93 / 708
すきま
すきま
しおりを挟む
少女は深夜になっても勉強していた。
十二時もとっくに過ぎた、そんな時刻だ。
そろそろ少女も寝ようかと言うとき、キキィィと音がして自分の部屋のドアが少しだけ開いた。
少女もすぐに気づく。
そして、びっくりしながらもそちらの目をやる。
おかしい。
このドアは簡易的ながらも鍵が掛けられるドアで、少女は鍵も掛けていたはずだ。
開くはずはない。
けれどドアは開いた。
三センチほど開き、その後ドアは動かなくなった。
その後半の反応もない。
少女はすぐ弟の存在を疑う。
弟の名を呼び、そこにいるんでしょう、と付け加えるが、なんの反応もない。
三センチほどのドアの隙間、そこから妙な視線を感じる。
ドアの隙間からは黒く闇が広がり何も見えないのだが、そこに何かが、誰かが、いることだけは少女には感じられた。
少女は、誰かいるの、と声をかける。
返事はない。
ドアの隙間からものすごい視線を感じるため、少女もその隙間から目を離せなくなる。
しばらくにらみ合いのようなものが続く。
時間にして一分に満たない時間だが、少女には、その間がいやに長く感じた。
その睨み合いのようなものの後、ドアの隙間から、すっと何かが出て来た。
ドアノブの少し下くらい、白い、青白い指が、細長く枯れ木のような指が出てきて、ドアを掴んだ。
少女は恐怖で声が出なかった。
少なくとも弟の手ではない。父や母の物ではない。
家族の者の手にあんな節くれだった手をした者はいない。
少女は呼吸が早くなりながらも、その手から目が離せなかった。
ただその手はドアを開けるでもなく、閉めるのでもなく、ただドアを掴んでいる。
無論、ドアの隙間からは強烈な視線も感じたままだ。
そのまま、少女の呼吸が荒くなったまま、また一分ほど時間がたつ。
何も進展はしない。
だが、少女の精神が限界を迎える。
少女は奇声を上げて、ドアに向かって走り、足で思いっきりドアを蹴って無理やり閉めた。
少女の奇声と、ドアを勢いよく閉じた大きな音が深夜に鳴り響く。
すぐに少女の両親が駆け付けてきて、少女の部屋のドアを叩き少女の安否を確認する。
少女は恐る恐るドアを開ける。
そこには心配そうな両親がいるだけだ。
少女は先ほどのことを両親に話したが信じてはもらえなかった。
十二時もとっくに過ぎた、そんな時刻だ。
そろそろ少女も寝ようかと言うとき、キキィィと音がして自分の部屋のドアが少しだけ開いた。
少女もすぐに気づく。
そして、びっくりしながらもそちらの目をやる。
おかしい。
このドアは簡易的ながらも鍵が掛けられるドアで、少女は鍵も掛けていたはずだ。
開くはずはない。
けれどドアは開いた。
三センチほど開き、その後ドアは動かなくなった。
その後半の反応もない。
少女はすぐ弟の存在を疑う。
弟の名を呼び、そこにいるんでしょう、と付け加えるが、なんの反応もない。
三センチほどのドアの隙間、そこから妙な視線を感じる。
ドアの隙間からは黒く闇が広がり何も見えないのだが、そこに何かが、誰かが、いることだけは少女には感じられた。
少女は、誰かいるの、と声をかける。
返事はない。
ドアの隙間からものすごい視線を感じるため、少女もその隙間から目を離せなくなる。
しばらくにらみ合いのようなものが続く。
時間にして一分に満たない時間だが、少女には、その間がいやに長く感じた。
その睨み合いのようなものの後、ドアの隙間から、すっと何かが出て来た。
ドアノブの少し下くらい、白い、青白い指が、細長く枯れ木のような指が出てきて、ドアを掴んだ。
少女は恐怖で声が出なかった。
少なくとも弟の手ではない。父や母の物ではない。
家族の者の手にあんな節くれだった手をした者はいない。
少女は呼吸が早くなりながらも、その手から目が離せなかった。
ただその手はドアを開けるでもなく、閉めるのでもなく、ただドアを掴んでいる。
無論、ドアの隙間からは強烈な視線も感じたままだ。
そのまま、少女の呼吸が荒くなったまま、また一分ほど時間がたつ。
何も進展はしない。
だが、少女の精神が限界を迎える。
少女は奇声を上げて、ドアに向かって走り、足で思いっきりドアを蹴って無理やり閉めた。
少女の奇声と、ドアを勢いよく閉じた大きな音が深夜に鳴り響く。
すぐに少女の両親が駆け付けてきて、少女の部屋のドアを叩き少女の安否を確認する。
少女は恐る恐るドアを開ける。
そこには心配そうな両親がいるだけだ。
少女は先ほどのことを両親に話したが信じてはもらえなかった。
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
(ほぼ)1分で読める怖い話
涼宮さん
ホラー
ほぼ1分で読める怖い話!
【ホラー・ミステリーでTOP10入りありがとうございます!】
1分で読めないのもあるけどね
主人公はそれぞれ別という設定です
フィクションの話やノンフィクションの話も…。
サクサク読めて楽しい!(矛盾してる)
⚠︎この物語で出てくる場所は実在する場所とは全く関係御座いません
⚠︎他の人の作品と酷似している場合はお知らせください
百物語 厄災
嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。
小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。
短い怖い話 (怖い話、ホラー、短編集)
本野汐梨 Honno Siori
ホラー
あなたの身近にも訪れるかもしれない恐怖を集めました。
全て一話完結ですのでどこから読んでもらっても構いません。
短くて詳しい概要がよくわからないと思われるかもしれません。しかし、その分、なぜ本文の様な恐怖の事象が起こったのか、あなた自身で考えてみてください。
たくさんの短いお話の中から、是非お気に入りの恐怖を見つけてください。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる