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異世界での生活
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阿月はハルシとして転生していた。歳や容姿は日本の時とそのままだが、服装や異世界の一般常識は持っており、わからない事があれば一般に知られている範囲でならあたかも思い出したように頭に入ってきた。
今、ハルシがいる場所は王至高主義国家ナーシーの辺境の村。なにも取り柄のない所だが近くに山があり、この村の人達はたびたび山に入り、猪や野鳥を狩って生活の糧にしていた。
ハルシ自身も狩りの手伝いをして、日々の生活を楽しんでいた。
日本でいた頃はなかなかできない体験で自分で仕留めた獲物が食卓に並ぶのはとても気持ちの良いものだった。
ハルシはいつも通りに狩りの準備をしていたら日がまだ昇っていない時間帯に村長が話を持ちかけてきた。
「ハルシ。今日はお前は外に出ないほうがいい」
「なぜだ?今日も狩りなんだろう。だったら俺も行くが」
「今日はここら一帯を統治している領主様が来るんだ。知らぬ間に今までいなかった人間がいると知れたらなに言われるかわからん。ましてや、ハルシはこの国出身の訳ではないのだろう。ならば、なおさら国の偉い人に会うわけにはいかんだろう」
村長の話も最もだと思った。この王至高主義国家ナーシーは王様が絶対であり、神である。全ては王のためにあり、そのほかは二の次になる。ゆえに、この国出身ではない人たちにとって理解できない国なのである。もちろん民主主義出身のハルシもそこまで王に献身的に尽くす気はなく、村長もその事がわかっているからいっているのだろう。
この村は隣国の国境沿いに位置するため、様々な人の交流がある。ゆえに、村長をはじめとする村の人達は表向きは王様に忠誠を誓っているが他の国の人の気持ちを汲み取る事ができた。
ハルシがこの村に来たのは偶然ではなく必然なのだろう。そう感じていた。
「わかったよ。今日はおとなしくしてるさ。この村のみんなにはお世話になってるしね」
「そう言ってもらえると助かる。ついでに頼みを聞いてもらえんか?」
「頼みとは?」
「アンの面倒を見てくれないか。あの子は隣国出身だからね」
ハルシ以外にも国外出身がいる。それがアンである。アンは十歳にも満たない女の子だ。ハルシがここに来た時からいたが、村長の話だと戦争孤児で狩りに出かけた時に倒れているのを見つけたみたいだ。
最近はよく笑うようになったが、とても酷い光景を見て来たのか村の人達が近づくと怯えて話をすることすらできなかったらしい。
「お前にもよく懐いてるからよろしく頼むよ」
確かにハルシはアンとよく遊んでいた。狩りがない日などは近くの森林に村の女性たちと共に山菜とりなどに行った。アンはいつもハルシの横を歩きながらいつもニコニコと笑っていた。
あの笑顔は天使ではないか。真面目にそう考えてしまう自分がいて少し頭がおかしいのか疑問に思ってしまうほどだ。
「ああ、良いよ。俺もアンと一緒に居られるのは嬉しいから」
ハルシの言葉をを聞くと村長は満足気に家を後した。
村長が家から出て行って数時間後、家のドアが勢いよく開かれた。
「ハルシお兄ちゃんおはよー」
家の前に立っていたのはアンだった。今日も元気よく楽しそうだ。
「おはよう、アン。村長から聞いてきたのか?」
「うん。なんかえらいひとがくるからハルシお兄ちゃんと家で遊んでてだって」
「そうだな。今日は家の中だけだけどいっぱい遊べるな」
「うん。すごく嬉しい」
ものすごい笑顔だ。そこまで喜んでもらえるとこっちも嬉しくなる。
「そういえば、アンは朝ご飯食べたのか。食べてないなら作るが」
「食べてない。お腹ぺこぺこだよー」
お腹を抑えて言うその姿は微笑ましい光景だ。
「ちょっと待ってな。簡単な物しか作れないが」
「はーい!」
元気な返事を聞き厨房に入っていく。その間、アンは暇なのだがハルシが異世界人だと言うこともあり家の中には普段目にすることのない珍しいものが置いてある。それを興味津々に見ている。
少しして料理が出来上がると匂いにつられてアンが厨房に顔を出した。
「おいしそー。ハルシお兄ちゃん早く食べようよ!」
待ちきれない様子だ。仕方ないので料理をお皿に分けていく。
「料理をタテーブルまで運んでくれるか?」
「まかせてよ!」
ハルシにとってはそこまで大きくないお皿でもアンが持つととても大きくみえる。一生懸命に運び、落としそうな場面をなんとかフォローしながら全ての料理がテーブルの上に並んだ。
「「いただきます!」」
この世界のものではない日本の食事前の挨拶をハルシとアンは言ってから食事に入る。
「ハルシお兄ちゃん。このお肉とってもおいしいよ。ハルシお兄ちゃんが獲ってきたの?」
「そうだよ。他の人と協力してだけどね」
「でもすごいよ。アンはまだダメだってみんな言うからまだ獲ったことないもん。はやくハルシお兄ちゃんと一緒に獲りに行きたい」
「もう少し大きくなったらな。そうしないとでかい獲物が獲れないから」
不満気に唇を尖らせてムスッとしているが、昨日採ってきた山菜を目の前に出すと目を輝かせて食べ始める。その様子に狩りに連れていくのは当分先だとおもった。
今、ハルシがいる場所は王至高主義国家ナーシーの辺境の村。なにも取り柄のない所だが近くに山があり、この村の人達はたびたび山に入り、猪や野鳥を狩って生活の糧にしていた。
ハルシ自身も狩りの手伝いをして、日々の生活を楽しんでいた。
日本でいた頃はなかなかできない体験で自分で仕留めた獲物が食卓に並ぶのはとても気持ちの良いものだった。
ハルシはいつも通りに狩りの準備をしていたら日がまだ昇っていない時間帯に村長が話を持ちかけてきた。
「ハルシ。今日はお前は外に出ないほうがいい」
「なぜだ?今日も狩りなんだろう。だったら俺も行くが」
「今日はここら一帯を統治している領主様が来るんだ。知らぬ間に今までいなかった人間がいると知れたらなに言われるかわからん。ましてや、ハルシはこの国出身の訳ではないのだろう。ならば、なおさら国の偉い人に会うわけにはいかんだろう」
村長の話も最もだと思った。この王至高主義国家ナーシーは王様が絶対であり、神である。全ては王のためにあり、そのほかは二の次になる。ゆえに、この国出身ではない人たちにとって理解できない国なのである。もちろん民主主義出身のハルシもそこまで王に献身的に尽くす気はなく、村長もその事がわかっているからいっているのだろう。
この村は隣国の国境沿いに位置するため、様々な人の交流がある。ゆえに、村長をはじめとする村の人達は表向きは王様に忠誠を誓っているが他の国の人の気持ちを汲み取る事ができた。
ハルシがこの村に来たのは偶然ではなく必然なのだろう。そう感じていた。
「わかったよ。今日はおとなしくしてるさ。この村のみんなにはお世話になってるしね」
「そう言ってもらえると助かる。ついでに頼みを聞いてもらえんか?」
「頼みとは?」
「アンの面倒を見てくれないか。あの子は隣国出身だからね」
ハルシ以外にも国外出身がいる。それがアンである。アンは十歳にも満たない女の子だ。ハルシがここに来た時からいたが、村長の話だと戦争孤児で狩りに出かけた時に倒れているのを見つけたみたいだ。
最近はよく笑うようになったが、とても酷い光景を見て来たのか村の人達が近づくと怯えて話をすることすらできなかったらしい。
「お前にもよく懐いてるからよろしく頼むよ」
確かにハルシはアンとよく遊んでいた。狩りがない日などは近くの森林に村の女性たちと共に山菜とりなどに行った。アンはいつもハルシの横を歩きながらいつもニコニコと笑っていた。
あの笑顔は天使ではないか。真面目にそう考えてしまう自分がいて少し頭がおかしいのか疑問に思ってしまうほどだ。
「ああ、良いよ。俺もアンと一緒に居られるのは嬉しいから」
ハルシの言葉をを聞くと村長は満足気に家を後した。
村長が家から出て行って数時間後、家のドアが勢いよく開かれた。
「ハルシお兄ちゃんおはよー」
家の前に立っていたのはアンだった。今日も元気よく楽しそうだ。
「おはよう、アン。村長から聞いてきたのか?」
「うん。なんかえらいひとがくるからハルシお兄ちゃんと家で遊んでてだって」
「そうだな。今日は家の中だけだけどいっぱい遊べるな」
「うん。すごく嬉しい」
ものすごい笑顔だ。そこまで喜んでもらえるとこっちも嬉しくなる。
「そういえば、アンは朝ご飯食べたのか。食べてないなら作るが」
「食べてない。お腹ぺこぺこだよー」
お腹を抑えて言うその姿は微笑ましい光景だ。
「ちょっと待ってな。簡単な物しか作れないが」
「はーい!」
元気な返事を聞き厨房に入っていく。その間、アンは暇なのだがハルシが異世界人だと言うこともあり家の中には普段目にすることのない珍しいものが置いてある。それを興味津々に見ている。
少しして料理が出来上がると匂いにつられてアンが厨房に顔を出した。
「おいしそー。ハルシお兄ちゃん早く食べようよ!」
待ちきれない様子だ。仕方ないので料理をお皿に分けていく。
「料理をタテーブルまで運んでくれるか?」
「まかせてよ!」
ハルシにとってはそこまで大きくないお皿でもアンが持つととても大きくみえる。一生懸命に運び、落としそうな場面をなんとかフォローしながら全ての料理がテーブルの上に並んだ。
「「いただきます!」」
この世界のものではない日本の食事前の挨拶をハルシとアンは言ってから食事に入る。
「ハルシお兄ちゃん。このお肉とってもおいしいよ。ハルシお兄ちゃんが獲ってきたの?」
「そうだよ。他の人と協力してだけどね」
「でもすごいよ。アンはまだダメだってみんな言うからまだ獲ったことないもん。はやくハルシお兄ちゃんと一緒に獲りに行きたい」
「もう少し大きくなったらな。そうしないとでかい獲物が獲れないから」
不満気に唇を尖らせてムスッとしているが、昨日採ってきた山菜を目の前に出すと目を輝かせて食べ始める。その様子に狩りに連れていくのは当分先だとおもった。
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