それなりに怖い話。

只野誠

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はつゆめ

はつゆめ

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 女は夢を見た。
 一月一日から一月二日にかけてみる夢だ。
 初夢という奴だ。

 夢の内容は最悪だった。

 真っ暗闇の中を延々と落ちて行くものだ。
 ガタゴトと世界が揺れたと思ったらすべてが崩れ落ち、何もない闇へと落ちて行く。
 そんな夢だ。

 ただの闇ではなく不吉で閉塞感があり、身動き一つとれずにひたすら闇へと向かい落ちて行く夢だ。
 遠くの方で女と同じく落ちて行く人が見える。
 その人間は紅蓮の炎に焼かれながら落ちていて、その身を炎に焼かれ苦しみもがいている。
 よくよく見れば、それらの人間達は女の家族や親しくしていた人物達、恩人などだ。
 その全員がもがき苦しみながら闇へと落ちて行っている。

 それ以外にも瓦礫なども落ちてきている。
 よくよく見れば、その瓦礫なども自分の家の壁だったり、大切にしていた物だったり、自分が使っている机だったりと、なじみ深いものが落ちて行っている。
 それらも、時には燃え、回りながら、自分よりも早かったり、逆に追い越したりと、そんな感じで闇の底へと向かい落ちて行っている。

 ただ、闇の底に終わりが見えない。

 ただただ無抵抗に何もできず闇へと向かい落ちて行く。
 闇に向かい落ちること自体に、女は嫌悪感を抱くのだが、落ちるスピードが凄まじいせいか身動き一つとれないのだ。

 何も抵抗できることなくただ闇へと向かい落ちて行く。
 終わることのない落下する感覚と闇へ向かって行くことへの嫌悪感と閉塞感。
 それらをただ力なく感じることしかできない夢だった。

 女が目を覚ますともう朝になっていた。
 周りを見渡すが、いつもの女の寝室だ。
 嫌な夢を見たと、起き上がると全身寝汗でびっしょりだった。
 そこに冬の朝の冷気を感じ、寒気を感じる。

 ただひどい夢のせいか二度寝する気にはなれなかった。
 これが初夢だと女は気づき、今年はあまりいい年にはなりそうにない、と、年始早々嫌な気分を味わった。

 その年、女がどんな一年を過ごしたかって?
 それはまだ未来のこと。
 ご想像にお任せします。



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