異世界転移して獣人王子様に見初められた俺がオメガになって世界を救う、かもしれない!?

わをん

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012-② 告白!

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「心配だな」

 オズは見透かしてくる。

「カイは今、ウィルとの契約が弱い。婚姻の儀式まで日がある。それまでもウィルのフェロモンで偽装した方がいい。その匂いは想定以上だ」
「え?」

 俺からどんだけどんな匂いがしてんの!

「オズよりも?」
「当たり前だよ」
「当たり前って。自分ではよくわからないんだ。ウィルからは契約だと言われたけど、適当に噛まれた気がしてる。ちゃんと噛まれとけってこと? えぇえ?」

 かなり痛いんだけど。

「マーキングみたいなものだよ。体液を混ぜ合うんだ。血とか、唾液……」
「血!?」
「ほら」

  オズが急に首元を曝け出したので、こっちは目を隠してしまった。
 
「見て」

 オズがぐいっと前に来て、それはいやでも目に飛び込んできた。
 肌に刻まれた傷痕は想像していたような歯型ではなかった。

「それ、ウィルが……?」
「ああ。でも、もう全然わからないだろ。今のカイよりも弱かった」
「弱い?」
「そう、弱い」

 オズはいそいそと首元を仕舞う。俺はホッとする。

「だから、早く上書きしてもらう」
「えっ」
「今度はウィルに頼まないから安心して」

 どう反応していいのかわからん……。

 オズとウィルは割り切った大人の関係という奴なのか……。ウィルの子供っぽさからは想像がつかないのだが……。

 想像、したくない……。

 俺が黙り込んだのを見て、オズは首を傾げる。

「カイ、風車の塔でウィルからもらった懐中時計、まだ持ってる?」
「え。……ああ、うん。使ってもいいって解釈して勝手に借りてるだけでもらったわけじゃない。あ、今もつけてるよ」

 俺はネックレスのチェーンを引っ張り出す。

「それは前国王がウィルにあげたものだ」
「げっ」

 前の王様!

「そんな大事なものだったんだ。じゃあ、返した方がいいかな……」
「私が言いたいのは、カイが持っていたからその時計が無事だったってこと。聞いたと思うが、風車の塔は襲撃で崩壊した。焼失を免れた、いくつかの重要なもののひとつがそれ」
「ウィルは何も言っていなかったけど」
「ありがとう、なんて言わないよ。ウィルは」
 
 確かに。

「この時計、向こうの世界のものなんだな」

 俺は時計の後ろに彫られた文字を読んでいる。

「そうだ。前国王の番が持っていた」

 思い出の品、というやつだ。

「そうなんだ。壊さないようにしなきゃな。首に下げてると落ち着くんだ」
「重くない?」
「全然」

 それから、俺はちょっと間を置いて、言った。

「何で俺なんだろ、とずっと思ってる」

 すると、オズがとても驚いた顔をした。
 
「何でって、それは……」

 オズは口に手を添えて、内緒話するかのように身を乗り出してくる。

「先生、言ってなかった? 男オメガになるためには条件があるって」
「条件?」
「まさか聞いてないのか。信じられないな、あの人……」
「え」

 そのとき、扉が叩かれた。俺とオズはピクリとして扉の方を見る。ギンギツネが開ける。

 現れたのはジークだった。

「レナード。久しぶりだな」

 ジークがギンギツネに向かって言う。これくらいならこの国の言葉は俺にもわかるぞ。

 ギンギツネは頭を下げるだけ。

 堂々と部屋に入ってくるジークに連れられてきたのは。

 ヒョウとクマと……、タヌキ!

 何、その組み合わせ!

「うわあ、凄い」

 言葉を失った俺の前に出たオズが感嘆の声を上げた。

「これは本気だな。アカデミーから教授を連れてきた。私のときとは全然メンバーが違うじゃないか」
「オズ。時間だ」

 ジークはオズにも愛想がない。

「わかってる。帰る」

 オズは立ち上がる。

「カイ。また来るよ」
「オズ。俺からも会いに行ける?」
「うーん。カイはこっちに来ない方がいい……。私の番が何と言うか」
「え」

 こっちってどっち。

「アルファは嫉妬深いんだ。ウィルもだろ。そうそう、外に出たかったら必ずウィルとね。一人ではだめだよ」
「そんなこと言ってたら、ますますウィルと離れられないじゃないか」
「離れる必要が?」

 オズは足取り軽やかに去っていった。
 若干モヤついてる俺を置いて。
 で、代わりにジークだ。

「紹介しよう。彼らが今日から君の家庭教師になる……」

 ジークだけでも部屋を狭く感じさせてくるのに、犬より大きいヒョウとクマに圧倒されながら、俺はタヌキを見て……、少し安心してしまった。

 更に絵本の世界になってしまったな、ここは。

 面談という名の尋問を受けたのちに、始まったのはタヌキによる護身術指導。マンツーマンである。

 タヌキに窓の外に出されて捲し立てられる。何を言われているかはわからない。

 木刀を持って、キレのある動きをする、襷掛けしたタヌキ……。

 ハーフバルコニーで踊りのような体術を習う俺。

 夜はジークが持ってきてくれた食事を摂りながらのヒョウによるマナー指導。

 ……どこにでもいるんだな、マナー講師って。

 それが終わると、クマがやってきて言語強化。クマは英語を話してくれるし、教え方はすこぶるやさしいが、本能的に俺の体が恐怖している。

 ヒグマだと思うんだ……。とにかく覚えなきゃ食われそうな緊張感を食らって一日が終わる。

 俺はクマを見送ってから。

 フラフラ歩いていってベッドの上に横たわり。

 泥のように寝た。


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