虐げられた聖女は精霊王国で溺愛される~追放されたら、剣聖と大魔導師がついてきた~

星名柚花

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15:大聖女の奇跡

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『私もリーリエ好きだから助けるー!』
『そうだね、助けなくっちゃねー』
 無数の精霊たちが、異口同音に『助ける』と囁いている。

「…………」
 今度こそ涙が溢れたけれど、私は手の甲で目元を拭った。
 感動に浸っている余裕はない。
 精霊たちとの再会を喜ぶのも、フィルディス様が助かった後で良い。

 ――ええ、お願い。どうか私を助けて。あなたたちの力を貸して。フィルディス様は私の大切な人なの。絶対に失いたくない人なの。

 精霊たちに懇願しながら、私はもう一度フィルディス様の唇を自分の唇で塞ぎ、息を吹き込んだ。

『フィルディス、起きろー!! リーリエが泣いてるぞー!!』
『リーリエを泣かせちゃダメなんだよー』
『そうだ、起きろー!!』
『おっきろー!!』
 耳元で鳴り響く『起きろ』の大合唱。

 そして。

「――げほっ」
 フィルディス様の身体が跳ねた。

「!!!」
 私は目を見開き、重ねていた唇を離した。

「フィル!?」
 エミリオ様が身を乗り出して名前を呼ぶ。
 フィルディス様は苦しそうに咳き込んだ後、私を認識したらしく目を見張った。

「それ……」
 フィルディス様は私の額を見て唖然としている。
 鏡を見なくてもわかる。私の額には金色の《聖紋》が浮かび上がっている。

 しかし、そんなことはどうでも良い。

「身体の調子はどうですか!? 違和感は!? 痛いところはないですか!?」
 覆い被さるようにして、フィルディス様の顔を覗き込む。

『ないですかー?』
『かー?』
 精霊たちも私の真似をしてフィルディス様に近づき、大勢で取り巻いた。

「い、いや、どこも痛くない」
 互いの睫毛が触れそうなほどの超至近距離に、フィルディス様は動揺しきった様子で答えた。
 さっきまで真っ白だった顔がほんのり赤い。

「至って元気だ。ほら、この通り」
 フィルディス様は手をついて上体を起こした。
 左腕の裂傷も、右肩に空いていた穴も、もうどこにもない。
 見る限り、完全回復していた。

「すげえ。起きた」
「俺はいま奇跡を見たぞ」
「私も。これが聖女様の力か……」
 近くにいた男女の呟きを聞いて、フィルディス様は申し訳なさそうに私を見た。

「……もしかしておれ、死にかけてた?」
「死んでたんだよ馬鹿っ!!」
 エミリオ様がフィルディス様の肩をべしっと叩いて怒鳴った。
 エメラルドグリーンの瞳には涙が浮かんでいる。

『フィルディス起きたー!!』
『起きたー!!』
 精霊たちが飛び回ったり、手と手を取り合って踊ったりと大はしゃぎする中。
 私はフィルディス様を力いっぱい抱きしめて号泣した。
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