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はなしごえ
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話し声が聞こえてくる。
隣の部屋からだ。
だが、それはおかしいのだ。
今、この家にいるのは男一人なのだから。
男は慌てて隣の部屋確認しに行くのだが、誰もいない。
いるわけもない。
首を捻りながら男は自室へと戻る。
そうすると、また、聞こえてくるのだ。
隣の部屋から話し声が。
そして、男は確認しにいく。だが何もないし、誰もいない。
そんなことを何度か繰り返していた。
男も恐怖よりも怒りの方が勝っていた。
自分はからかわれていると、そう考えていたからだ。
男は壁に耳を当てて、その話し声、会話を聞こうとする。
だがおかしい、会話だと思っていたそれはどうやら独り言のようだ。
隠れて電話でもしているのか、と男は改めてその話し声を聞こうとするが、何を言っているかまでは聞き取れない。
ただ、何か言い争っているような感じだ。
男は壁の向こうの話を聞こうとするのを諦めて、今度は隣の部屋のドアの前まで行って聞き耳を立てる。
そうするとようやく話し声が聞こえる。
その声は、言い争うというよりは、言い訳するような言葉だったとわかる。
この部屋には誰もいない、話と違う、そんなようなことをしきりに言っている。
男はやはり泥棒か強盗か、そう思って一旦こっそりと部屋の前から去る。
そして、高校時代に愛用していたバッドを片手に部屋の前に戻って来る。
話し声がしているそのドアを勢いよく開ける。
そこにいたのは骸骨だった。
骸骨が黒いローブのような物をかぶっている。
一言で言うとあれだ。死神だ。
鎌は持っていなかったが。
そんな存在が部屋の中にいた。
しかも、スマホで誰かと話している。
男にも訳がわからない。骸骨もスマホを使う時代か? などとそんなことが男の脳裏に過る。
男と骸骨の視線が合う。
骸骨は骸骨だ。表情などない。
そのはずなのだが、あっ、しまった、とそんな少し間抜けな顔を骸骨がしているのが、男にはわかった。
なんと言って良いかわからないが、その骸骨は妙に人間味があったのだ。
男がそんな骸骨を見て呆然としていると、男の目の前で骸骨はスッーと消えていった。
男はしばらく呆然としていた。
だが、理解はできた。
あれは死神だ。
この部屋の住人を連れて行くつもりなのだ。
旅行中のその部屋の主、男の親が帰ってきたとき、その部屋を使わないようにと必死に説得したという。
男の親はその話を信じなかったが、男があまりにも強く言ってくるので、仕方なくその部屋を使うことを諦めたという。
そのおかげかどうかまではわからないが、男の親は大層長生きしたという。
ただ、それだけの話だ。
隣の部屋からだ。
だが、それはおかしいのだ。
今、この家にいるのは男一人なのだから。
男は慌てて隣の部屋確認しに行くのだが、誰もいない。
いるわけもない。
首を捻りながら男は自室へと戻る。
そうすると、また、聞こえてくるのだ。
隣の部屋から話し声が。
そして、男は確認しにいく。だが何もないし、誰もいない。
そんなことを何度か繰り返していた。
男も恐怖よりも怒りの方が勝っていた。
自分はからかわれていると、そう考えていたからだ。
男は壁に耳を当てて、その話し声、会話を聞こうとする。
だがおかしい、会話だと思っていたそれはどうやら独り言のようだ。
隠れて電話でもしているのか、と男は改めてその話し声を聞こうとするが、何を言っているかまでは聞き取れない。
ただ、何か言い争っているような感じだ。
男は壁の向こうの話を聞こうとするのを諦めて、今度は隣の部屋のドアの前まで行って聞き耳を立てる。
そうするとようやく話し声が聞こえる。
その声は、言い争うというよりは、言い訳するような言葉だったとわかる。
この部屋には誰もいない、話と違う、そんなようなことをしきりに言っている。
男はやはり泥棒か強盗か、そう思って一旦こっそりと部屋の前から去る。
そして、高校時代に愛用していたバッドを片手に部屋の前に戻って来る。
話し声がしているそのドアを勢いよく開ける。
そこにいたのは骸骨だった。
骸骨が黒いローブのような物をかぶっている。
一言で言うとあれだ。死神だ。
鎌は持っていなかったが。
そんな存在が部屋の中にいた。
しかも、スマホで誰かと話している。
男にも訳がわからない。骸骨もスマホを使う時代か? などとそんなことが男の脳裏に過る。
男と骸骨の視線が合う。
骸骨は骸骨だ。表情などない。
そのはずなのだが、あっ、しまった、とそんな少し間抜けな顔を骸骨がしているのが、男にはわかった。
なんと言って良いかわからないが、その骸骨は妙に人間味があったのだ。
男がそんな骸骨を見て呆然としていると、男の目の前で骸骨はスッーと消えていった。
男はしばらく呆然としていた。
だが、理解はできた。
あれは死神だ。
この部屋の住人を連れて行くつもりなのだ。
旅行中のその部屋の主、男の親が帰ってきたとき、その部屋を使わないようにと必死に説得したという。
男の親はその話を信じなかったが、男があまりにも強く言ってくるので、仕方なくその部屋を使うことを諦めたという。
そのおかげかどうかまではわからないが、男の親は大層長生きしたという。
ただ、それだけの話だ。
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