8 / 47
第二章 地底都市編
第二話「異変の原因」
しおりを挟む
夜が明けた。地下では朝を迎えられているのかが分からないが、朝になると部屋に置かれている魔石が光り始めて朝を教えてくれる。
黒石神殿へは、神殿区画にある転移装置を使えばすぐに向かうことができるようになっていた。
衛兵に案内され、五人は転移装置に乗る。
「どうか、ご無事で」
衛兵が深々と頭を下げた途端、目の前がぱっと切り替わり、気が付くとジュドたちは出口の転移装置に転移していた。
周りを見渡した感じでは、どうやら黒石神殿に続く坑道、その休憩地点に飛ばされたらしい。
「|転移装置って本当に一瞬なんだな」
初めての乗り心地にジュドは感心する。
「さぁ行くわよ。どうやら神殿までの道のりはそう長くないみたい」
「あぁ、みんな気を付けて行こう」
警戒しながら五人は坑道内を進む。
暗い岩肌の中、数分進むと開けた場所に出た。
辺りを見渡していると、突如空間が揺れ始める。
「なんだ!?」
五人は突然の出来事に動揺を隠すことができず、あまりの揺れに膝をついた。
揺れる視界の中、地響きと共に目の前に巨大な岩石の塊が現れたのだ。
巨大なそれは全身が岩石の集合体のような見た目をしており、頭部と思しき部分は獅子のような顔つきで背中には二個の大きな翼、肩には鳥のような顔がついている。
「あれは…マウントコアキマイラ!?」
モーリスが全員に聞こえる声で告げる。
「魔物か!?」
ジュドが慌てて聞き返す。
「本来は神殿の守衛として侵入者を防ぐよう創られた魔物で、敵意を向けたり攻撃しなければ襲って来ることがないはずじゃが…なぜかワシらを外敵と判断しているようじゃ!」
「まさか…これに冒険者たちはやられたのか?!」
ダグラスの研ぎ澄まされた感覚は巨大な塊のその奥からじわじわと溢れてきている禍々しいオーラを見逃さなかった。
「〝地揺れ〟の正体はこいつだ。こいつが野放しになっている原因が奥にある。まずはこいつを片づけるぞ」
全員、困惑しつつも目の前の現実に立ち向かうべく武器を手に取る。
すでにその巨体で攻撃をしかけて来ているのに対し、ジュド、ダグラス、システィの三人は注意を引きにかかった。
後ろではルシアが仲間の迷惑にならずに魔法を詠唱できる見晴らしのいい場所を探しながら走り、モーリスは前衛の後ろの陣取り強化魔法を味方に重ねる。
「《身体強化》」
「《刻印加速》」
詠唱中のモーリスを守る為、前で注意を引いていたダグラスに敵の強烈な一撃が叩きこまれる。
「…ッ!」
ギリギリのところで強化魔法が間に合った。
ダグラスは何とか全身で攻撃を受け止める。
とは言え、巨体の一撃で無傷なはずもなく、強靭な肉体を持つダグラスですら反動で怯んでしまう。
その隙に、システィは足を斬り落としにかかった。
「はぁぁぁぁぁぁ!」
硬い岩石で覆われた皮膚に切り込みが入る。
システィの斬魔刀は人を斬れないという制約がある代わりに魔物に特化した大剣だ。その大剣ですら切り込みを入れることしか叶わない。
「なんて硬さよ、こいつ!」
「モーリス!足場を頼む!」
ジュドが持ち前の剣撃が届く位置に行こうとして、モーリスに指示する。
「《突き出す地柱》」
詠唱とともに、瞬時にジュドの足元に土の踏み台ができ、それに乗ってジュドは上に上がっていく。
「《空遊剣舞》」
双剣による連撃でも岩石を一部を欠けさせるのがやっとだった。
善戦できない一行だが、次の瞬間、攻撃を仕掛ける三人の背後から光の槍が放たれた。
それは刃物では傷つけることができない硬い皮膚を貫く。
「威力が足りない…もっと速く…!」
ルシアが周囲に待機させていた光の槍が回転し始め、どんどん圧縮されていく。
「一分だけ時間を稼いで下さい!」
ルシアの一言に全員が守りの態勢に入った。
マウントコアキマイラも崩れた柱の上に陣取った魔術師を自身の脅威と判断し、目標めがけて襲い来る。
ジュドは剣の威力を落さずに手数を増やし攻撃を行う。
「ルシア!オレが斬ったところに撃ち込め!」
皮膚を少しでも薄くして魔術の通りをよくしようとしていたのだ。
ダグラスがルシアの前に入り敵と競り合い、モーリスが妨害魔術で敵を足止めする。
システィが斬りかかろうとしたところで獅子の頭部は地面が揺れるほどの咆哮をあげた。
その瞬間、前の四人は衝撃で坑道の壁まで吹き飛ばされてしまう。
「ぐはッ!!」
ルシアに巨体が差し迫った時、詠唱した魔術が炸裂する。
「《光輝の魔術大槍》」
ルシアの能力である二重魔術は放った魔術の威力を倍にするもので、魔術の元の威力に依存するものの強化魔術と合わせればとてつもない力を発揮する。
つまり、数十におよぶ光の槍、一本一本が本来ならあり得ない威力の魔術と化したのである。
放たれた槍は岩の魔物を易々と貫通し、いとも容易く粉砕した。
音を立てて崩れる巨体を横目に、吹き飛ばされたジュドたちは各々道具で傷を回復させる。
「神殿へ急ぐぞ!」
ジュドたちは魔力の酷使で疲労しているルシアを迎えに行き、坑道の最深部へと急ぐ。
奥に近づくにつれて異様な雰囲気が増していくのを五人はひしひしと感じていた。
黒石神殿へは、神殿区画にある転移装置を使えばすぐに向かうことができるようになっていた。
衛兵に案内され、五人は転移装置に乗る。
「どうか、ご無事で」
衛兵が深々と頭を下げた途端、目の前がぱっと切り替わり、気が付くとジュドたちは出口の転移装置に転移していた。
周りを見渡した感じでは、どうやら黒石神殿に続く坑道、その休憩地点に飛ばされたらしい。
「|転移装置って本当に一瞬なんだな」
初めての乗り心地にジュドは感心する。
「さぁ行くわよ。どうやら神殿までの道のりはそう長くないみたい」
「あぁ、みんな気を付けて行こう」
警戒しながら五人は坑道内を進む。
暗い岩肌の中、数分進むと開けた場所に出た。
辺りを見渡していると、突如空間が揺れ始める。
「なんだ!?」
五人は突然の出来事に動揺を隠すことができず、あまりの揺れに膝をついた。
揺れる視界の中、地響きと共に目の前に巨大な岩石の塊が現れたのだ。
巨大なそれは全身が岩石の集合体のような見た目をしており、頭部と思しき部分は獅子のような顔つきで背中には二個の大きな翼、肩には鳥のような顔がついている。
「あれは…マウントコアキマイラ!?」
モーリスが全員に聞こえる声で告げる。
「魔物か!?」
ジュドが慌てて聞き返す。
「本来は神殿の守衛として侵入者を防ぐよう創られた魔物で、敵意を向けたり攻撃しなければ襲って来ることがないはずじゃが…なぜかワシらを外敵と判断しているようじゃ!」
「まさか…これに冒険者たちはやられたのか?!」
ダグラスの研ぎ澄まされた感覚は巨大な塊のその奥からじわじわと溢れてきている禍々しいオーラを見逃さなかった。
「〝地揺れ〟の正体はこいつだ。こいつが野放しになっている原因が奥にある。まずはこいつを片づけるぞ」
全員、困惑しつつも目の前の現実に立ち向かうべく武器を手に取る。
すでにその巨体で攻撃をしかけて来ているのに対し、ジュド、ダグラス、システィの三人は注意を引きにかかった。
後ろではルシアが仲間の迷惑にならずに魔法を詠唱できる見晴らしのいい場所を探しながら走り、モーリスは前衛の後ろの陣取り強化魔法を味方に重ねる。
「《身体強化》」
「《刻印加速》」
詠唱中のモーリスを守る為、前で注意を引いていたダグラスに敵の強烈な一撃が叩きこまれる。
「…ッ!」
ギリギリのところで強化魔法が間に合った。
ダグラスは何とか全身で攻撃を受け止める。
とは言え、巨体の一撃で無傷なはずもなく、強靭な肉体を持つダグラスですら反動で怯んでしまう。
その隙に、システィは足を斬り落としにかかった。
「はぁぁぁぁぁぁ!」
硬い岩石で覆われた皮膚に切り込みが入る。
システィの斬魔刀は人を斬れないという制約がある代わりに魔物に特化した大剣だ。その大剣ですら切り込みを入れることしか叶わない。
「なんて硬さよ、こいつ!」
「モーリス!足場を頼む!」
ジュドが持ち前の剣撃が届く位置に行こうとして、モーリスに指示する。
「《突き出す地柱》」
詠唱とともに、瞬時にジュドの足元に土の踏み台ができ、それに乗ってジュドは上に上がっていく。
「《空遊剣舞》」
双剣による連撃でも岩石を一部を欠けさせるのがやっとだった。
善戦できない一行だが、次の瞬間、攻撃を仕掛ける三人の背後から光の槍が放たれた。
それは刃物では傷つけることができない硬い皮膚を貫く。
「威力が足りない…もっと速く…!」
ルシアが周囲に待機させていた光の槍が回転し始め、どんどん圧縮されていく。
「一分だけ時間を稼いで下さい!」
ルシアの一言に全員が守りの態勢に入った。
マウントコアキマイラも崩れた柱の上に陣取った魔術師を自身の脅威と判断し、目標めがけて襲い来る。
ジュドは剣の威力を落さずに手数を増やし攻撃を行う。
「ルシア!オレが斬ったところに撃ち込め!」
皮膚を少しでも薄くして魔術の通りをよくしようとしていたのだ。
ダグラスがルシアの前に入り敵と競り合い、モーリスが妨害魔術で敵を足止めする。
システィが斬りかかろうとしたところで獅子の頭部は地面が揺れるほどの咆哮をあげた。
その瞬間、前の四人は衝撃で坑道の壁まで吹き飛ばされてしまう。
「ぐはッ!!」
ルシアに巨体が差し迫った時、詠唱した魔術が炸裂する。
「《光輝の魔術大槍》」
ルシアの能力である二重魔術は放った魔術の威力を倍にするもので、魔術の元の威力に依存するものの強化魔術と合わせればとてつもない力を発揮する。
つまり、数十におよぶ光の槍、一本一本が本来ならあり得ない威力の魔術と化したのである。
放たれた槍は岩の魔物を易々と貫通し、いとも容易く粉砕した。
音を立てて崩れる巨体を横目に、吹き飛ばされたジュドたちは各々道具で傷を回復させる。
「神殿へ急ぐぞ!」
ジュドたちは魔力の酷使で疲労しているルシアを迎えに行き、坑道の最深部へと急ぐ。
奥に近づくにつれて異様な雰囲気が増していくのを五人はひしひしと感じていた。
0
あなたにおすすめの小説
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
鬼の兵法伝承者、異世界に転世せしむる
書仙凡人
ファンタジー
俺の名は桜木小次郎。
鬼一法眼を祖とする鬼一兵法の令和の伝承者。
だがある時、なぜか突然死してしまったのだ。
その時、自称神様の変なペンギンが現れて、ファンタジー世界の転生を持ちかけられた。
俺はヤケになって転生受け入れたら、とんでもない素性の奴にログインする事になったのである。
ログイン先は滅亡した国の王子で、従者に毒盛られて殺されたばかり。
なにこれ? クーリングオフねぇのかよ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
