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世界の異変
カヤの誕生日
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「お父様!この絵本の続きを読んでほしい!」
明日はカヤの5歳の誕生日。本を読むのが好きなカヤは父親であり、サウンドラ王国国王でもあるボイド・サウンドラの隣に座りわくわくしながら読んでくれるのを待っていた。
「いいぞ、カヤ。むかしむかし、水の魔法を扱う国と火の魔法を扱う国がありました。しかし両国は仲が悪く、いつも喧嘩ばかりしていました。その理由は自国の魔法こそが至高だと考えていたからです。そんな中ある日火の国の魔道具が暴走し火の国は焦土と化す寸前まで追い込まれました。その時大量の雨が火の国に降り注ぎ、火事を食い止めたのです。水の国の民が協力して火の国の民を救ったのです。」
「へえ!それでその二つの国はどうなったの?」
「お互い今までの愚行を認めたことで両国の間に友情が芽生え、平和な世界が生まれました。めでたしめでたし。」
絵本を閉じ、笑顔満天のカヤの頭を撫でるボイド。するとカヤが突然立ち上がり、決意をする。それは魔法で平和にするというものだった。
「お父様!私はこの空間魔法を国民の為に使う!この溢れでる魔力を最後まで出し尽くしても!」
「あぁ、その気持ちを忘れないように。カヤの魔法はサウンドラ王国にとって唯一無二の存在。さぁ明日はカヤの誕生日を国民が祝う日だ。早く寝て明日楽しい一日を過ごそう。」
「うん、分かった!おやすみなさいお父様!」
そして二人はベッドの中で寄り添い眠った。
・・・
「やぁ、サウンドラ王国の民よ!今日は我が娘、カヤの5歳の誕生日だ。是非皆で祝ってほしい。」
ボイドが城の外に集まっている国民に対しそう言葉をかけると、歓声が沸き拍手喝采に満ち溢れた。
「さぁカヤ、こちらに来なさい。」
「…うん!」
ボイドに抱えられたカヤを見た国民は笑顔で迎え入れ、その様子を見たカヤは嬉しい気持ちで溢れた。そしてカヤ自身も国民に声をかける。
「皆!私はこの素敵な国の王女として生まれて本当によかった!絶対に私の魔法でこの国を幸せにする!だからその、皆!仲良くしてください!」
カヤは平民、下民に対しても貴族、王族と変わらず接する優しい少女であった。
・・・
「では民よ、宴を始める!音魔法・幻想交響団!」
ボイドが魔法を唱えると国中全体に空想演奏者が現れ、金管楽器の思わず踊りたくなる温かみのある音色が国中に響き国民もノリノリになっていた。
「お父様の魔法やっぱり凄い!私も城下町行ってくる!」
そう言いながら王宮の階段をおりていくカヤ。ボイドは自身の家臣に後をついていくよう伝え、城の窓から下の様子を見ていた。
・・・
「カヤ様!こんにちは!」
「こんにちは!!」
音楽が流れる広場を踊りながら国民の間を抜き、草原へと足を踏み入れたカヤとその家臣。するとカヤは家臣の方に笑顔を向け、「来年も、再来年も…ずっと平和な国でいよう!」と言った。
「カヤお嬢様。本当に貴方はお優しいですね。私たちもより一層この国の為に尽力致します!」
家臣たちも微笑み、カヤの手を取ろうとする。すると突然国中にけたたましい警報が鳴り響いた。何事か!と驚く民衆。地響きがカヤたちの元へと届く。
そう、この時サウンドラ王国の隣国『大和』がサウンドラ王国を守る結界を大砲を使い破ろうとしたのだ。
「馬鹿な!大和とは友好関係を築いていたはず…!」
ボイドは焦る。大和とは貿易が盛んに行われており、刀と呼ばれる珍しい武器を仕入れ、こちらからは生活に便利な魔道具を送っていた。全く戦争になる要因がないというのに、大和勢力が何故か攻めてきたのだ。
「仕方ない、四大魔導戦士よ!我と共に食い止めるぞ!!」
ボイドは4人の魔導戦士と共に攻撃を受けている場所へと飛び、大和勢力の前に立ちはだかり説得する。
「大和の戦士たちよ。止まってくれ。我が国がなにかしたか?友好を築いていたはずだ。お互い小国で数千年もの間手を取り合ってきた。今戦争をしたらお互い不利益になろう。」
ボイドは危険を承知に前に出て矛を収めるよう促す。しかし次の瞬間大和の現状を知る事になる。貿易によって大和に渡ったサウンドラ王国の魔道具が大和の光景を写したのだ。
「これを見ろ。お前らの国の魔道具を欲しがった多くの国が我が国に攻め入り、抵抗したが攻め落とされ我が将軍、大我殿は処刑された。村も城下町も焼き払われ、今は俺達しか生き残りがいない。お前たちと友好関係を結んでいたからこんなことになった。絶対に許さない。」
この世界では魔法を扱える国が、サウンドラ王国しかなかった。その背景から他の国はその力を欲しがり、友好関係を結んでいた大和に目をつけ、圧倒的な力で文明を滅ぼしたのだ。それはあまりにも残忍で、大和の国民は一人残らず消されていた。しかし次の瞬間ボイドと大和の間に入り込む少女が一人いた。その子はカヤだった。
「この国を傷つけないで!!」
「か、カヤ!だめだこんなところに来ては!!」
カヤはボイドたちの前に割り込み庇う。
「ほう。王女様自らやってくるとは。サウンドラ王国は本当に幸せな国みたいだな。我が国を助けてくれなかったというのに。そうだ、王女を見せしめの刑に処し、サウンドラ王国の奴らに恐怖を与えよう。」
そう言いながらカヤの頭に手を伸ばそうとする大和の戦士。震えがとまらなくなったカヤは恐怖のあまり叫びながら膨大な魔力を放出してしまった。
「えっ?」
カヤが目を開けるとそこにはただの大地が広がっていた。大和の軍勢も、王国もなにもない。ただ地面をえぐり取られた大地が広がっていた。カヤの持つ空間魔法。それは空間を意のままに操れる禁術魔法と言われ、人を傷つける為にある呪いの魔法だった。
「嘘でしょ…?お父様、皆!!どこ行ったの!!」
砂埃が消え、ただ静寂を保った大地を一人歩く少女。その姿は夜が更けても尚なくならなかった。
・・・
次の日の朝。カヤは地下洞窟を発見し、奥地へと向かうと空間魔法に関する書物が保管されている倉庫を見つけた。
「禁術…。呪い?」
その倉庫は不気味だった。カヤはその扉を開け、机の上に置いてあった本を手に取る。それを見て驚愕した。その本には”空間魔法は人も文明も全て壊す為その魔法を持った魔導士はその命を絶たなければならない”と記されていた。その瞬間カヤは今までの事を思い出す。
「私がその存在…?皆なんで教えてくれなかったの?私が王族だから…?無理して接してくれていたの?もうどうすればいいのか分からない!!助けて!!うわぁぁぁ!!!」
自身に込められた呪いの魔術を身をもって知ったカヤは5歳の誕生日という祝いの日に人間を信じる事が出来なくなってしまった。
明日はカヤの5歳の誕生日。本を読むのが好きなカヤは父親であり、サウンドラ王国国王でもあるボイド・サウンドラの隣に座りわくわくしながら読んでくれるのを待っていた。
「いいぞ、カヤ。むかしむかし、水の魔法を扱う国と火の魔法を扱う国がありました。しかし両国は仲が悪く、いつも喧嘩ばかりしていました。その理由は自国の魔法こそが至高だと考えていたからです。そんな中ある日火の国の魔道具が暴走し火の国は焦土と化す寸前まで追い込まれました。その時大量の雨が火の国に降り注ぎ、火事を食い止めたのです。水の国の民が協力して火の国の民を救ったのです。」
「へえ!それでその二つの国はどうなったの?」
「お互い今までの愚行を認めたことで両国の間に友情が芽生え、平和な世界が生まれました。めでたしめでたし。」
絵本を閉じ、笑顔満天のカヤの頭を撫でるボイド。するとカヤが突然立ち上がり、決意をする。それは魔法で平和にするというものだった。
「お父様!私はこの空間魔法を国民の為に使う!この溢れでる魔力を最後まで出し尽くしても!」
「あぁ、その気持ちを忘れないように。カヤの魔法はサウンドラ王国にとって唯一無二の存在。さぁ明日はカヤの誕生日を国民が祝う日だ。早く寝て明日楽しい一日を過ごそう。」
「うん、分かった!おやすみなさいお父様!」
そして二人はベッドの中で寄り添い眠った。
・・・
「やぁ、サウンドラ王国の民よ!今日は我が娘、カヤの5歳の誕生日だ。是非皆で祝ってほしい。」
ボイドが城の外に集まっている国民に対しそう言葉をかけると、歓声が沸き拍手喝采に満ち溢れた。
「さぁカヤ、こちらに来なさい。」
「…うん!」
ボイドに抱えられたカヤを見た国民は笑顔で迎え入れ、その様子を見たカヤは嬉しい気持ちで溢れた。そしてカヤ自身も国民に声をかける。
「皆!私はこの素敵な国の王女として生まれて本当によかった!絶対に私の魔法でこの国を幸せにする!だからその、皆!仲良くしてください!」
カヤは平民、下民に対しても貴族、王族と変わらず接する優しい少女であった。
・・・
「では民よ、宴を始める!音魔法・幻想交響団!」
ボイドが魔法を唱えると国中全体に空想演奏者が現れ、金管楽器の思わず踊りたくなる温かみのある音色が国中に響き国民もノリノリになっていた。
「お父様の魔法やっぱり凄い!私も城下町行ってくる!」
そう言いながら王宮の階段をおりていくカヤ。ボイドは自身の家臣に後をついていくよう伝え、城の窓から下の様子を見ていた。
・・・
「カヤ様!こんにちは!」
「こんにちは!!」
音楽が流れる広場を踊りながら国民の間を抜き、草原へと足を踏み入れたカヤとその家臣。するとカヤは家臣の方に笑顔を向け、「来年も、再来年も…ずっと平和な国でいよう!」と言った。
「カヤお嬢様。本当に貴方はお優しいですね。私たちもより一層この国の為に尽力致します!」
家臣たちも微笑み、カヤの手を取ろうとする。すると突然国中にけたたましい警報が鳴り響いた。何事か!と驚く民衆。地響きがカヤたちの元へと届く。
そう、この時サウンドラ王国の隣国『大和』がサウンドラ王国を守る結界を大砲を使い破ろうとしたのだ。
「馬鹿な!大和とは友好関係を築いていたはず…!」
ボイドは焦る。大和とは貿易が盛んに行われており、刀と呼ばれる珍しい武器を仕入れ、こちらからは生活に便利な魔道具を送っていた。全く戦争になる要因がないというのに、大和勢力が何故か攻めてきたのだ。
「仕方ない、四大魔導戦士よ!我と共に食い止めるぞ!!」
ボイドは4人の魔導戦士と共に攻撃を受けている場所へと飛び、大和勢力の前に立ちはだかり説得する。
「大和の戦士たちよ。止まってくれ。我が国がなにかしたか?友好を築いていたはずだ。お互い小国で数千年もの間手を取り合ってきた。今戦争をしたらお互い不利益になろう。」
ボイドは危険を承知に前に出て矛を収めるよう促す。しかし次の瞬間大和の現状を知る事になる。貿易によって大和に渡ったサウンドラ王国の魔道具が大和の光景を写したのだ。
「これを見ろ。お前らの国の魔道具を欲しがった多くの国が我が国に攻め入り、抵抗したが攻め落とされ我が将軍、大我殿は処刑された。村も城下町も焼き払われ、今は俺達しか生き残りがいない。お前たちと友好関係を結んでいたからこんなことになった。絶対に許さない。」
この世界では魔法を扱える国が、サウンドラ王国しかなかった。その背景から他の国はその力を欲しがり、友好関係を結んでいた大和に目をつけ、圧倒的な力で文明を滅ぼしたのだ。それはあまりにも残忍で、大和の国民は一人残らず消されていた。しかし次の瞬間ボイドと大和の間に入り込む少女が一人いた。その子はカヤだった。
「この国を傷つけないで!!」
「か、カヤ!だめだこんなところに来ては!!」
カヤはボイドたちの前に割り込み庇う。
「ほう。王女様自らやってくるとは。サウンドラ王国は本当に幸せな国みたいだな。我が国を助けてくれなかったというのに。そうだ、王女を見せしめの刑に処し、サウンドラ王国の奴らに恐怖を与えよう。」
そう言いながらカヤの頭に手を伸ばそうとする大和の戦士。震えがとまらなくなったカヤは恐怖のあまり叫びながら膨大な魔力を放出してしまった。
「えっ?」
カヤが目を開けるとそこにはただの大地が広がっていた。大和の軍勢も、王国もなにもない。ただ地面をえぐり取られた大地が広がっていた。カヤの持つ空間魔法。それは空間を意のままに操れる禁術魔法と言われ、人を傷つける為にある呪いの魔法だった。
「嘘でしょ…?お父様、皆!!どこ行ったの!!」
砂埃が消え、ただ静寂を保った大地を一人歩く少女。その姿は夜が更けても尚なくならなかった。
・・・
次の日の朝。カヤは地下洞窟を発見し、奥地へと向かうと空間魔法に関する書物が保管されている倉庫を見つけた。
「禁術…。呪い?」
その倉庫は不気味だった。カヤはその扉を開け、机の上に置いてあった本を手に取る。それを見て驚愕した。その本には”空間魔法は人も文明も全て壊す為その魔法を持った魔導士はその命を絶たなければならない”と記されていた。その瞬間カヤは今までの事を思い出す。
「私がその存在…?皆なんで教えてくれなかったの?私が王族だから…?無理して接してくれていたの?もうどうすればいいのか分からない!!助けて!!うわぁぁぁ!!!」
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