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20 十二歳の王子と「ミレーヌと」守護精霊
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「おーい! ルイー!」
ミレーヌが茶色のローブをはためかせて、突進してくる。ここしばらく、街道の整備で領都を離れていたはずだけど、いつの間に帰ってきていたのだろう。持ち前の俊足をとばして、みるみるルイとの距離を詰める。
土の魔術師の仕事は山ほどある。土の魔法を完全に使いこなせるようになったミレーヌは、ちょくちょく近場の仕事にかりだされている。十二歳ともなると、魔法陣の勉強だけというわけにはいかないらしい。
お城の壁の近くを歩いていたルイが、担いでいた大きなパンで、肩をポンポンと叩いた。待つ気はないみたいだ。チラッと視線を送っただけで、そのまま、お目当ての大きな木に向かった。
降りそそいでいた陽の光を、木の葉がさえぎったところで、ミレーヌがルイに追いついて、肩に手をかけた。振り返ったルイが、わたしに向けてヒョイッとパンを放った。風の刃で一口サイズに切り分けて、そのうち半分をあきれ顔のミレーヌに渡した。
「ねえ、ルイ。どういうことになってんの? ちょっと見ない間に、ずいぶん変わったわね。魔術師じゃなくて守護精霊持ちってことになってるし、みんな、ルイのことをあれこれと噂してるしね」
「いいタイミングだったね、ミレーヌ。おいしいハムがあるんだ。食べる?」
ルイはバスケットから取り出したハムをナイフで切って、ミレーヌに突き出した。すかさず、ミレーヌがパンでハムをはさむ。
「ローブだってそうじゃない。金糸の刺繍に変わってるじゃないの。すっかり守護精霊持ちよね。給金もずいぶん上がったんじゃない?」
ミレーヌのジト目が、ルイの胸に刺繍された紋章に吸い込まれる。辺境伯領の魔術師のローブには、左胸と背中に盾の形をした紋章が大きく描かれている。
盾の左半分には魔術書が、右半分には剣の形をした炎が描かれた紋章は、一ヶ月ほど前にミレーヌと会った時は、魔術師を表す緑だった。
風の属性を表す白いローブは前と同じだけど、紋章の色は金に変わっている。金糸の刺繍は、このローブを着ている者が守護精霊持ちである、ということを示している。
「きゅうきん?」
目をまん丸にしてミレーヌを見返したルイが、ぶふっ、と吹きだすように笑った。手にナイフを持ったまま、お腹を抱えそうになったので、ヒョイッと取り上げて、ミレーヌに渡しておく。
「うん? 上がらなかったの? ちゃんと言ったほうがいいわよ。守護精霊持ちは魔術師より高給取りのはずよ」
ミレーヌは手にしたナイフを、ルイに向かってブンブンと振った。同時に、反対側の手で持ったパンにガブリと齧りつく。
「いや、上がったよ。たしかにね。ミレーヌの言うとおりだよ」
ひとしきり笑った後、ルイは目尻を擦りながら、あぐらを組んだ。
「ここのところ、みんなにいろんなことを聞かれたけど、給金のことを聞かれたのは初めてだよ」
「えっ? そこがいちばん大事でしょ?」
モゴモゴと口を動かしながら、ミレーヌは首をかしげた。ふたりとも、村に住む両親にけっこうなお金を送っている。お金というものを一切使わないわたしには、今ひとつピンとこないけど、大事なことなのだろう。
「いや、まあ、たしかに、お金は大事だね」
「あと、伝えないといけないこともあるかな。ねえ、ルイ、村の八不思議って知ってる?」
「八不思議? 七不思議じゃなくて?」
ルイが目をパチパチと瞬いて、ミレーヌの目をのぞきこんだ。トロムス村の八不思議のうち、七番目まではすべて、ボーデ湖の精霊さんが関わっている。大きな木に雷が落ちたのに燃えなかっただとか、湖の水が天高く渦巻いたのは、実は風の精霊と大げんかをしたせいだとか、そういった話だ。
「そう、八番目。まだ、精霊様に聞いてないの?」
ミレーヌはもぐもぐと口を動かしながら、ルイのバスケットに手を突っ込んで、ハムを取り出した。
「いや、聞いたことないけど。精霊様も知ってるの?」
こちらに視線を寄こしたルイに、わたしは軽くうなずいた。ルイの表情から、わたしのことがわかったのだろう。ミレーヌがニコッとわたしに笑いかけた。
「さすがはルイの守護精霊様だね。何でもお見通しなんだ。そっかー、やっぱり、すごいなー」
「えっ? どういうこと? 精霊様に関係があるってこと? 七番目までは知ってるけど、八番目なんてあったかな?」
「ルイには内緒だったんだ。これまではね。でも、もういいんでしょ?」
ミレーヌはわたしに意味ありげな視線を投げかけた。
《うーん、いいんじゃないかな。ルイと王子様のことは、すっかりばれちゃってるしね。村の八不思議については、ミレーヌに任すよ。わたしには関係ないからね》
二週間ほど前に、王子様と一緒に領都に戻ってきたわたしたちは、その足で、ブルンフョル辺境伯爵に会った。ルイを初めて見た辺境伯は、たくわえたあごひげをピーンと引っ張りながら、ずいぶんと長い間、動きをとめていた。
それから、ルイと辺境伯と王子様で話し合ったり、辺境伯領のおえらいさんが集められて会議が開かれたりした。その流れの中で、ルイが高位の風の守護精霊持ちである、ということが公にされることになった。
ただ、正妃派と公爵派がどう出るかわからない現状では、ルイが王子様と双子であると、おおっぴらに公表するのはやめておこう、ということになった。どうやら、人のおえらいさんが頭を悩ませるほど、ルイの立場は面倒くさいらしい。隠すことはないけど、向こうの出方を見てから考えよう、ということに落ちついた。
「ルイにはね、お墓があるの。ものすごく小さなお墓なんだけどね。それが村の八不思議の八番目なの」
ミレーヌは、ルイが切ったよりもはるかにぶ厚く、ハムを切り取った。パンにはさんで、口を大きく開けて、ガブッとかぶりついた。
「ぼくのお墓?」
「モゴモゴ……村を出るときにね、アロルドおじさんとハンナおばさんに頼まれたんだ。……モゴモゴ……もし、ルイの本当の親が見つかったら、このことを知らせて欲しいってね」
あくまで、食べることをやめないらしい。ミレーヌはさらにぶ厚く切ったハムを、また、パンにはさんだ。真剣な表情で話を聞こうとしていたルイが、あわててハムを奪い返して、バスケットにしまった。
「おじさんとおばさんの赤ちゃんは、生まれて二ヶ月ぐらいで亡くなったんだって。……モゴモゴ……その後、ルイを見つけてね。きっと、精霊様がわたしたちのこどもとして育てなさいって……モゴモゴ……連れてきてくれたんじゃないかって、大喜びしたんだって」
「ああ、そういうこと。亡くなった赤ちゃんがルイだったんだ。それで、僕と同じ名前のお墓があるってことか。たしかに、それは不思議というか、秘密というか……」
「おじさんとおばさんにね、ルイが赤ちゃんのときに着てた肌着をあずかってるの。もし、領都で本当の親が見つかったら、証拠として見せてねっ……モゴウゴ、ゴホッ……」
「うんうん、なんていうかね、ミレーヌ。もうちょっと、しんみりと話すことなんじゃないかな?」
「うん? そう? わたしはまだ見てないけど、ルイって王子様とそっくりなんでしょう? 今さらね。……モガモガ……それにね、わたしとしては、ルイに守護精霊様がついてるって知った時にね……フゴフゴ……あー、やっぱり、ルイは精霊様が運んできたんだって、思うわけじゃない?」
すっかりパンを平らげたミレーヌは、チラッとバスケットに視線を送ってから、ルイに顔を近づけた。
「しかも、あずかってる肌着が、信じられないほど高級な生地なのよ。きっと、ご貴族様のこどもだわって思ってたら、だんだんトゲトゲの王子様になってきたじゃない?」
「トゲ?」という口のまま動きをとめたルイの肩を、ミレーヌがパシーンと叩いた。
「いや、まちがいないわ、これ。ルイは王子様だったんだって、思ったわけよ。すくなくとも、トゲトゲのね」
ミレーヌはニヤッと笑うと、茫然としているルイからバスケットをひったくって、ハムをむしゃむしゃと食べ始めた。
ミレーヌが茶色のローブをはためかせて、突進してくる。ここしばらく、街道の整備で領都を離れていたはずだけど、いつの間に帰ってきていたのだろう。持ち前の俊足をとばして、みるみるルイとの距離を詰める。
土の魔術師の仕事は山ほどある。土の魔法を完全に使いこなせるようになったミレーヌは、ちょくちょく近場の仕事にかりだされている。十二歳ともなると、魔法陣の勉強だけというわけにはいかないらしい。
お城の壁の近くを歩いていたルイが、担いでいた大きなパンで、肩をポンポンと叩いた。待つ気はないみたいだ。チラッと視線を送っただけで、そのまま、お目当ての大きな木に向かった。
降りそそいでいた陽の光を、木の葉がさえぎったところで、ミレーヌがルイに追いついて、肩に手をかけた。振り返ったルイが、わたしに向けてヒョイッとパンを放った。風の刃で一口サイズに切り分けて、そのうち半分をあきれ顔のミレーヌに渡した。
「ねえ、ルイ。どういうことになってんの? ちょっと見ない間に、ずいぶん変わったわね。魔術師じゃなくて守護精霊持ちってことになってるし、みんな、ルイのことをあれこれと噂してるしね」
「いいタイミングだったね、ミレーヌ。おいしいハムがあるんだ。食べる?」
ルイはバスケットから取り出したハムをナイフで切って、ミレーヌに突き出した。すかさず、ミレーヌがパンでハムをはさむ。
「ローブだってそうじゃない。金糸の刺繍に変わってるじゃないの。すっかり守護精霊持ちよね。給金もずいぶん上がったんじゃない?」
ミレーヌのジト目が、ルイの胸に刺繍された紋章に吸い込まれる。辺境伯領の魔術師のローブには、左胸と背中に盾の形をした紋章が大きく描かれている。
盾の左半分には魔術書が、右半分には剣の形をした炎が描かれた紋章は、一ヶ月ほど前にミレーヌと会った時は、魔術師を表す緑だった。
風の属性を表す白いローブは前と同じだけど、紋章の色は金に変わっている。金糸の刺繍は、このローブを着ている者が守護精霊持ちである、ということを示している。
「きゅうきん?」
目をまん丸にしてミレーヌを見返したルイが、ぶふっ、と吹きだすように笑った。手にナイフを持ったまま、お腹を抱えそうになったので、ヒョイッと取り上げて、ミレーヌに渡しておく。
「うん? 上がらなかったの? ちゃんと言ったほうがいいわよ。守護精霊持ちは魔術師より高給取りのはずよ」
ミレーヌは手にしたナイフを、ルイに向かってブンブンと振った。同時に、反対側の手で持ったパンにガブリと齧りつく。
「いや、上がったよ。たしかにね。ミレーヌの言うとおりだよ」
ひとしきり笑った後、ルイは目尻を擦りながら、あぐらを組んだ。
「ここのところ、みんなにいろんなことを聞かれたけど、給金のことを聞かれたのは初めてだよ」
「えっ? そこがいちばん大事でしょ?」
モゴモゴと口を動かしながら、ミレーヌは首をかしげた。ふたりとも、村に住む両親にけっこうなお金を送っている。お金というものを一切使わないわたしには、今ひとつピンとこないけど、大事なことなのだろう。
「いや、まあ、たしかに、お金は大事だね」
「あと、伝えないといけないこともあるかな。ねえ、ルイ、村の八不思議って知ってる?」
「八不思議? 七不思議じゃなくて?」
ルイが目をパチパチと瞬いて、ミレーヌの目をのぞきこんだ。トロムス村の八不思議のうち、七番目まではすべて、ボーデ湖の精霊さんが関わっている。大きな木に雷が落ちたのに燃えなかっただとか、湖の水が天高く渦巻いたのは、実は風の精霊と大げんかをしたせいだとか、そういった話だ。
「そう、八番目。まだ、精霊様に聞いてないの?」
ミレーヌはもぐもぐと口を動かしながら、ルイのバスケットに手を突っ込んで、ハムを取り出した。
「いや、聞いたことないけど。精霊様も知ってるの?」
こちらに視線を寄こしたルイに、わたしは軽くうなずいた。ルイの表情から、わたしのことがわかったのだろう。ミレーヌがニコッとわたしに笑いかけた。
「さすがはルイの守護精霊様だね。何でもお見通しなんだ。そっかー、やっぱり、すごいなー」
「えっ? どういうこと? 精霊様に関係があるってこと? 七番目までは知ってるけど、八番目なんてあったかな?」
「ルイには内緒だったんだ。これまではね。でも、もういいんでしょ?」
ミレーヌはわたしに意味ありげな視線を投げかけた。
《うーん、いいんじゃないかな。ルイと王子様のことは、すっかりばれちゃってるしね。村の八不思議については、ミレーヌに任すよ。わたしには関係ないからね》
二週間ほど前に、王子様と一緒に領都に戻ってきたわたしたちは、その足で、ブルンフョル辺境伯爵に会った。ルイを初めて見た辺境伯は、たくわえたあごひげをピーンと引っ張りながら、ずいぶんと長い間、動きをとめていた。
それから、ルイと辺境伯と王子様で話し合ったり、辺境伯領のおえらいさんが集められて会議が開かれたりした。その流れの中で、ルイが高位の風の守護精霊持ちである、ということが公にされることになった。
ただ、正妃派と公爵派がどう出るかわからない現状では、ルイが王子様と双子であると、おおっぴらに公表するのはやめておこう、ということになった。どうやら、人のおえらいさんが頭を悩ませるほど、ルイの立場は面倒くさいらしい。隠すことはないけど、向こうの出方を見てから考えよう、ということに落ちついた。
「ルイにはね、お墓があるの。ものすごく小さなお墓なんだけどね。それが村の八不思議の八番目なの」
ミレーヌは、ルイが切ったよりもはるかにぶ厚く、ハムを切り取った。パンにはさんで、口を大きく開けて、ガブッとかぶりついた。
「ぼくのお墓?」
「モゴモゴ……村を出るときにね、アロルドおじさんとハンナおばさんに頼まれたんだ。……モゴモゴ……もし、ルイの本当の親が見つかったら、このことを知らせて欲しいってね」
あくまで、食べることをやめないらしい。ミレーヌはさらにぶ厚く切ったハムを、また、パンにはさんだ。真剣な表情で話を聞こうとしていたルイが、あわててハムを奪い返して、バスケットにしまった。
「おじさんとおばさんの赤ちゃんは、生まれて二ヶ月ぐらいで亡くなったんだって。……モゴモゴ……その後、ルイを見つけてね。きっと、精霊様がわたしたちのこどもとして育てなさいって……モゴモゴ……連れてきてくれたんじゃないかって、大喜びしたんだって」
「ああ、そういうこと。亡くなった赤ちゃんがルイだったんだ。それで、僕と同じ名前のお墓があるってことか。たしかに、それは不思議というか、秘密というか……」
「おじさんとおばさんにね、ルイが赤ちゃんのときに着てた肌着をあずかってるの。もし、領都で本当の親が見つかったら、証拠として見せてねっ……モゴウゴ、ゴホッ……」
「うんうん、なんていうかね、ミレーヌ。もうちょっと、しんみりと話すことなんじゃないかな?」
「うん? そう? わたしはまだ見てないけど、ルイって王子様とそっくりなんでしょう? 今さらね。……モガモガ……それにね、わたしとしては、ルイに守護精霊様がついてるって知った時にね……フゴフゴ……あー、やっぱり、ルイは精霊様が運んできたんだって、思うわけじゃない?」
すっかりパンを平らげたミレーヌは、チラッとバスケットに視線を送ってから、ルイに顔を近づけた。
「しかも、あずかってる肌着が、信じられないほど高級な生地なのよ。きっと、ご貴族様のこどもだわって思ってたら、だんだんトゲトゲの王子様になってきたじゃない?」
「トゲ?」という口のまま動きをとめたルイの肩を、ミレーヌがパシーンと叩いた。
「いや、まちがいないわ、これ。ルイは王子様だったんだって、思ったわけよ。すくなくとも、トゲトゲのね」
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