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ダボンナ王国独立編 ~リーズ・ナブルの人理《ひとり》立ち~
リーズ・ナブル、決着の一撃
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放たれしは風の刃。
回避は可能、しかし防御は不可能。
受けるに難あり、されども避け続ければ捕まるは必然。
ダールトンが勝利を確信するのも当然とも言える。
では、俺は負けるのだろうか?
答えはノーである。
「---ッシャァア!!」
間近に迫る飛ぶ斬撃。
懐、というよりも服の下。袖の中。
腕の振りと共に出てきたそれは、ジャラリと音をたてて風刃へとぶつかった。
「何っ!?」
俺の武器が徒手空拳だけと考えていたダールトンは、よもやその様なものが飛び出すなどと、ましてやそれをぶつけてくるのどとは思わなかった。
そして一番分からなかったことは、それが自分の攻撃を砕いたことだった。
縦の刃に対して横殴りに振られた腕の延長線上、腕一本分長いところでそれは起こった。
リーズへの到達を果たすことなく存在を散らした風刃。構成が無理矢理に崩されたことによりリーズの体を風が撫でるが、それは当然負傷を負わせるものではなくなっている。
「・・・鎖、だと!?」
それを成したものが宙に揺れ光を弾いているのが目に入り、その正体に驚愕する。
「・・・まあ、なんだ。悪い癖なんだよ・・・怠け癖っていうのかね、あんたみたいに後ろに下がってしまう相手に会うと途端に面倒になっちまうんだ」
自分が成したことを特にどうということはなく振る舞うリーズだが、魔法で作られた風の刃を砕くなど並みのことではない。
「俺の手癖足癖が悪いのがいけないんだが、それはまあお互い様だ。離れているあんたが悪い」
「・・・ただの鎖ではないな」
「それはまあ、そりゃね」
ジャラリと鳴らされるそれを、あえて大きく振り回す。
八の字を描くように、ヒュン、ヒュンと。
先端に付けられた鉄球、その威力は先程見た通りだ。
「おたくと同じさ。シジルを刻んだ特別製、頑丈さは見ての通り、他にもいろいろあったりするんだがそこはいいだろう。
問題は、これで前進が可能になったということだ」
無造作に、一歩。
それまでと変わらぬその動作、鎖一本加わっただけでさらなる脅威となっている。
いうなれば鎖の結界だ。
ダールトンの風刃がこれを越えない限り、前進を止めることはできない。そしてそれは必殺の拳撃が射程圏に捉えるということである。
「さあ、回転率の勝負だ!! どっちもぶん廻してこうぜ!!」
「負けるものかぁああ!!!」
勝負は単純。
突進するリーズの鎖が勝つか。
待ち受けるダールトンの風刃が勝つか。
リーズが勝てば拳で決着。
ダールトンが勝てば風刃で決着。
「---おぉおぉおおおおお!!!」
渾身の力を込めて魔剣を振るうダールトン。
最早意地の張り合いである。
ここから一歩でも逃げようとすればそれで敗北は決定してしまうだろう。そんな負け方は許容できない。
だからこその全力、その場で踏ん張って必ずあの防御を抜ける。
その思いが体を支え、本来以上の力を発揮させる。
「---ッシャァアアアアア!!!」
対するはリーズ。
彼とて決死である。
いくら頑丈とはいえ、まともに鎖で受ければ切り捨てられてしまうだろう。
風刃の軌道を見極め、それに合わせて鎖を振るう。一合の度に吹き飛ばされそうになるのを引き戻しては次の斬撃に間に合わせるために全力で腕を振るう。
そして---
「---来たぜ、おい」
「---まだ、だぁああ!!」
両者の距離は残すところ後一歩。
それまでに交わした攻防、数にして十二。
この決闘、最後の時が訪れようとしていた。
「まだ! 負けではない!!」
ダールトンはそこで初めて自分から前に出た。
魔剣の風を刀身に纏わせて、その一撃を食らわせようとする。
これに対処するには避ける以外にない。
鎖の拘束はたちどころに切られて終わるだろう。
ではどうするか?
「上等!!」
さらなる加速、ただそれだけである。
敵の攻撃よりも早く自分の拳を叩き込む。
振りかぶった剣はリーチで勝る。届くのはダールトンが先か。
突進の更なる加速。前進の速度の勝るリーズが先か。
「はぁあああ!」
「しゃぁああ!」
果たして---
シンとした会場。
立っている人物をただただ眺めている。
二転三転したこの決闘。その本当の意味を知っているのは数少ない人たちだけ。
しかし、その戦いはあまりにも衝撃的であった。
圧倒的に不利と思われた一人の男、それはその戦い方が否定する。
一人、また一人と地に沈んでいく戦士たち。ついには一対一となる。
しかし相手もさるもの、奥の手の風の魔剣によって勝負は決したかに思われた。
そこからの攻防は目を疑うようなガチンコだ。
そして・・・そしてそれを制したのは---、
『---決着ぅううううう!!
激戦を制し、最後までこの場で立ち続けたのは!
---リーズ・ナブルだぁああああああ!!!』
最後の交差。
先に相手に届いたのは、俺の拳だった。
全速前進の一撃、相手の顔面を吹き飛ばし後方の壁へと叩きつけるほどの威力となったそれ。
意識のなくなったダールトン=スペルチナに向け、俺は別れを告げる。
「・・・やめたよ、命の取り合いは。そんなことよりも教えてもらった方がいいことがあることがあるようだしな。次に会うなら飯でも食おう」
---それでは、此れにて御免。
俺を称賛する会場の声援を背に受けながら、俺は肩口をほぐすふりをして退場する。
実のところギリギリだった。
拳が到達するのがもう少し遅かったら俺が負けていただろう。
服の中で出血しているところを押さえながら、億劫ではあるがこれからのことに頭を回す。
少々派手に動きすぎた、外野が動く前におさらばしなければなるまい。
お別れの言葉を考えるのに、今度は胸が痛くならぁな。
回避は可能、しかし防御は不可能。
受けるに難あり、されども避け続ければ捕まるは必然。
ダールトンが勝利を確信するのも当然とも言える。
では、俺は負けるのだろうか?
答えはノーである。
「---ッシャァア!!」
間近に迫る飛ぶ斬撃。
懐、というよりも服の下。袖の中。
腕の振りと共に出てきたそれは、ジャラリと音をたてて風刃へとぶつかった。
「何っ!?」
俺の武器が徒手空拳だけと考えていたダールトンは、よもやその様なものが飛び出すなどと、ましてやそれをぶつけてくるのどとは思わなかった。
そして一番分からなかったことは、それが自分の攻撃を砕いたことだった。
縦の刃に対して横殴りに振られた腕の延長線上、腕一本分長いところでそれは起こった。
リーズへの到達を果たすことなく存在を散らした風刃。構成が無理矢理に崩されたことによりリーズの体を風が撫でるが、それは当然負傷を負わせるものではなくなっている。
「・・・鎖、だと!?」
それを成したものが宙に揺れ光を弾いているのが目に入り、その正体に驚愕する。
「・・・まあ、なんだ。悪い癖なんだよ・・・怠け癖っていうのかね、あんたみたいに後ろに下がってしまう相手に会うと途端に面倒になっちまうんだ」
自分が成したことを特にどうということはなく振る舞うリーズだが、魔法で作られた風の刃を砕くなど並みのことではない。
「俺の手癖足癖が悪いのがいけないんだが、それはまあお互い様だ。離れているあんたが悪い」
「・・・ただの鎖ではないな」
「それはまあ、そりゃね」
ジャラリと鳴らされるそれを、あえて大きく振り回す。
八の字を描くように、ヒュン、ヒュンと。
先端に付けられた鉄球、その威力は先程見た通りだ。
「おたくと同じさ。シジルを刻んだ特別製、頑丈さは見ての通り、他にもいろいろあったりするんだがそこはいいだろう。
問題は、これで前進が可能になったということだ」
無造作に、一歩。
それまでと変わらぬその動作、鎖一本加わっただけでさらなる脅威となっている。
いうなれば鎖の結界だ。
ダールトンの風刃がこれを越えない限り、前進を止めることはできない。そしてそれは必殺の拳撃が射程圏に捉えるということである。
「さあ、回転率の勝負だ!! どっちもぶん廻してこうぜ!!」
「負けるものかぁああ!!!」
勝負は単純。
突進するリーズの鎖が勝つか。
待ち受けるダールトンの風刃が勝つか。
リーズが勝てば拳で決着。
ダールトンが勝てば風刃で決着。
「---おぉおぉおおおおお!!!」
渾身の力を込めて魔剣を振るうダールトン。
最早意地の張り合いである。
ここから一歩でも逃げようとすればそれで敗北は決定してしまうだろう。そんな負け方は許容できない。
だからこその全力、その場で踏ん張って必ずあの防御を抜ける。
その思いが体を支え、本来以上の力を発揮させる。
「---ッシャァアアアアア!!!」
対するはリーズ。
彼とて決死である。
いくら頑丈とはいえ、まともに鎖で受ければ切り捨てられてしまうだろう。
風刃の軌道を見極め、それに合わせて鎖を振るう。一合の度に吹き飛ばされそうになるのを引き戻しては次の斬撃に間に合わせるために全力で腕を振るう。
そして---
「---来たぜ、おい」
「---まだ、だぁああ!!」
両者の距離は残すところ後一歩。
それまでに交わした攻防、数にして十二。
この決闘、最後の時が訪れようとしていた。
「まだ! 負けではない!!」
ダールトンはそこで初めて自分から前に出た。
魔剣の風を刀身に纏わせて、その一撃を食らわせようとする。
これに対処するには避ける以外にない。
鎖の拘束はたちどころに切られて終わるだろう。
ではどうするか?
「上等!!」
さらなる加速、ただそれだけである。
敵の攻撃よりも早く自分の拳を叩き込む。
振りかぶった剣はリーチで勝る。届くのはダールトンが先か。
突進の更なる加速。前進の速度の勝るリーズが先か。
「はぁあああ!」
「しゃぁああ!」
果たして---
シンとした会場。
立っている人物をただただ眺めている。
二転三転したこの決闘。その本当の意味を知っているのは数少ない人たちだけ。
しかし、その戦いはあまりにも衝撃的であった。
圧倒的に不利と思われた一人の男、それはその戦い方が否定する。
一人、また一人と地に沈んでいく戦士たち。ついには一対一となる。
しかし相手もさるもの、奥の手の風の魔剣によって勝負は決したかに思われた。
そこからの攻防は目を疑うようなガチンコだ。
そして・・・そしてそれを制したのは---、
『---決着ぅううううう!!
激戦を制し、最後までこの場で立ち続けたのは!
---リーズ・ナブルだぁああああああ!!!』
最後の交差。
先に相手に届いたのは、俺の拳だった。
全速前進の一撃、相手の顔面を吹き飛ばし後方の壁へと叩きつけるほどの威力となったそれ。
意識のなくなったダールトン=スペルチナに向け、俺は別れを告げる。
「・・・やめたよ、命の取り合いは。そんなことよりも教えてもらった方がいいことがあることがあるようだしな。次に会うなら飯でも食おう」
---それでは、此れにて御免。
俺を称賛する会場の声援を背に受けながら、俺は肩口をほぐすふりをして退場する。
実のところギリギリだった。
拳が到達するのがもう少し遅かったら俺が負けていただろう。
服の中で出血しているところを押さえながら、億劫ではあるがこれからのことに頭を回す。
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