異世界転移して獣人王子様に見初められた俺がオメガになって世界を救う、かもしれない!?

わをん

文字の大きさ
45 / 95

012-③ 告白!

しおりを挟む



 翌朝。食事の配膳に来たジークより業務連絡。

「教授を増やした」
「あ、はい。わかりました」

 ジークは俺に気を許さない。

 で。

 食事を終えて間もなく、言語のクマ先生よりも更に大きいクマがやってきた。たくさんの本を抱えて。

 テーブルに向かい合って初見のクマ先生を見上げながら、俺は思う。

 これ、グリズリーとかいうんじゃないの……。

 そしてにわかに始まったのは、グリズリーによる歴史の授業である。

 丸メガネをかけたグリズリーは白髪混じりの毛並み。おじいちゃんぽい。教え方はゆっくりで丁寧。
 
 午前が終わり、昼が来る。食事を届けにやってくるジーク。

 そして、俺の食事中にノックされる扉。

 ジークと一緒に現れたのは鳥人間。午後は枢機卿の部下による宗教学。

 俺は慌ただしく食事を片付ける。

 鷲かな? ちょっと色々混ざってる気もするけど。鋭い嘴に啄まれそう。

 それから、また。

 夕食前。相変わらずの曇り空の下、ルーフバルコニーでタヌキと謎の踊りでエクササイズ。
 エクササイズが終わるとタヌキ先生は速やかにさようなら。

 俺はタヌキ先生を見送った後、急いでシャワールームへ。俺が寝るまで来客は続くと踏んでいる。このタイミングでないとシャワーできない。

 案の定、出てから直ぐだ。
 髪を乾かしているところで、扉が叩かれる。

 タイミングよくやって来た猫二人は鉢巻きをして完全にヤル気だった。

「どうも、どうもぉ。お掃除しに来ましたぁ。いやあ、そんな汚れていなそうだ、今日はやらなくていいですかぁ」
「こら。いやぁ、失礼な弟ですみません」
「だってこの間掃除したばかりじゃないか」
「仕事放棄みたいなことは恥ずかしいからやめなさい」

 なんと、猫は英語を話す。ついでに漫才のおまけつき。

 猫の背後には一切合切の冗談が通じなさそうなジーク。
 この対比はちょっと面白いかもしれない。

「中に入っても?」
「あ。はい、お願いします」

 猫を部屋の中に通すと、ジークは帰る。

 基本的に俺の部屋の来客はジークが連れてくる仕様になっている。

 さて、猫は箒を股に挟み、袖を捲りながら俺を見て言う。

「どうですか、調子の方は。匂い消し、ちゃんと効いてますか?」
「匂い消し?」
「ええ。強めにしときました」

 なんと。消臭効果が備わっていたのか、この部屋は。

「どうやって匂い消しをしてるの?」
「おまじないですぅ。空気の流れをよくするのですぅ」

 にゃんこの結界は空気清浄機能付きだ。

 教授陣はそれぞれ香水をつけてやって来る。その気遣いを、匂いに敏感になってしまった俺が気づかないわけはなくて、心の底からありがたいと思っていた。

「サベラには様々な種がおりますからね。アルファもベータも匂いをとても気にします。調香師に言えば好きな匂いを作ってもらえますよ」
「へえ」

 二匹、もとい二人は双子のような連携プレーで広い部屋をザッと掃除してくれる。
 
 サベラの毛は結構抜けるらしい。リビングはカーペットだから、箒は使えない。掃除機のようなもので吸い込んでいく。
 
 騒がしい掃除だ。この猫たちは出会ったときからいつも忙しない。

 俺の記憶にある猫は、なんというかゴロゴロしている。

 猫が働く間、俺は歴史と言語を予習に復習。あんまり集中はできない。

「あれ?」

 寝室で、素っ頓狂な声を出した後にコソコソ話し始める猫。

 つい気になってしまって、俺は勉強を中断。立ち上がって、二人の傍へ。

「何か問題でも?」
「うーん。ここ、誰か入って来ましたか?」

 振り返った猫二人に心配顔をされて、俺は咄嗟に白い老猫を思い出した。

「いや。寝室には誰も」

 猫は顔を見合わせて二人して顎に手をやって考え込む。

「弱かったかなあ」
「かなあ。昨日の夜かなぁ」

 弱いって、結界のことか?

「……何があったんですか?」
「チョコレートです」
「チョコレート」

 猫は寝室のテーブルに置いてあった木箱を手に取る。

「これですぅ。ニンゲンはチョコレートが大好きですよねぇ。僕たちは好きじゃありませんけど。街には何軒も専門店があって、いずれも大人気なんですよぉ」
「そうなんですか。行きたいな」

 あまり部屋の物には触れないようにしているので気づかなかった。

 直近の甘いものの記憶といえば、マルチーズの奥さんが作ってくれたカップケーキ。
 
 また食べたいな。

「誰がくれたかわからないものなら、捨てた方がいいのでは?」
「いいえぇ。誰かさんからの贈り物かもしれません。予約でしか買えないシリーズですよぅ」
 
 この二匹、もとい二人は同じ顔をしているが、喋り口調が全然違うんだ。

「特別なときに相手にあげるものです」

 猫はしばらく話し合っていたが、結論。

「大丈夫そうです」
「え。誰が置いたものかわからないのに?」
「我々が毒味するわけにもいきません。どうぞご自由に」

 猫はトボけてた。

 そんな怪しいもの食べられませんけど。俺はブラウニーで自由を失った。チョコ味に誤魔化されたんだ。

「ジークに話してみようか?」
「笑われますよ」

 ジークは笑わないと思うし。

 誰なんだ、そのチョコレートをくれたのは。教授陣の誰かか?




 その夜、俺は夢を見た。

 俺がいるのは森の中にある石造りのパティオ。

 パティオの下の丸いテーブルには、アフタヌーンティーセットが既に設えてある。

 奥の席には母さんがいて、その真向かいにウィルがいて、俺は真ん中に座っている。

 俺の前にも、もう一人。

 俺は今、立ち上がって、茶を淹れている。

 ウィルは頭に金糸の刺繍が美しいターバンを巻いて、上等な着物を着込んだ上に華美とも言える装飾品を身につけて、相変わらず偉そうにふんぞり帰って座っているのだが、エプロン姿の母さんはそれについて何とも思っていなさそう。

「この子は小さいときから本が好きで。絵本なんかにありますでしょう、人が騙されたり、哀しむことに本気で心を痛めて怒るような子だったんです。そうならないようにどうしたらよいかと考えて、一人で悩むような、自分の殻に閉じこもりがちの。あなたのような人の傍にいて、落ち着かないんじゃないかしら」
「そうですね。すぐに感情が昂るようで見ていて面白いです。非常に感情的でニンゲンらしい。しかし、彼なりの正義があると解釈しています」
「いいんですか、この子で。落ち着きもないし、元々体も弱くて」
「私は——」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完】心配性は異世界で番認定された狼獣人に甘やかされる

おはぎ
BL
起きるとそこは見覚えのない場所。死んだ瞬間を思い出して呆然としている優人に、騎士らしき人たちが声を掛けてくる。何で頭に獣耳…?とポカンとしていると、その中の狼獣人のカイラが何故か優しくて、ぴったり身体をくっつけてくる。何でそんなに気遣ってくれるの?と分からない優人は大きな身体に怯えながら何とかこの別世界で生きていこうとする話。 知らない世界に来てあれこれ考えては心配してしまう優人と、優人が可愛くて仕方ないカイラが溺愛しながら支えて甘やかしていきます。

転生したら猫獣人になってました

おーか
BL
自分が死んだ記憶はない。 でも…今は猫の赤ちゃんになってる。 この事実を鑑みるに、転生というやつなんだろう…。 それだけでも衝撃的なのに、加えて俺は猫ではなく猫獣人で成長すれば人型をとれるようになるらしい。 それに、バース性なるものが存在するという。 第10回BL小説大賞 奨励賞を頂きました。読んで、応援して下さった皆様ありがとうございました。 

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

竜の生贄になった僕だけど、甘やかされて幸せすぎっ!【完結】

ぬこまる
BL
竜の獣人はスパダリの超絶イケメン!主人公は女の子と間違うほどの美少年。この物語は勘違いから始まるBLです。2人の視点が交互に読めてハラハラドキドキ!面白いと思います。ぜひご覧くださいませ。感想お待ちしております。

神様の手違いで死んだ俺、チート能力を授かり異世界転生してスローライフを送りたかったのに想像の斜め上をいく展開になりました。

篠崎笙
BL
保育園の調理師だった凛太郎は、ある日事故死する。しかしそれは神界のアクシデントだった。神様がお詫びに好きな加護を与えた上で異世界に転生させてくれるというので、定年後にやってみたいと憧れていたスローライフを送ることを願ったが……。  2026/01/09 加筆修正終了

氷の騎士団長様の悪妻とかイヤなので離婚しようと思います

黄金 
BL
目が覚めたら、ここは読んでたBL漫画の世界。冷静冷淡な氷の騎士団長様の妻になっていた。しかもその役は名前も出ない悪妻! だったら離婚したい! ユンネの野望は離婚、漫画の主人公を見たい、という二つの事。 お供に老侍従ソマルデを伴って、主人公がいる王宮に向かうのだった。 本編61話まで 番外編 なんか長くなってます。お付き合い下されば幸いです。 ※細目キャラが好きなので書いてます。    多くの方に読んでいただき嬉しいです。  コメント、お気に入り、しおり、イイねを沢山有難うございます。    

異世界に転移したら運命の人の膝の上でした!

鳴海
BL
ある日、異世界に転移した天音(あまね)は、そこでハインツという名のカイネルシア帝国の皇帝に出会った。 この世界では異世界転移者は”界渡り人”と呼ばれる神からの預かり子で、界渡り人の幸せがこの国の繁栄に大きく関与すると言われている。 界渡り人に幸せになってもらいたいハインツのおかげで離宮に住むことになった天音は、日本にいた頃の何倍も贅沢な暮らしをさせてもらえることになった。 そんな天音がやっと異世界での生活に慣れた頃、なぜか危険な目に遭い始めて……。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

処理中です...