異世界転移して獣人王子様に見初められた俺がオメガになって世界を救う、かもしれない!?

わをん

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014-③ 誓い!

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 まだ、大丈夫だ。ここまでは許せる範囲……。相手は犬。犬……。

 自分にいくら言い聞かせても、予期していなかった現状に動揺が止まらない。

 元々スリスリもしつこい奴ではあったが、これもスリスリ以上にしつこい。

 これがキスだと解釈して。

 俺、初めてなんだけど!?

 ペロペロされ続けたあと、首元を甘噛みされた。放心状態の俺からウィルがゆっくりと離れていった。

「………」

 視線がかち合う。

 捻り出せ、言葉を! 俺! しっかりしろ!
 
 甘い雰囲気に呑み込まれるな!

「な、何でもっと強く噛まないんだよ」
「前に騒がれたからな?」
「オズから……、お前の匂いが弱いって言われたんだけど」
「俺に噛まれたいのか?」
「いや……」

 そうだ、ウィルはオズの首も噛んでいた……。

 ウィルがこうして肌を触れ合わせるのは俺だけじゃない……。

 どこかで別の誰かにも……。

「だから、こうして定期的に上塗りしてるだろ。足りないのか?」

 俺の腕を拘束し、ウィルがスリスリしてくる。

「もう、よせ」
「嫌か?」

 ウィルの胸を押したら、逆に引き寄せられてしまった。

 スリスリついでに、背中をさすられる。

 その手が。俺の寝巻きの中にスルリと入ってきた。

 それで俺の体がビクついたのに、ウィルは気づいたはずだ。

「お前……、何、してんの……」
「………」

 俺は上半身の寝巻きの下に何も着てない。
 息を荒くしたウィルの手の動きは次第に大胆になっていく。

 その大きな手が胸の方に回ってきたときはさすがに引き剥がそうとした。

「……やめろ、つ、つまむな、おい、ちょっと」

 俺はウィルの手首を掴むが、上手く力が入らない。

 いつもよりウィルの圧も強い。

「ど、どこまでするつもりなんだ」
「お前が俺のものだということを確かめたい……」
「俺にこんなことしてくるバカはお前以外いない。確かめるとかそんな……」
「こんなにいい匂いをさせて? 誰もお前に擦り寄らないのか?」
「当たり前だ」

 俺は元の世界でもモテなかった。不運が影響して、何事も平均以下で目立たない陰キャだったからな……。

 実際にこの世界でも俺は不人気。異世界から来た得体の知れない俺に接触してくるサベラは限られている。

「お前の首巻やら着物やらを借りてるから警戒されてるんじゃないのか?」
「いい虫除けになったな」
「俺自身がお前の匂いに安心するから身につけてただけだけど」
「ジークもだ」
「ジーク?」
「ジークがいるから誰もお前に近寄れないんだ」
「え?」

 あ、そういうこともあるのか。ジークはアルファだったな。

「最近、ジークを連れて頻繁に下を徘徊してると聞いた。お前、その匂いを撒き散らして歩いてたのか……。自覚しろ。お前の価値を」

 俺が襲われるかもしれないってウィルは言ってる?

 ジークとグランバーグ内を散歩するようになって久しい。社会科見学のようにだ。おかげでグランバーグの構造にはかなり詳しくなった。

 俺はこんな体質だから気軽に行くことはできないけど、たまにだ。

 見学中に職員から真面目な話を聞いているとき、貞操の危険なんて一度も感じたことはない。

 身体的な接触といえば、市場に出たときに子どもに服の袖を引っ張られたことがあるくらい。

 むしろ、関わりのないサベラからは悲しくなるほどに避けられきたぞ……? 

「ウィル、ここはグランバーグだろう?」
「部屋にいても警戒しろ」
「って、そんな……」

 寝るときまで気を張ってろって言ってる!?

 話が落ち着くとまたウィルの手が動き始める。

「……んっ、あっ、バカ、こら」

 躾のなってない犬に好き勝手させるつもりはないのだが、寝巻きの中で蠢くウィルの手の動きは、ツボを押さえたマッサージのように気持ちがいい。

 などと呑気なことを考えている場合か。そろそろ本気で止めなければ。

「ウィル、俺は今日も朝から講義があって、もう仕度をしないといけない。そろそろジークが来る。だから……、もう、やめろ……」
 
 色んな意味で耐えられなくなってきた。

「午前は休め。誰にも邪魔させないから。ほら、お前も俺を好きに触ればいい」
「朝から何言って……」

 ぐいっと袴の紐を引っ張られる。

「あっ……」
「いい声だな?」
「バカ、だから、それは、だめ……」

 まずい。ウィルの鼻スイッチが効かない……。

 ウィルの手が俺の体を隅々まで確かめようとする。何とか止めようとする俺だが脱力気味だ。

 ウィルの匂いのせいで。

「くっ……」

 袴を脱がしてこようとするウィルとの攻防も俺が押され気味。

 このバカ犬、調子に乗って。

 唇を舐められるときは反射的に口を閉じる。その長い舌で口をこじ開けられそうになるが、そこは必死に抵抗した。

 俺は考えていた。

 俺は初めて出会ったサベラがウィルだったから、獣人てのはやたらと圧があるんだなと思ったものの、ニンゲンとは別物なのだからとそういうものなのだろうと何となく受け入れていた。

 今はわかる。風格だけでなく相手に与えるプレッシャーの強さでウィルと同等なのは王様とコンラートくらいだ。だから俺はジークがアルファ属性であっても、そこまでの圧を感じない。

 グリズリー先生やヒグマ先生もかなり俺を圧倒してくるけれど、そういった物理的な大きさの問題ではない。

 対峙した一瞬で全てを制圧されるような緊張感を相手に与える。

 それを俺は偉そうだと思うんだ。

 最近、そういうこともわかるようになってきた。加えて、サベラは匂いやフェロモンの変化で相手の感情の変化も読み解けるのだ。

 ちなみに今、俺はまだウィルの膝の上に座っている。

 ウィルが口を狙ってくるから口を開いて話せない。俺を押し倒そうとしてくるし、下着を脱がそうとしてくるのも止めねばならなくて忙しい。

 ウィルの匂いが俺を惑わしてくるから、体から全部の力が抜けそうになって困る。いや待て、こんなことを勢いでしちゃ絶対ダメだと目を覚まして改めて抵抗する、の繰り返しだ。

 これはもう詰んでいるのではと思うに至って。

 腕を引っ張られながらウィルから顔を背けた。
 
「お前はモテるってアンバーから聞いてるぞ。俺じゃなくても相手はいるんだろ」
「当然だ」
「………」

 自信過剰!

 またペロペロして来そうになったから顎を押し返した。

「だから、もうそういうのはいい!! 俺はお前に抱きしめてもらえるだけでいいんだってば!!!」

 自分で言って、恥ずかしさから穴に入りたくなった。

 俺の言葉はウィルは喜ばせた模様。尻尾がフリフリしている。

「それを聞いて俺がやめられると思うのか? 今日は……、このまま……」


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