無明剣零

青鳥翔

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世界の異変

緊張の間

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 「カヤ、これからセキトに戻るけどその前にしなければならない事がある。それは大統領との対談だ。緊張すると思う。でも大丈夫、僕がそばについているから。」

 その言葉に頷くカヤ。そして遠隔映像通信機器を通じて面会が始まった。

 『サイン。その少女は…?』

 「サウンドラ王国の生き残り、王女のカヤです。彼女はたった今襲ってきた戦闘機から助けてくれました。これをご覧ください。」

 サインは戦闘機から発せられた光により抉られた大地を大統領にみせる。攻撃を受けた部分は真っ赤に染まっており、熱く煙を発していた。

 「カヤの発言によると、戦闘機に魔道具という魔法を放つ道具が積まれていたとか。そしてその戦闘機は北東、ブルの方向から飛んできた模様です。」

 『なるほど。まだ理解が追いついていないが、そこにいる少女が我が調査団を救ってくれたというわけだな。ありがとう、カヤよ。』

 その言葉に首を横に振るカヤ。

 「私は、この制御の効かない魔法で貴方方の調査団を傷つけてしまった。本当に申し訳ない事をしてしまいました。ごめんなさい。」

 「カヤ…。」

 その姿をみたシン。処罰を受ける事を覚悟していたカヤだったが、結果は違った。シンは処罰の件はなにも言わずなぐさめたのだ。

 『子供は突然の出来事にパニックを起こす事が多い。我々調査団に敵意を向けるのも必然だ。カヤよ、確かに攻撃した事は調査団に恐怖を植えつけた。だが、破壊された我らの国の飛行機を見て分かった。君が命を張って守ってくれた事を。だからそんな悲しそうな顔をするな。子供は笑顔で無邪気でいる事が大切なのだから。』

 「…はい。」

 カヤは悲しみと同時に安心感が生まれた。他国の長がどんな人物なのか疑っていたからだ。しかしシンが全く敵意のない人間だと分かったカヤは強張っていた顔が少し緩んだ。

 「話に割り込んでしまい申し訳ありません。シン大統領。調査をしていたところこのような書物をサインが見つけまして。サウンドラ王国5千年の記録が残された書物です。これは歴史的発見ではないかと思いまして。」

 『おお!楽しみに待っている。カヤ、君とも二人で話がしたい。大丈夫か?』

 「はい。」

 そして通信が切れ、サイン率いる調査団は帰りの支度をすることとなった。

・・・

 「カヤ。君の魔法で僕たちの国、セキトに僕たちを送る事は出来るかい?」

 「えっ、そんな事した事ないです…。」

 すると歴史学者が書物を持ちながら手を挙げた。

 「カヤ、この文字が転送魔法の言葉らしいが、読めるか?」

 その文字を見るカヤ。するとその言葉に涙した。

 「えっ、どうしたの…?」

 「この国の魔法の術式で使われる言葉は、初代国王が創ったものなんです。この国の人しか読めない言葉なんです。ここでは”怪我をしている者がいる。君に出来るだろう?勇気をだして前をむいて進め”と書かれていました。」

 これは偶然だが、この言葉はカヤの背を押してくれるものだった。そしてその術式を唱えると同時に巨大な扉が出現したのだ。

 「皆さん、どうぞ入って下さい!行き先は大統領の間にしてありますので。そしてサインさん。少しいいですか…?」

 次々入っていく調査団につられて入ろうとしたサインを止めるカヤ。どうしたの?と感じたサインだったが、調査団が皆いなくなったところでカヤはサインに謝った。

 「ごめんなさい!外の人間がこんなに優しいなんて知らなかった。図書館でみた外の人間は非道の限りを尽くす人種と書かれていたから怖かったんです。もしあの時殺意が暴走していたらまた笑顔を奪う事になっていた。本当にごめんなさい!」

 「…。カヤ、こっちを見て。」

 カヤがサインの顔を見るとサインは真剣な顔をしていた。どうしたの?と首をかしげるカヤだったが、サインはしゃがみカヤの頭を撫でる。

 「よく数日間一人で頑張ったね。もう十分だよ、こんな可哀想な事は今後絶対させない。だから言い方が悪いけどサウンドラ王国にお別れの挨拶をして共に行こう。」

 「うん…!」

 カヤは涙を拭い、なにもない大地に手を合わせた。この国の別れの挨拶なのだろうと察したサインも手を合わせ、長い数十秒の時を目を閉じ亡くなった人たちの慰霊をし、二人はセキトへの扉へと入っていった。
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