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第2章 俺の迷い

第7話 仮入部

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凜と仲直りして俺たちの関係は無事元に戻り、今まで通りの日常が戻った。そんな俺たちを見て玲衣が事の詳細を何度も聞いてきたのだが、当然言えるはずもなく俺も凜もいつも誤魔化してばかりいた。そこまでして知りたいことなのだろうか。
玲衣から見ても元の関係に戻った俺たちだが、それはあくまで表面上の話。

「奏太となら付き合っても良いかなってちょっと思ったくらいだよ」

凜のこの言葉がずっと頭に残っているせいで、俺はまだ凜を変に意識しているらしい。あまり深い意味はなく発された言葉のはずなのに、なぜこんなに引っ掛かるのだろう。凜が男って分かってから俺の恋愛的な好意はなくなったはずなのに。

中学へ入学してから2週間が経ち、授業にも少しずつ慣れて新しい友達も段々と増えてきた。そして今日から1週間、部活の仮入部が始まった。定番の部活から変わった部活までおよそ20種類の部活動があるが、俺は先日の部活動オリエンテーションからバドミントン部が気になっていた。決して強くはない部活らしいが、真面目で明るい部員が多く雰囲気もよさそうだった。

凜「ねぇ奏太?奏太は部活どうするの?」

奏太「俺はバドミントン部が気になってて、今日から仮入部行こうと思ってるよ。凜は?」

凜「僕はバレーボール部とダンス部の2つで迷ってるんだよね。仮入部期間は1週間あるし、他にも色々行ってみて決めようと思う。」

奏太「そっか。お互い頑張ろ!」

凜「うん!」

(もし俺が本当にバドミントン部に入って凜がバレーボール部に入ったら、練習中もお互い顔を合わせられるかもしれない)
俺はそう期待していた。期待していた? なぜ? 凜とは毎日会えるのになぜそんな期待を持ったのだろう。

放課後、凜はバレーボール部、俺はバドミントン部へと仮入部をした。オリエンテーション通りバドミントン部は雰囲気も厳しさも丁度良く、俺はこの部活に入ることを心の中でほぼ決定していた。俺たちの学校は体育館が市内で一番広く、バレーボール部とバドミントン部が同時に体育館を使うことができたため、体育館の奥でバレーボール部の中に混ざっている凜の姿が見えた。バレーボール部の先輩方はみんな凜よりもはるかに身長が高く力も強いため、いくら運動ができる凜でも練習についていくのが精一杯という感じだった。
その後お互い仮入部を終え、一緒に帰ることになった。

奏太「バレー部どうだった?」

凜「めっちゃ大変だった。練習めちゃくちゃ厳しいし、何より僕背が低いから多分向いてないよ笑。明日はダンス部行ってみようと思ってるんだけど、奏太も一緒に行く?」

奏太「いや、俺は遠慮しておこうかな。ダンスあまり得意じゃないしw」

凜「わかったw じゃあまた明日ね!」

奏太「おつかれ~」

そう言って凜と別れた。
....明日のダンス部の仮入部、少し見に行ってみようかな。

8話へつづく

お待たせいたしました、第2章の開幕です。奏太と凜、そして周りの人達のの関わりをゆっくり見守っていただけると嬉しいです。自分の学生という身分を生かして(?)、できるだけリアルに描けるように頑張ります!
毎度拙い文章で申し訳ありませんが、これからもよろしくお願いします。
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