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生き残りを賭けた1週間
第2話 悲劇の逃走劇
しおりを挟む「う、うわぁあぁぁぁぁぁあ!?!?!?」
1人の悲鳴と共に悲劇は始まった。
流石に目の前に腹を空かせた化け物がいたら一溜りもない。
1人の悲鳴が伝染し、我先に我武者羅に外を目指す生徒達。済灘高校は最低でも3000人はおり、それらが一斉に黒龍から1番遠く小さな扉に群がる。
結果は見ての通り敷き詰まって進まない。
俺はそれを尻目に黒龍を観察。
黒龍は何から食べようとか考えているのかジロジロと扉に群がる生徒達を見やる。
真下にいる俺に気づいてはいるが気にしてない様子。
まぁ、千里眼で外にワイバーンの群れがお零れ狙いで舞っているのを見たため残っているのだ。
そして遂に黒龍は動き出した。
ノロマで太っちょな出歩頽蚋は逃げ遅れたのか後方にいて、そんな頽蚋に黒龍はかぶりついた。
その動作わずか3秒。
「ひぎゃああああああああああああああああッ!!!!!!いでェ!?イデェヨォ!?グギャアッ!!!!!」
左半身を食われても、生きていた頽蚋。死んだ方がマシだろう。俺はそう思う程悲惨だ。
そう思うのも束の間、ぶシュッ!という音とともに残りの身体を生きたまま咀嚼されて、出歩頽蚋は呆気なく死んだ。
先生達は扉が近かったのもあり既に全員逃げている。
俺はその間、気配遮断を使い、ステージの横にある狭い通路に入っていく。
そこから外へと脱出した。
黒龍は外に出ており、済灘高校生徒の誰かを食べたワイバーンを食べたりしていた。
地獄絵図
その一言しか言い様のない惨事である。
俺は裏口から済灘高校を脱出しようとした。だが…………
「いやぁぁぁぁぁ!!!!!!」
その声を聞いて踵を返した。何故って?そんなの、妹だからだ。
妹の優姫は生意気で強がりで不遜な態度を取る。本当なら見捨てる。けど、両親が遺した俺の唯一の宝物の様なものだからね。これくらいはしないと。
声が聞こえた方に着いたら、腰が抜けたのか、尻餅をつく優姫と今にも喰らい付こうとするワイバーンがいた。
このままだと間に合わない。
なので、魔法を試す。
「………………身体能力強化」
その一言で俺の走る速さが早くなった。その分魔力は消費した。
この魔法は聖魔法の1つで、全体的に肉体スペックを強化する。
それにより、ギリギリでワイバーンより先に優姫の元に着いた。
しかし、ワイバーンは目前。だから………
「えっ、まさか兄ち───」
俺は右手で何かを言っていた優姫を押し飛ばし、反動で優姫とは反対側に跳ぶことで回避。
…………………………したつもりなのだが、不可能だったようで、俺の右手は脇から先を思い切り食いちぎられた。
「っ……………………」
それに顔を顰めつつ立ち上がり、Uターンしてくるワイバーンに向けて無質錬成した武骨な槍を投擲。喉笛に突き刺さり、ワイバーンは死ぬ。
死を確認したら、顔を青ざめさせている優姫の手を引いて、済灘高校の敷地から出ていく。
黒龍は既に済灘高校の敷地から姿を消していた。
ほぼ無人となった街を歩き、ドラッグストア・コス〇スに立ち寄る。運良く誰もいなかった。
「ここなら暫く大丈夫だろうよ。………ん?どうかしたか、優姫?」
手を引かれてここまで来るまで終始無言だった優姫が何時になく目元に涙を貯めて泣き始めそうな顔をして俺を見ている。いや、正確には右腕のあったところだ。
「…………して………………どうして!?なんで助けたの!?あんたが私を助ける必要って無いじゃん!!!」
そして、目線を俺に合わせたかと思うと感情を爆発させた。
貯めていた涙がとめどなく頬を流れ落ちる。
優姫は独白する。その独白は自責の念が強いと俺は思った。
優姫は優姫自信が俺に対する態度が悪いことを自覚していたらしく、そこから自分をいの一番に見捨てるのは兄の俺だろうと確信めいたことを思ってたところ、真っ先に助けに来たののが俺だったことに混乱。
そして、目の前で腕を食われるところを見て顔を青ざめたらしい。
自分のせいで自由のきかない生活を強いる兄。これ以上兄に負担をかけたくない。だから彼氏とエッチしたいなどと嘘を吐いて居心地悪くし、出て生かせることで自分のことを気にせず過ごして欲しい。
今まではそんな思惑から態度を悪くしていたところにこれだ。
薄らと俺は感じた。幼く手のかかる妹が実は聡明で俺が過保護にならずともやって行ける強い心を持っていると。
両親の蒸発した真実を教えても大丈夫だろう。
「カッカッカッ、妹の世話焼きが負担?そんな訳あるまい!俺は1度も苦と思うとらんぞ。唯一の肉親。俺にとっては生きる意味でもある。それを奪われたら何も残らんだろう。お前に彼氏が出来たと言われた時はどう祝杯をあげようか悩んだものよ。祝儀は何時執り行うか話し合おうとしても会ったことないから出来なかったけど。お前が嫁ぐまでは面倒みるさ。」
だが、今はまだ語らない方がいいだろう。そう思い、親の話題にならないように宣言した。親について語らないのはこんな状況だからでもある。
「さて、平和だった地球が世紀末になってもうたが…………どうにか生き残らぬとなぁ…優姫、何か手はあるかね?運良く此処には必要なもん揃うとるさかい必要なもん片っ端から掻き集めるのは決まりとして…………おぉっと、そん前に覚悟しておいて欲しい。この世界で生き残るんには他を蹴落とさんとならへん。この意味わかるか、優姫?」
「…………うん。いざと言う時は見捨てろってことでしょ?…………でも、それって………」
「あぁ、いざと言う時は俺を見捨てんさい。見捨てたら生き残れ。俺は優姫が幸せになれるんなら身を粉にして動くけん。」
「っ………………………………分かった」
有無を言わさない圧をかけながら言った。卑怯と言われても、妹は必ず守り通す。唯一の肉親だから。ただそれだけ。
「………………それなら、まずは手当、しよ?」
「いや、今は持てる限りで荷物揃え────────」
「……………手当、しよ?」
「だから荷物──────────」
「しよっか?いや、する。……なんで下がるの?じっとして。」
取り敢えず、コス〇スで食品なり服なり武器なりを荷作ろうとしたら、優姫に止められた。
なんでもこの右をどうにかしたいのだろう。それをする余裕があればいいのだが、生憎と荷物を絞るのに忙しくなる。
だが、なんだろうか。優姫から何か狂気的なものを感じる。
結局、俺は優姫に羽交い締めにされて、医療品コーナーに引きづられて行った。
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