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城と王子と従者と精霊
32(説明多め)
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さっきの幻。単に私の妄想だったんだろうか。それにしては随分リアルだったというか。匂いとか空気感まで含めて全部、私の意識や感覚だけが私の部屋に戻ったような気がした。
もしかして私は知らないうちに何かのスイッチを押してしまったのだろうか。自分の家に、現実世界に帰る為のスイッチを。
しかし心当たりなんてそれこそシルフィの“ちゅー”しかない。まさかそんなキス一つで世界の壁を越えるなんてそんなこと……。あ。
そういえばこの異世界に来る時――。
“――この呪いにも似た魔法の解き方はただ一つ、真実の愛を得ること。”
そんなことを聞いた。誰の声なのかも分からない。内容も分からなかった。意味を考える暇もなかったのでずっと忘れていたのだ。大体、そんな魔法だの真実の愛だのお伽話じゃあるまいし。…………。
――本当にお伽話みたいな例え話をしよう。
昔々あるところに私がいました。私は現実に疲れ切って本当に、愛が欲しいなあと思って願いました。すると窓の外が光りました。わあ、何だろう。不思議だなあと思って足を踏み出しました。
一方異世界にはシルフィがいました。シルフィは世界を救う為の救世主を呼び出そうと何度も挑戦していました。救世主、来ないかなあ。召喚の魔法陣を使い救世主に呼びかけます。
ここからが大事なポイントだ。私の願いが何故だか魔法に、呪いに変わる。私は愛を得ないと現実に帰れない呪いにかかったのである。いわばお伽話の人魚姫だ。王子の愛を得られないと泡になって消えてしまう、それに似ている。私は外へ踏み出した瞬間、現実と言う名の大海とおさらばしてしまったのだ。
そしてシルフィは呪いにかかった私を引っかけてこの異世界に召喚した。逆にシルフィに呼ばれなかったら私はどうなっていたのか、考えると恐ろしい。もしかしたら私は全く違う場所に行ったのかもしれないし、或いはもう命すらなかったかもしれない。
私の魔力垂れ流し体質がシルフィを呼び寄せたのか逆だったのかは分からないけど、一応これで色々謎が解けた。謎の声は謎のままだし、私が魔法を発動させたのかも分からないし、全部想像でしかないけど。
本来なら私は、この呪いを解く為に頑張るべきなんだろう。呪いを解き、現実世界に帰ってエンディングを迎えるのが物語のハッピーエンドだ。
しかし、これは物語ではない。私の人生である。私は正直言って帰りたくない。現実に、戻りたくない。現実なんて……くそくらえだ!
ここ異世界で生きていくのなら私は一生、愛という名のキスを諦めなければならない。お伽話では愛はすなわち唇同士のキスであり、呪いを解くのは全てキス一つ。私は危うくシルフィのちゅーで呪いを解く寸前だったということだ。まあ当然、愛的な気持ちも必要なんだろうけど。恐らく。
とにかくキスだけ回避すれば私は呪いを解くことなくここで生きていける。
……フッ。生まれてこの方、彼氏を粘土で作るような人間にそんな相手が現れるわけないだろう! 今日みたいな事故でも無い限り! 自分で言ってて悲しいけど!
私はこの呪いを抱え異世界で一人生きていきます。あばよ現実、さよなら会社。私はここ異世界で何かしら、ただ野原を見つめるとかそういう仕事をしてのんびり生きることにします。
方針も仕事も決まったところで、私は未来の自分が野原で寝そべっている図を想像しながら、ふかふかのベッドの上に意識を落としていった。
もしかして私は知らないうちに何かのスイッチを押してしまったのだろうか。自分の家に、現実世界に帰る為のスイッチを。
しかし心当たりなんてそれこそシルフィの“ちゅー”しかない。まさかそんなキス一つで世界の壁を越えるなんてそんなこと……。あ。
そういえばこの異世界に来る時――。
“――この呪いにも似た魔法の解き方はただ一つ、真実の愛を得ること。”
そんなことを聞いた。誰の声なのかも分からない。内容も分からなかった。意味を考える暇もなかったのでずっと忘れていたのだ。大体、そんな魔法だの真実の愛だのお伽話じゃあるまいし。…………。
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一方異世界にはシルフィがいました。シルフィは世界を救う為の救世主を呼び出そうと何度も挑戦していました。救世主、来ないかなあ。召喚の魔法陣を使い救世主に呼びかけます。
ここからが大事なポイントだ。私の願いが何故だか魔法に、呪いに変わる。私は愛を得ないと現実に帰れない呪いにかかったのである。いわばお伽話の人魚姫だ。王子の愛を得られないと泡になって消えてしまう、それに似ている。私は外へ踏み出した瞬間、現実と言う名の大海とおさらばしてしまったのだ。
そしてシルフィは呪いにかかった私を引っかけてこの異世界に召喚した。逆にシルフィに呼ばれなかったら私はどうなっていたのか、考えると恐ろしい。もしかしたら私は全く違う場所に行ったのかもしれないし、或いはもう命すらなかったかもしれない。
私の魔力垂れ流し体質がシルフィを呼び寄せたのか逆だったのかは分からないけど、一応これで色々謎が解けた。謎の声は謎のままだし、私が魔法を発動させたのかも分からないし、全部想像でしかないけど。
本来なら私は、この呪いを解く為に頑張るべきなんだろう。呪いを解き、現実世界に帰ってエンディングを迎えるのが物語のハッピーエンドだ。
しかし、これは物語ではない。私の人生である。私は正直言って帰りたくない。現実に、戻りたくない。現実なんて……くそくらえだ!
ここ異世界で生きていくのなら私は一生、愛という名のキスを諦めなければならない。お伽話では愛はすなわち唇同士のキスであり、呪いを解くのは全てキス一つ。私は危うくシルフィのちゅーで呪いを解く寸前だったということだ。まあ当然、愛的な気持ちも必要なんだろうけど。恐らく。
とにかくキスだけ回避すれば私は呪いを解くことなくここで生きていける。
……フッ。生まれてこの方、彼氏を粘土で作るような人間にそんな相手が現れるわけないだろう! 今日みたいな事故でも無い限り! 自分で言ってて悲しいけど!
私はこの呪いを抱え異世界で一人生きていきます。あばよ現実、さよなら会社。私はここ異世界で何かしら、ただ野原を見つめるとかそういう仕事をしてのんびり生きることにします。
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(追記2018.07.26)
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