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女王様の言うことは
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「じゃあエコ、ほら脱いで脱いで!」
「こ、ここで脱ぐんですか!?」
カナンさんがじりじり迫って来る。私は後退りながらミケに目で助けを求めた。ミケはにこにこ笑っているだけで何も言わない。最悪の展開である。カナンさんも良い笑顔だ。私は引き攣った笑みを浮かべた。
「女同士だし良いじゃない別に。恥ずかしいの?」
「は、恥ずかしいですよ!」
それに女同士ではなく、一人は男なんですが。ミケも気を使って私を助けてくれるはず。期待するも、
「大丈夫だって。脱いじゃいなよぉ~」
飄々とそんなことを言った。私の味方はいない。
そうして私は、カナンさんがどこからか持って来たドレスを着せられた。もちろん、ドレスはシンデレラの魔法のドレスのように綺麗だ。淡い水色で、スカートも大きく膨らんでいて装飾もキラキラしていて、本当に、素敵だけど、重かった。スカートを膨らませる為の骨組みがとても邪魔で重い。コルセットもきつかった。
お姫様に憧れた幼い頃の自分と違い、今の自分はもう既にジャージに戻りたかった。夢と違い現実は綺麗ではない。
「わー可愛い可愛い! 似合ってるよエコ! ついでだし、髪も整えてもらっちゃおう! ねえジェイ……はいないんだった。ちょっと行ってくるね」
カナンさんは私のジャージを手に部屋を出て行ってしまった。ついでにジャージに着替えてくる気なのか私が勝手に着替えるのを阻止する為なのか、ともかく私はこのまま待つしかない。
私は女王様がいなくなったのを良いことに長い長い溜め息を零して、椅子に座っているミケを睨んだ。彼はさっきまでカナンさんと会話をしながら私の着替えを丁寧に手伝ってくれた。一言くらい文句を言うつもりでいたけど、もうそんな元気も残っていない。
ミケは私のドレス姿を改めて上から下まで眺めた後で言った。
「あー……はっはっは。似合わねえなぁ。貧乏臭い顔に衣装が浮いてる」
「うるさい」
さっき一瞬鏡を見たけど本当に似合ってなかった。というか、ジャージ姿の自分に見慣れ過ぎてしまって、何を着ても違和感を覚える。ミケは椅子にふんぞり返った。
「着替えを見られたことに怒ってんの? オレ別に何も感じないから心配すんな」
「そういう問題じゃない!!」
思わず大声を出してしまった。腰が痛い。落ち着け私。怒っても意味が無い。既に終わったことだ。
「すっごい似合ってるよエコー!」
今度は“ミケちゃん”の声で言う。白々しい。
「もういいから、何も言わなくていいから……似合わないのも自分が一番よく分かってるし……重いし……辛い」
「あの連中に見せれば一人くらいは褒めてくれるんじゃない?」
ユリスたちのことか。見せたってきっとドン引きされるだけだろう。想像つく。
「無いと思うよ。でも別に褒められたいわけじゃないからいい。自分でもちょっと絶望するくらいに似合ってないし。諦めてるから。今更、夢見る乙女じゃあるまいし」
ああ、悲しくなってきた。もしかしたら似合っているかも、なんて密かに僅かな希望を抱いていただけに現実とのギャップに打ちのめされてしまった。
ミケがすっと立ち上がって、私の目の前に人差し指を立てる。
「あのねえエコ。せめて自分くらい自分のことを可愛いって言ってあげなきゃ駄目だよ? あたし可愛いな~って思うから可愛くなるんだし。そんな肩落としてないで、胸張ってちゃんと前向いて、あたし可愛い~! って言ってみなって」
諭すように言われて戸惑った。でも間違っていない気はする。彼女、じゃなくて彼は実際に女の子の仕草も喋り方も可愛らしい。説得力はあった。
私は顔を上げて胸を張った。そして言う。
「あ、あたし可愛い~……!」
「恥じらいがある」
「そりゃ恥ずかしいでしょ!」
シラフで堂々と言えるミケがおかしい。私は顔から火が出そうだった。
「あたしが可愛いのも自分で自分が可愛いと思ってるからなの。エコも見習った方がいいよぉ?」
「うん……そうだね。少しは見習おうと思う」
自分くらい自分を認めてあげた方がいい、何となく分かる。ミケも可愛い自分を演出しているのであって、思い込む力も大事なんだと思った。私が素直に頷くと、ミケは見た目にそぐわない大人びた眼差しをした。
「うんうん。さっきはああ言ったけど、可愛いよエコ」
「あ、ありがとう」少し照れた。
「着慣れてなくて恥ずかしがってるところが可愛いよ」
「そこなんだ……」
「こ、ここで脱ぐんですか!?」
カナンさんがじりじり迫って来る。私は後退りながらミケに目で助けを求めた。ミケはにこにこ笑っているだけで何も言わない。最悪の展開である。カナンさんも良い笑顔だ。私は引き攣った笑みを浮かべた。
「女同士だし良いじゃない別に。恥ずかしいの?」
「は、恥ずかしいですよ!」
それに女同士ではなく、一人は男なんですが。ミケも気を使って私を助けてくれるはず。期待するも、
「大丈夫だって。脱いじゃいなよぉ~」
飄々とそんなことを言った。私の味方はいない。
そうして私は、カナンさんがどこからか持って来たドレスを着せられた。もちろん、ドレスはシンデレラの魔法のドレスのように綺麗だ。淡い水色で、スカートも大きく膨らんでいて装飾もキラキラしていて、本当に、素敵だけど、重かった。スカートを膨らませる為の骨組みがとても邪魔で重い。コルセットもきつかった。
お姫様に憧れた幼い頃の自分と違い、今の自分はもう既にジャージに戻りたかった。夢と違い現実は綺麗ではない。
「わー可愛い可愛い! 似合ってるよエコ! ついでだし、髪も整えてもらっちゃおう! ねえジェイ……はいないんだった。ちょっと行ってくるね」
カナンさんは私のジャージを手に部屋を出て行ってしまった。ついでにジャージに着替えてくる気なのか私が勝手に着替えるのを阻止する為なのか、ともかく私はこのまま待つしかない。
私は女王様がいなくなったのを良いことに長い長い溜め息を零して、椅子に座っているミケを睨んだ。彼はさっきまでカナンさんと会話をしながら私の着替えを丁寧に手伝ってくれた。一言くらい文句を言うつもりでいたけど、もうそんな元気も残っていない。
ミケは私のドレス姿を改めて上から下まで眺めた後で言った。
「あー……はっはっは。似合わねえなぁ。貧乏臭い顔に衣装が浮いてる」
「うるさい」
さっき一瞬鏡を見たけど本当に似合ってなかった。というか、ジャージ姿の自分に見慣れ過ぎてしまって、何を着ても違和感を覚える。ミケは椅子にふんぞり返った。
「着替えを見られたことに怒ってんの? オレ別に何も感じないから心配すんな」
「そういう問題じゃない!!」
思わず大声を出してしまった。腰が痛い。落ち着け私。怒っても意味が無い。既に終わったことだ。
「すっごい似合ってるよエコー!」
今度は“ミケちゃん”の声で言う。白々しい。
「もういいから、何も言わなくていいから……似合わないのも自分が一番よく分かってるし……重いし……辛い」
「あの連中に見せれば一人くらいは褒めてくれるんじゃない?」
ユリスたちのことか。見せたってきっとドン引きされるだけだろう。想像つく。
「無いと思うよ。でも別に褒められたいわけじゃないからいい。自分でもちょっと絶望するくらいに似合ってないし。諦めてるから。今更、夢見る乙女じゃあるまいし」
ああ、悲しくなってきた。もしかしたら似合っているかも、なんて密かに僅かな希望を抱いていただけに現実とのギャップに打ちのめされてしまった。
ミケがすっと立ち上がって、私の目の前に人差し指を立てる。
「あのねえエコ。せめて自分くらい自分のことを可愛いって言ってあげなきゃ駄目だよ? あたし可愛いな~って思うから可愛くなるんだし。そんな肩落としてないで、胸張ってちゃんと前向いて、あたし可愛い~! って言ってみなって」
諭すように言われて戸惑った。でも間違っていない気はする。彼女、じゃなくて彼は実際に女の子の仕草も喋り方も可愛らしい。説得力はあった。
私は顔を上げて胸を張った。そして言う。
「あ、あたし可愛い~……!」
「恥じらいがある」
「そりゃ恥ずかしいでしょ!」
シラフで堂々と言えるミケがおかしい。私は顔から火が出そうだった。
「あたしが可愛いのも自分で自分が可愛いと思ってるからなの。エコも見習った方がいいよぉ?」
「うん……そうだね。少しは見習おうと思う」
自分くらい自分を認めてあげた方がいい、何となく分かる。ミケも可愛い自分を演出しているのであって、思い込む力も大事なんだと思った。私が素直に頷くと、ミケは見た目にそぐわない大人びた眼差しをした。
「うんうん。さっきはああ言ったけど、可愛いよエコ」
「あ、ありがとう」少し照れた。
「着慣れてなくて恥ずかしがってるところが可愛いよ」
「そこなんだ……」
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