それなりに怖い話。

只野誠

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うすぐらいいえ

うすぐらいいえ

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 少年の住む家は、なぜか薄暗かった。
 昼間なのに、窓はあるのに、外は明るいのに、なぜかその家の中だけは薄暗い。

 その家の窓から外を見ると、色鮮やかな外が見える。
 だけど、家の中、部屋の中は、なぜか薄暗く灰色の印象を受ける。

 電気が、明かりが、点いてない訳ではない。
 点いていても、なぜだか部屋の中は薄暗いのだ。

 まるで家が光を吸っているかのように薄暗い。

 ただ、少年はこの家で生まれ育ってきたのだ。
 特にそれを気にすることはない。
 それを言われるのは、大概小学校の友人を家に呼んだ時だ。
 家の中、なんか暗くない、と、そう言われるのだ。

 少年も言われて、そう思うようになる。
 確かに他人の家はここまで薄暗くない。
 少なくとも、少年が訪問した昼の時間は明るい。

 少年は何がいけないのだろう、と考える。
 窓が少ないわけではない。
 光が家に差し込んでいない訳でもない。
 なのに、少年の家の中は薄暗いのだ。

 そのことを少年は父親に聞く。
 なんでうちは薄暗いのかと。
 少年の父親は答える。

 うちにはクラガリ様がいて、うちのを守ってくれているのだと。
 父親の言う話では、クラガリ様は薄暗い場所が大好きな神様で、うちは代々その神様を崇めているのだと。
 この薄暗さはクラガリ様が家にいる証拠なのだと、そう話した。
 少年はその話を聞いて、少し不気味に思う。

 暗がりが好きな神様など、悪役に思えてしまう、少年はそんな歳頃だったからだ。

 だが、確かに少年の家では悪いことは起きない。
 誰もこの家から大病で苦しむ者は出てないし、事故にあった者もいない。
 ただ薄暗いだけなのだ。

 少年も成長するにつれて、家の薄暗さを好むようになる。
 少年が、俗にいうところのインドア派として大人になったからだ。
 少年が大人になると、この薄暗さは居心地の良いものだった。

 それがクラガリ様の影響かどうか、それはわからないが、少年は休みも日も引きこもる様な大人に育ってしまったことだけは事実だ。



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