218 / 710
おまえだよ
おまえだよ
しおりを挟む
女が夜仕事から帰っていると、急になにもない道で、おまえだよおまえだよ、と声をかけられた。
女は焦って声の方を見る。
が、そこには小さな藪があるだけだ。
人が隠れるほどの藪でもない。
女は身構え少し待つが、特に何も起きないし何も出てもこない。
聞き間違いだったのだと女は思い家へと帰る。
次の日もその場所で、おまえだよおまえだよ、と声をかけられる。
たしかにかけられる。
小さな、本当に何もない藪からだ。
女は今度は聞き間違いではない、そう確信してすぐにその場から走って逃げだす。
次の日の朝、会社に行くときのことだ。
その薮の近くに花束が置かれていることに気が付く。
ちょうど通りかかった近所の知り合いのおばさんに花束のことを聞くと、一週間くらい前にここで交通事故があって人が亡くなったそうだ。
あの声は、事故にあった、ここで亡くなった人の声なのではないかと女は思い当たる。
だが、それにしては、おまえだよ、とはどういう意味なのだろうか。
女は色々と考える。
そして、最終的に二つの説に絞り込まれる。
事故を起こした加害者と勘違いされている説。
次に事故にあうのはおまえだよ、という説。
どちらもたまったものではない。
女は薮の前を通る帰り道を諦め、違う道で帰るようにする。
だが、女がちょっとした空き地の前を仕事帰りに歩いていた時だ。
草も何も生えてない、闇しかない空き地から、おまえだよおまえだよ、と声が聞こえてくる。
流石に女も何もない場所から声を掛けられ、ゾワゾワした感覚に襲われ、走って逃げだす。
どんなに帰り道を変えても、必ず一度は帰り道の人気のない場所で声をかけられる。
けれども、誰かと一緒なら声はかけられない。
その事がわかった。
一人がダメなのだと。
流石に毎日一緒に家まで帰ってくれる友人はいない。
それでも友人らに頼み込み、なるべく家まで帰るようにしたし、人気の多い場所を通って帰るようにもした。
それでも限界はある。
ある日どうしても一人で家に帰らなければならない日が訪れ、女は帰り道で、誰もいないところで声をかけられる。
おまえだよおまえだよ、と。
精神的にも限界を迎えていた女は、なにがよ、と大声でその声に答えてしまう。
そうするとすぐに返事が返ってくる。
次におまえが私になるんだよ、と。
女は意味が分からなかった。
その後、女が何を言おうが喚こうが、返事はもう返ってこなかった。
それから数日後のことだ。
女が交通事故で死んだのは。
そして、女は解放されるために、今日も声をかける。
おまえだよおまえだよ、と。
女は焦って声の方を見る。
が、そこには小さな藪があるだけだ。
人が隠れるほどの藪でもない。
女は身構え少し待つが、特に何も起きないし何も出てもこない。
聞き間違いだったのだと女は思い家へと帰る。
次の日もその場所で、おまえだよおまえだよ、と声をかけられる。
たしかにかけられる。
小さな、本当に何もない藪からだ。
女は今度は聞き間違いではない、そう確信してすぐにその場から走って逃げだす。
次の日の朝、会社に行くときのことだ。
その薮の近くに花束が置かれていることに気が付く。
ちょうど通りかかった近所の知り合いのおばさんに花束のことを聞くと、一週間くらい前にここで交通事故があって人が亡くなったそうだ。
あの声は、事故にあった、ここで亡くなった人の声なのではないかと女は思い当たる。
だが、それにしては、おまえだよ、とはどういう意味なのだろうか。
女は色々と考える。
そして、最終的に二つの説に絞り込まれる。
事故を起こした加害者と勘違いされている説。
次に事故にあうのはおまえだよ、という説。
どちらもたまったものではない。
女は薮の前を通る帰り道を諦め、違う道で帰るようにする。
だが、女がちょっとした空き地の前を仕事帰りに歩いていた時だ。
草も何も生えてない、闇しかない空き地から、おまえだよおまえだよ、と声が聞こえてくる。
流石に女も何もない場所から声を掛けられ、ゾワゾワした感覚に襲われ、走って逃げだす。
どんなに帰り道を変えても、必ず一度は帰り道の人気のない場所で声をかけられる。
けれども、誰かと一緒なら声はかけられない。
その事がわかった。
一人がダメなのだと。
流石に毎日一緒に家まで帰ってくれる友人はいない。
それでも友人らに頼み込み、なるべく家まで帰るようにしたし、人気の多い場所を通って帰るようにもした。
それでも限界はある。
ある日どうしても一人で家に帰らなければならない日が訪れ、女は帰り道で、誰もいないところで声をかけられる。
おまえだよおまえだよ、と。
精神的にも限界を迎えていた女は、なにがよ、と大声でその声に答えてしまう。
そうするとすぐに返事が返ってくる。
次におまえが私になるんだよ、と。
女は意味が分からなかった。
その後、女が何を言おうが喚こうが、返事はもう返ってこなかった。
それから数日後のことだ。
女が交通事故で死んだのは。
そして、女は解放されるために、今日も声をかける。
おまえだよおまえだよ、と。
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
(ほぼ)1分で読める怖い話
涼宮さん
ホラー
ほぼ1分で読める怖い話!
【ホラー・ミステリーでTOP10入りありがとうございます!】
1分で読めないのもあるけどね
主人公はそれぞれ別という設定です
フィクションの話やノンフィクションの話も…。
サクサク読めて楽しい!(矛盾してる)
⚠︎この物語で出てくる場所は実在する場所とは全く関係御座いません
⚠︎他の人の作品と酷似している場合はお知らせください
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
短い怖い話 (怖い話、ホラー、短編集)
本野汐梨 Honno Siori
ホラー
あなたの身近にも訪れるかもしれない恐怖を集めました。
全て一話完結ですのでどこから読んでもらっても構いません。
短くて詳しい概要がよくわからないと思われるかもしれません。しかし、その分、なぜ本文の様な恐怖の事象が起こったのか、あなた自身で考えてみてください。
たくさんの短いお話の中から、是非お気に入りの恐怖を見つけてください。
意味がわかると怖い話
邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き
基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。
※完結としますが、追加次第随時更新※
YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*)
お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕
https://youtube.com/@yuachanRio
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる