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第1章 俺の勘違い

第3話 聞き込み

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次の日

昨日は凜のせいでよく眠れなかった。朝は弟の壮太に叩き起こされるし、登校中も一歩間違えればまぶたが閉じて道の側溝に足を突っ込みそうなくらい眠かった。
(教室に行ったらあいついるかな、俺はどんな顔して行けばいいんだ....)
そう思いながら恐る恐る教室に入ったが、幸いにも凜はまだ来ていないようだった。そこで俺はクラスメイトに凜のことを聞いてみることにした。地元の中学校だから、クラスの約半分は俺や凜の小学校からの友達であり、凜とも関わりがある人が多い。うまく聞かないと俺が凜を女子だと思っていたことがバレてしまうから、何とか誤魔化して聞くことにした。

奏太「来斗おはよ。突然こんなこと聞くの変かもしれないけど、お前体育とかで凜と同じ教室で着替えたことある?」

来斗「おー奏太おはよ!そりゃあるよ、あいつ男だし。いきなりどうしたのw」

奏太「そ、そりゃそうだよな。いやなんかさ、俺あいつの裸見たことないからどんな体つきしてんのかなって気になってさ。 あ、あいつ背低いけどめちゃくちゃ運動できるじゃん。どこを鍛えたらあんなに運動できるようになるのかなって思ってさ。 あはは....」 (何を言っているんだ俺は....)

来斗「あーそういうことかw 凜って身体能力高いよなぁ、俺運動苦手だからうらやましいよ。どんな体つきって...全体的に華奢だけど、腹筋はちょっとだけ割れてたかな。でもあいつ動きはしなやかで軽いけど力はそこまで強くないじゃん。それ相応の体つきっていうか、無駄のない体格してたと思うよ。」

奏太「そ、そうか。ありがとなw」 (めっちゃ詳しいなこいつ)

俺はそう言って動揺を懸命に隠しながら自分の席に戻った。まさか凜は本当に男子で、それを知らなかったのは俺だけなのだろうか。近くの席にいた幼馴染の玲衣にも聞いてみることにした。

奏太「玲衣おはよう。あのさ、凜の私服ってどう思う?」

玲衣「あっ奏太おはよ!!凜の私服ー?オシャレだよね!こんなこと言うと怒られるかもしれないけど凜って背も低いし顔もかわいいから、あーいうユニセックスな服着てるとパッと見女子に見えるんだよね。でも運動してる姿めっちゃかっこいいし気遣いとかすごく上手いし、あのギャップヤバいよね!!」

奏太「あ、あーたしかに!あいつダンスとかめちゃくちゃ上手いし、き、気づかいもめちゃくちゃできるよな!」

玲衣「そうそう!あれで私より背が高かったら間違いなく好きになってたなぁ~(笑)。」

奏太「そ、そっか。ありがとな...!」

玲衣「え?うん!どうしたの奏太。なんかあった?」

奏太「いやなんでもない!!お邪魔しました!」

そう言って俺はまた急いで席に戻り、机の中からノートを出して勉強を始めた。もちろん頭の中は凜のことでいっぱいで、ノートに書いてある内容なんか1ミリも入ってこなかった。

その時廊下から聞こえてきた誰かの言葉に、俺の心臓の鼓動が一気に速くなった。

4話へつづく
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