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うんてい
うんてい
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うんてい。
漢字で書くと雲梯。まあ、雲の梯子だ。
攻城兵器の場合を示す場合もあるけど、これから話す雲梯はそんなものではない。小学校にある遊具だ。
ぶら下がって手だけで渡っていく奴だ。
そんな遊具だ。
男は会社の帰り道、小学校を通る。
暗い校庭と二階部分、恐らくは職員室だけ明かりのついた学校。
そんな辺りは暗いがそこまで夜遅くない、そんな時間の話だ。
男は小学校の校庭をなんとなく見ながら帰っていた。
暗く何も見えないが校庭にを見ながら歩いていた。
そして、ふと気づいてしまう。
雲梯。
それに、ぶら下がっている何かがいる。
はじめは、ただの黒い影だった。
少し大きめの人形でもぶら下がっているのかと思った。
だが、それは動ている。
手だけで雲梯を渡ってきている。
なので、次に男は猿でもいるのか、そう思った。
ただ、男が住んでいる場所は猿がいるような場所ではない。
長年住んできたが、男はこの地元で猿など見たこともない。
それが雲梯を進み街灯の明かりが届く場所に姿を現す。
そうすると、すぐに猿ではないと分かる。
それが白いシャツを着てたからだ。
子供くらいの体格だった。
だけれども、それが人間かと言われれば男は即答できない。
下半身がなかったからだ。
後、顔もおかしい。
普通の、男か女かもわからないが、顔なのだが、どこかおかしい。
異様な違和感がある。
それもすぐに男は気づく。
目が二つだけではない、鼻が一つだけではない。口が一つだけでないのだ。
ぱっと見はわからないが、顔が歪んでいてわかりずらいが、いくつかの人の顔が混ざり合っている。
正面から見れば、少年の顔に見えなくはないが、少しずれて見れると、別の顔がまじりあっているのがよくわかる。
一つの頭に三つから四つの顔が混ざり合っているのだ。
男はそれを見て茫然となる。
雲梯にぶら下がっているそれも男に気づく。
そして、それは男に話しかける。
ねえ、見えてるの? と。
複数の声が、同時に、同じ言葉を発しているような、そんな重なり合う声で、それは男に、見えているのか、と聞いて来たのだ。
男は頭が真っ白になり、ただただ茫然とその異形を見ていた。
それは更に男に声をかける。
ねえ、見えているの、見えていないの? と。
重なり合おう声で聞いてくるのだ。
雲梯にぶら下がりながら。
少しの間をおいて、男の頭もやっと動き出す。
男もここで、見えている、と答えるのはまずいと思ったのか、しばらくしてぎこちなくではあるが歩き始めた。
まるで、なにもみなかった、そのつもりで歩き始めた。
それは雲梯にぶら下がりながら、去り行く男に、見えてるの? と声をかけ続けた。
だが、雲梯からそれが降りることはなかった。
足がないから雲梯にぶら下がるだけなのかもしれない、男はそう自分に言い聞かせて、振り返らずに歩き続けた。
男は帰り道に小学校の前を通るのを辞めたのは言うまでもない。
その後、その小学校に通っている子供と話す機会があったので、それとなく雲梯のことを聞いてみたが特に変な噂があるとは聞けなかった。
とりあえず、男は小学校の雲梯には近づくな、とだけその子供に注意をしておいた。
だが、子供にそんなことを言って聞くものだろうか?
逆に興味を引くだけではないのだろうか?
まあ、それは別の話だし、それを聞いた子供がどうなったかは、聞き及んでいない。
漢字で書くと雲梯。まあ、雲の梯子だ。
攻城兵器の場合を示す場合もあるけど、これから話す雲梯はそんなものではない。小学校にある遊具だ。
ぶら下がって手だけで渡っていく奴だ。
そんな遊具だ。
男は会社の帰り道、小学校を通る。
暗い校庭と二階部分、恐らくは職員室だけ明かりのついた学校。
そんな辺りは暗いがそこまで夜遅くない、そんな時間の話だ。
男は小学校の校庭をなんとなく見ながら帰っていた。
暗く何も見えないが校庭にを見ながら歩いていた。
そして、ふと気づいてしまう。
雲梯。
それに、ぶら下がっている何かがいる。
はじめは、ただの黒い影だった。
少し大きめの人形でもぶら下がっているのかと思った。
だが、それは動ている。
手だけで雲梯を渡ってきている。
なので、次に男は猿でもいるのか、そう思った。
ただ、男が住んでいる場所は猿がいるような場所ではない。
長年住んできたが、男はこの地元で猿など見たこともない。
それが雲梯を進み街灯の明かりが届く場所に姿を現す。
そうすると、すぐに猿ではないと分かる。
それが白いシャツを着てたからだ。
子供くらいの体格だった。
だけれども、それが人間かと言われれば男は即答できない。
下半身がなかったからだ。
後、顔もおかしい。
普通の、男か女かもわからないが、顔なのだが、どこかおかしい。
異様な違和感がある。
それもすぐに男は気づく。
目が二つだけではない、鼻が一つだけではない。口が一つだけでないのだ。
ぱっと見はわからないが、顔が歪んでいてわかりずらいが、いくつかの人の顔が混ざり合っている。
正面から見れば、少年の顔に見えなくはないが、少しずれて見れると、別の顔がまじりあっているのがよくわかる。
一つの頭に三つから四つの顔が混ざり合っているのだ。
男はそれを見て茫然となる。
雲梯にぶら下がっているそれも男に気づく。
そして、それは男に話しかける。
ねえ、見えてるの? と。
複数の声が、同時に、同じ言葉を発しているような、そんな重なり合う声で、それは男に、見えているのか、と聞いて来たのだ。
男は頭が真っ白になり、ただただ茫然とその異形を見ていた。
それは更に男に声をかける。
ねえ、見えているの、見えていないの? と。
重なり合おう声で聞いてくるのだ。
雲梯にぶら下がりながら。
少しの間をおいて、男の頭もやっと動き出す。
男もここで、見えている、と答えるのはまずいと思ったのか、しばらくしてぎこちなくではあるが歩き始めた。
まるで、なにもみなかった、そのつもりで歩き始めた。
それは雲梯にぶら下がりながら、去り行く男に、見えてるの? と声をかけ続けた。
だが、雲梯からそれが降りることはなかった。
足がないから雲梯にぶら下がるだけなのかもしれない、男はそう自分に言い聞かせて、振り返らずに歩き続けた。
男は帰り道に小学校の前を通るのを辞めたのは言うまでもない。
その後、その小学校に通っている子供と話す機会があったので、それとなく雲梯のことを聞いてみたが特に変な噂があるとは聞けなかった。
とりあえず、男は小学校の雲梯には近づくな、とだけその子供に注意をしておいた。
だが、子供にそんなことを言って聞くものだろうか?
逆に興味を引くだけではないのだろうか?
まあ、それは別の話だし、それを聞いた子供がどうなったかは、聞き及んでいない。
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