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94:可愛い人(4)
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「あ、ごめん。山神に言ったんだ。いまあいつ、ここにいる」
悠紀くんはさきほど見ていた辺りを指さした。
私には何も見えないけれど、この食堂には白い蛇がいるらしい。
自宅の食堂でとぐろを巻く巨大な蛇――想像すると物凄くシュールだ。
「山神さまがここにいるの? どうして?」
「俺が危なっかしいから、俺の守護霊ならぬ守護蛇になってくれるらしい。仮にも元・神様だから、低級のあやかしは近づけないし、やばそうな奴は追い払ってくれるって」
「本当に!? じゃあこれから悠紀くんがあやかし絡みのトラブルに巻き込まれることはなくなるの!?」
「今後どんなあやかしと遭遇するかわからないし、完全になくなると確約はできないけど、可能な限り被害を抑える努力はするって言ってる」
「ありがとうございます山神さま! なんとお礼を言えばいいのか……本当にありがとうございます!! 悠紀くんのこと、どうぞよろしくお願い致します!!」
私は立ち上がり、シャンデリアに向かって深々と頭を下げた。
「…………」
悠紀くんは無言で私を見ている。
「どうしたの? いま頭を下げた場所、全然見当違いだった?」
「いや、確かにちょっと右にずれてはいたけど、そんなことはどうでもいいんだ。紬は本当に、俺の言葉を信じてくれるんだなって感動した」
悠紀くんは頬を緩めた。
「当たり前でしょう。信じるよ。悠紀くんの言葉だもん。これからだって、ずっとずーっと信じ続けるよ」
すとんと腰を下ろし、手を伸ばす。
「ありがとう」
悠紀くんは私の指に自分の指を絡めた。俗にいう恋人繋ぎだ。
「そんな、お礼を言われるようなことじゃないよ」
言いながら、私は彼の桃色の唇を見つめた。
ビデオ通話をしたときに正孝さんから交際許可はもらっている。
高校を卒業するまでは健全な付き合いをするようにと言われたけれど、キスくらいなら……なんて。ダメかな?
「紬」
「はいっ」
私は飛び上がった。
「? どうした?」
「な、なんでもない。悠紀くんこそ、どうしたの?」
「そろそろ大広間に戻ろうって言おうとしただけ。ドライヤーの音もしなくなったし、テレビの続きを見たい」
繋いでいた手が離れた。
「うん、そうだね。戻ろう」
立ち上がり、椅子の背もたれを掴んで元の位置に戻そうとしたときだった。
視界の端から突然悠紀くんの顔が現れて、頬にキスされた。
「――!?」
びっくりして彼を見ると、悠紀くんの顔は赤くなっていた。
「い、行こう」
悠紀くんは目を逸らし、心なしか早足で食堂を出て行った。
「………………」
呆然とキスされた頬を押さえて思う。
唇ならまだしも、頬へのキスであんなに照れるとは――なんて純情で、可愛い人なの!!??
好き!!!!!
自分の中の『好き』ゲージが天井を突き抜けて限界突破したのを感じつつ、私は食堂の電気を消して扉を閉め、小走りに悠紀くんの背中を追いかけた。
「ねえ悠紀くん。来月の文化祭、一緒に回ろうね!」
悠紀くんはさきほど見ていた辺りを指さした。
私には何も見えないけれど、この食堂には白い蛇がいるらしい。
自宅の食堂でとぐろを巻く巨大な蛇――想像すると物凄くシュールだ。
「山神さまがここにいるの? どうして?」
「俺が危なっかしいから、俺の守護霊ならぬ守護蛇になってくれるらしい。仮にも元・神様だから、低級のあやかしは近づけないし、やばそうな奴は追い払ってくれるって」
「本当に!? じゃあこれから悠紀くんがあやかし絡みのトラブルに巻き込まれることはなくなるの!?」
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「ありがとうございます山神さま! なんとお礼を言えばいいのか……本当にありがとうございます!! 悠紀くんのこと、どうぞよろしくお願い致します!!」
私は立ち上がり、シャンデリアに向かって深々と頭を下げた。
「…………」
悠紀くんは無言で私を見ている。
「どうしたの? いま頭を下げた場所、全然見当違いだった?」
「いや、確かにちょっと右にずれてはいたけど、そんなことはどうでもいいんだ。紬は本当に、俺の言葉を信じてくれるんだなって感動した」
悠紀くんは頬を緩めた。
「当たり前でしょう。信じるよ。悠紀くんの言葉だもん。これからだって、ずっとずーっと信じ続けるよ」
すとんと腰を下ろし、手を伸ばす。
「ありがとう」
悠紀くんは私の指に自分の指を絡めた。俗にいう恋人繋ぎだ。
「そんな、お礼を言われるようなことじゃないよ」
言いながら、私は彼の桃色の唇を見つめた。
ビデオ通話をしたときに正孝さんから交際許可はもらっている。
高校を卒業するまでは健全な付き合いをするようにと言われたけれど、キスくらいなら……なんて。ダメかな?
「紬」
「はいっ」
私は飛び上がった。
「? どうした?」
「な、なんでもない。悠紀くんこそ、どうしたの?」
「そろそろ大広間に戻ろうって言おうとしただけ。ドライヤーの音もしなくなったし、テレビの続きを見たい」
繋いでいた手が離れた。
「うん、そうだね。戻ろう」
立ち上がり、椅子の背もたれを掴んで元の位置に戻そうとしたときだった。
視界の端から突然悠紀くんの顔が現れて、頬にキスされた。
「――!?」
びっくりして彼を見ると、悠紀くんの顔は赤くなっていた。
「い、行こう」
悠紀くんは目を逸らし、心なしか早足で食堂を出て行った。
「………………」
呆然とキスされた頬を押さえて思う。
唇ならまだしも、頬へのキスであんなに照れるとは――なんて純情で、可愛い人なの!!??
好き!!!!!
自分の中の『好き』ゲージが天井を突き抜けて限界突破したのを感じつつ、私は食堂の電気を消して扉を閉め、小走りに悠紀くんの背中を追いかけた。
「ねえ悠紀くん。来月の文化祭、一緒に回ろうね!」
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