一行、背後に迫る崩落の音に追い立てられるようにして先を急ぐ。
震動は更に激しくなる。
すぐそこまで差し迫っている。
追い付かれるかもと考える余裕のなく、彼らは一本道を必死に駆けた。
そして――
「――出口じゃ!!」
――その先に、光が見えた。
その光を目指し最後の死力を尽くす鴎外たち。
大きくなる光。
先頭にいた鴎外が先に外へと飛び出し、フランネル、フィーゴが続いて洞窟から脱出していく。
勢いのまま岩山を下っていけばほんの少しの差で出てきた穴が音を響かせ崩壊していった。
崩壊はそれだけに留まらず、歪に盛り上がっていた岩山の全てがその頂上から崩れていき、どんどんと陥没していく。
鴎外たちが岩山から駆け下り何とか平地に辿り着いたときにはもう、あの悪鬼が犇めいていた岩山の姿は跡形もなく。ただ崩れた地面だけが、そこに何かがあったことを物語るばかり。
限界まで体力を使い果たし、精も根も枯れ果てた彼らを遠くから呼ぶ声がする。
だがそれに応える気力は既になく。
四人はそのまま、地面に倒れ込むようにして意識を手放したのだった。
地面に足が着いた感触に思わず声が出た鴎垓。
誰かの声を聞いたような気がして、しかしそれを確かめることが出来ず、色のなくなった空間を漂っていたかと思えばどこかに体が引っ張られる感覚が襲い、そうしたらいつの間にかさっきのところとは別の場所にやってきていた。
いや違う。
この岩で囲まれた空間。
見覚えがある。
「――オウガイ君! それにレベッカ君も!」
「――戻ってこれたのですね!?」
そうここは、暴水鬼と戦ったあの場所だ。
多少落石が増えているもののあの大きな窪み、そしてこの声の主たちの存在がここが元の世界であることを如実に物語っている。
結晶の中から出てきた鴎外たちの無事を喜ぶフィーゴとフランネル、そして腕の中にある確かな重みに目を落とし、そこにあるレベッカの顔を見て、無事に戻ってこれたのだと実感する鴎外。
「まあでも、何とか成し遂げたか……」
「二人とも無事かね! 中で何があった! というかどうして君は核の中に入ることが出来たんだ!?」
一つ余韻にでも浸りたいところだったが経験のないことの連続で驚き散らしているフィーゴの追求にそれもできず、それを避けながら後ろを振り向く鴎外。
あの青黒い結晶。
この異形どもの巣窟を作り出していた厄物は既になくなっており、それがあったのが分かるような跡だけが地面に残されていた。
あの【鬼】を斬ったことで核の根幹となるものがなくなったからだろうか、そんなことを考えていた鴎外に焦燥の混じったフランネルの声が飛ぶ。
「ちょっとお二人とも! 今はそんなことしている場合ではなくてよ!」
その声に反応し視線を向けると頭上の岩盤から大きな欠片が地面に落ちる瞬間が目に入る。ズズンと音を鳴らしぶつかるそれが切っ掛けとなったのか、岩盤の罅割れが至るところに広がり始める。
瞬く間に天井を覆い尽くした罅と連動するように更に激しさを増す震動。立っていられなくなるのも時間の問題だ。
「崩落が速度が速まっていますわ!
レベッカさんを取り戻せたのならもうここに用はありません、早く地上に!」
そうフランネルが言い終わったのと同時にまた一つ。
ズドンッ……!と明らかにヤバイ音を鳴らし、土煙を巻き起こしながら深く地面へと突き刺さった。
五人ぐらいなら纏めて潰せそうな岩の塊。
そんなものがまだ、今か今かと頭上で待ち構えている。
「……」
「……」
「……」
それからの動きは早かった。
無言で隊列を作り一同に出口へ。
足早に崩壊激しい暴水鬼との激戦の地から脱出し、数多のゴブリンと前哨戦を繰り広げた広間を駆け抜ける三人。
地上へはフィーゴが事前に用意していた、通ってきた道を示すという道具を頼りにして入り組んだ通路をどんどんと進んでいく。
先頭を走るフィーゴは崩落の影響で閉じた道があれば盾ごと体当たりして道を開き、振り掛かる落石を察知しては率先してパーティーを守る。
フランネルも光源を作り出しながらなけなしの力で炎弾を放ちフィーゴを援護する。
それでも通れないほどに崩れた道が現れ、元の進路からずれていく。それでも道具が記す方向を頼りにできるだけ近い道を選んでいく三人だったが一番後ろでレベッカを抱えながら走る鴎外は連戦の影響で早くも青息吐息、進路変更で振り回されながらそれでも最後の意地で二人の背中に食らいつく。
この間も全く目を覚ます様子のないレベッカは乱暴に振り回されて不機嫌なのか顔を歪めて鴎外へ抱きつき、抗議の締め付けを敢行してくる。
「おっふ苦しっ……! 今それは大変不味い……!!」
「うう~……!」
「めり込む! めり込んどるからそれ!」
「ううー!」
「誰か助けてくれーーー!!!」
「黙って走って下さる?! でなければ死にますわよ!」
「その前にこいつに殺されるわ見て分からんか!?
儂一番頑張ったよな!?
なのに何でこんな目に会わなくてはならんのだ!!」
「もう少しで地上だ! それまで頑張ってくれ!」
狭い通路から再び大きな空間に飛び込む三人。
ここも崩壊が著しい。
倒れた篝火の残骸があちこちにあり、様々な方向に横穴が空いているここで、本来の道とは外れたものの着実に上へ進んで進んでこれていた三人の足が止まる。
それは先導役のフィーゴが持つ道具が原因だった。
「不味い、道を逸れすぎた! ここから先が分からない!!」
手元の地図のような道具に目を落とし、周囲と見比べて焦るフィーゴ。ここまで何とか導いてくれていたそれがこの緊急時に限って役に立たない。
いくつもある道のどれが地上に繋がっているのか。
広大な洞窟の中で初めて来たの場所故に彼には全く見分けがつかないのだ。
「嘘でしょ! こんなところで!!」
そしてそれはフィーゴに先導を任せっぱなしだったフランネルも同様だ。
数ある通路の中から正解を選ばなくてはならないというのにその手がかりすらない、そんな状況でどう行動しろというのかとフランネルは脂汗を顔に滲ませ通路の間で視線を揺らす。
「こっから当たりを選ぶんは……無理筋というやつか?
いやでもなんじゃ、どうにも頭に隅が疼く」
鴎外も二人と似たようなものだったのだが、少しだ様子が違った。
出口がどれかは分からないのは二人と同じなのだが、この光景を見ていると説明できなのだが何かしら記憶に訴えかけてくるものがあるのだ。
何か。
何か忘れているような……。
「――あの道だ、馬鹿め」
その声に、三人の視線が止まった。
そしてすぐ、視線がその発信源に向けられる。
先程まで動揺していたことなど忘れ、揃いも揃って意表を突かれたような顔になった彼らの注目が集まったのは鴎外――の腕に抱き抱えられている人物に。
閉じられていたはずの瞳が開き、気だるげな表情で鴎外の顔を見上げている――レベッカの姿があった。
「お、お前……」
「今は私のことより早く脱出しろ、道を忘れたなんて言わせんからな。というか、お前にはお前って呼んで欲しくないな、何故か寒気がする」
やっと目を覚ましたレベッカに込み上げてくるものはあったものの、突き放すような態度と言葉に面くらい言いたいことが胸の当たりで止まってしまう鴎外。
他の二人は衝撃から戻ってこれていないのか口が空いたままでポカーンとしている。
「え、ええ……馬鹿て、寒気がするて……そこまで言うか。
というか忘れとるって――っあ!?
ここはあれか、儂らが最初に出会ったときの!!」
そしてその間に鴎外はレベッカの言っていることにようやく思い至り、そして周囲を見回して愕然とする鴎外。
震動の影響でところどころ変わってはいるものの、確かにここは一番始めにレベッカと出会ったあの場所だ。
倒れた篝火の位置も、よく思い出せばそのままではないか。
「そうだ、やっと分かったかこの馬鹿め」
「いやお前、目覚めたばかりだというのによく儂らの状況が分かったな……」
「あれだけ揺さぶられれば嫌でも起きるし、勝手に聞こえてくる話のどういう状況かは嫌でも理解出来たからな。
まあ、体が動かないから暫くこのままだがな」
「え、じゃあ儂かなりお前に締め付けられてたんんじゃけどそれは一体」
「それについては私は何も覚えていないな、無意識でそうなっていたのではないか」
「ええぇ……」
いや、うーうー言ってたよね?
それで無意識って、かなりあるのでは……とあまりの言い様に困惑しきりの鴎外。
レベッカというのはこんな性格をしていたのかと思うくらい辛辣で何だか傍若無人な感じになっている。
折角助けたのにこれってどうなん?
色々と言いたいことはあるもののそれで鴎外が嫌な気分になるかといえばそうでもない。
こんな態度の彼女との距離がどことなく近くなったような感覚を味わっていたからだ。
「……はは、まあそんだけ元気があればこれ以上心配せんでもいいようじゃな」
「ああそうだ、だからいい加減早くしろ」
「あいよ、また揺れるが我慢しとくれよ、お嬢さん」
「ふん、しょうがないから我慢してやる」
レベッカのその言葉に苦笑いを浮かべた鴎外はきっと顔をあげ、呆ける二人に渇を入れる。
鴎外の声に正気に戻った二人は目覚めたレベッカに色々聞きたい様子だったが彼女に早く脱出するよう促されて意識を切り替える。
先頭に鴎外を据えて再び通路を進みだした一行、背後に迫る崩落の音に追い立てられるようにして先を急ぐ。
震動は更に激しくなる。
すぐそこまで差し迫っている。
追い付かれるかもと考える余裕のなく、彼らは一本道を必死に駆けた。
そして――
「――出口じゃ!!」
――その先に、光が見えた。
その光を目指し最後の死力を尽くす鴎外たち。
大きくなる光。
先頭にいた鴎外が先に外へと飛び出し、フランネル、フィーゴが続いて洞窟から脱出していく。
勢いのまま岩山を下っていけばほんの少しの差で出てきた穴が音を響かせ崩壊していった。
崩壊はそれだけに留まらず、歪に盛り上がっていた岩山の全てがその頂上から崩れていき、どんどんと陥没していく。
鴎外たちが岩山から駆け下り何とか平地に辿り着いたときにはもう、あの悪鬼が犇めいていた岩山の姿は跡形もなく。ただ崩れた地面だけが、そこに何かがあったことを物語るばかり。
限界まで体力を使い果たし、精も根も枯れ果てた彼らを遠くから呼ぶ声がする。
だがそれに応える気力は既になく。
四人はそのまま、地面に倒れ込むようにして意識を手放したのだった。
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