それなりに怖い話。

只野誠

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のたうちまわる

のたうちまわる

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 男は山沿いの道で夜中に嫌なものを見つけてしまう。
 車で通っているとき、偶然それを目にしてしまう。
 少し通り過ぎてしまったので、後ろを気にしつつ、バックで戻りそれを確認する。

 それは道のすぐわきに横たわっていた。
 それとは人の死体だ。
 男性の遺体でまだ若いように思える。二十代前半くらいの年齢に男には思えた。

 交通事故が起こり放置でもされたのか、遺体が道のわきに放置されていたのだ。
 ただ交通事故があったにしては綺麗な遺体だ。
 血が出ている様子もないし外傷もなさそうだ。
 だがピクリとも動かないし、その顔色はすでに青ざめている。

 男はすぐに警察に通報する。

 ただ山の中の道だ。
 場所を伝えるのに難航していると、遺体がほんの少し、痙攣したように動いたのだ。
 男がそれを警察に電話口で伝える。

 そうすると警察は生きているかもしれない、脈をとってくれ、と男に依頼する。

 男は恐る恐る遺体の手首をとる。
 それは冷たい、ぬくもりなど一切ない冷たい体だった。
 無論、脈など一切ない。

 男はそれを警察にも伝え、早く来てくれ、と懇願する。
 死体を触ってしまったことが男を恐怖させたのだ。
 しかし、肝心の場所が特定できない。
 そうこうしていると、遺体がまた痙攣したように、一瞬だけだがのたうち回る。
 男は悲鳴を上げて警察に助けを乞う。

 そうすると電話口の警察は、腐敗臭はするか? と男に聞いてくる。
 なんでも腸内に発生したガスで、稀にだが遺体が動くようなことがある、というのだ。
 それは警察が男を落ち着かせるためについた嘘だったかもしれないが、男もそれで一旦は落ち着く。

 ただ、腐敗臭のような臭いはない。
 男はそれを警察に伝える。

 そして、再び場所を伝えるために男は目印になりそうなものを探すために辺りを見回す。
 ただ山の中としか言い表せない。
 そもそも、周囲も暗く明かりも男の乗ってきた車のライトだけだ。

 男が再び遺体に目を向けた時だ。
 遺体の腹が今度は断続的にのたうち回っている。
 まるで遺体の腹の中に何かいるかのように、それは跳ね回っているのだ。
 そして、それに合わせて死体からビチャビチャと血が飛び散り始めた。

 男はさすがに耐えきれなくなり、それを伝え、自分はこの場所を去ることを告げ、電話を切った。
 そのまま男は車に乗り込み、車を発進させた。
 その横でも死体はビクンビクンとのたうち回っていた。

 後日、警察が念のため、その山道をパトロールしていると、あたりに血が飛び散ったような跡が残されている箇所があったという。
 ついでにその血は警察により採取され、検査されたが人のものではないという話だ。

 この辺りでは野生の狸が多くいるが、それだったのかもしれない。





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