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りょうぼさん
りょうぼさん
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少年は寮に住む学生だ。
山の中にある高校で寮が併設されている。
それなりに歴史ある高校だ。
少年もその寮に住んでいる。
その寮には一つのルールがある。
絶対に守らないといけないルールだ。
それはリョウボさんを見ても、見て見ぬふりをしなければならないというルールだ。
寮の規則には書かれてはいない、絶対のルールだ。
ついでに寮母ではない、リョウボさんだ。
リョウボさんという存在が寮母とは別に存在するのだ。
ただ、それを破ったからと言って死ぬわけではない。
付きまとわれるようになるだけだ。
リョウボさんに。
けれど、付きまとわれるようになった生徒は寮を自ら出ていく。
そんな話だ。
少年もよくある怪談の一つだと、そう思っていた。
だが、寮に住みだして一ヶ月経つか経たないかの時期だ。
寮の少年が住んでいる別の部屋から悲鳴が上がる。
寮の友人の一人がかなり取り乱している。
震えているだけで話にもならない。
だが、先輩が来てその様子を見て、一目で理解する。
その先輩は、リョウボさんを見て悲鳴を上げたんだな? と、聞くと、友人は、あれが、あんなのがそうなんですか? と、声を震わせて聞いた。
先輩はゆっくりと頷き、お前は寮を出る準備をしておいた方がいいよ、と友人にアドバイスをした。
先輩のアドバイス通り、その友人は寮から出ていくことを決めた。
通学に二時間近くかかるという話だが、それでもこの寮に住むよりはマシだと、そう言っていた。
身近でそんなことがあると少年も、そのリョウボさんという存在を信じなければならなくなった。
季節が初夏になった時期だ。
蒸し暑いので、窓をとドアを開け、それで涼がとれていた時期だ。
カツカツカツカツ、という音が廊下から響いてくる。
そうすると一斉に、今まで開かれていた他の部屋の扉がものすごい勢いで閉じられていく。
少年もその頃には、リョウボさんの存在をすっかり忘れていた時期だ。
一旦は信じはしたものの、それから数カ月、何もなかったのだから。
だから、油断していた。
カツカツカツカツという音が近づいてくる。
そして、それは少年の部屋を覗き込んで来た。
それは骨と皮だけの青黒い、恐らくは女性、そのナニカだった。
少年にはナニカとしか、言い表せない、そんな存在だった。
ぼさぼさで疎らな髪。
くぼんだ目に、ぎょろりとしたまん丸い黄色く淀んだ目。
そして何より不気味なのが、歯をかち合わせ、カツカツカツカツという音を発生させている。
そんな存在が少年の部屋の入口に手をかけ、覗き込んで来ていた。
少年は一瞬ギョッとしたが、何とか声を出さずにすんだ。
そして、平静を装い、勉強をしているふりをする。
あれを見ても、見なかったことにするしかない、それを何とか思い出したからだ。
けれど、勉強など、宿題など、手につくわけはない。
しばらく、一分か五分程度、それは少年の部屋を覗き込み、そのあと興味を失ったかのように寮の廊下を進んでいった。
カツカツカツカツという歯を鳴らす音が聞こえなくってから、少年はそっと自分の部屋のドアをそっと閉じた。
あれが、リョウボさんだと、少年もすぐに見当がついた。
だが、理解はできない。
少年はこれからこの高校を卒業するまで、あれと向き合わないと行けないかと思うと、気が重かった。
ただ、それだけの話だ。
山の中にある高校で寮が併設されている。
それなりに歴史ある高校だ。
少年もその寮に住んでいる。
その寮には一つのルールがある。
絶対に守らないといけないルールだ。
それはリョウボさんを見ても、見て見ぬふりをしなければならないというルールだ。
寮の規則には書かれてはいない、絶対のルールだ。
ついでに寮母ではない、リョウボさんだ。
リョウボさんという存在が寮母とは別に存在するのだ。
ただ、それを破ったからと言って死ぬわけではない。
付きまとわれるようになるだけだ。
リョウボさんに。
けれど、付きまとわれるようになった生徒は寮を自ら出ていく。
そんな話だ。
少年もよくある怪談の一つだと、そう思っていた。
だが、寮に住みだして一ヶ月経つか経たないかの時期だ。
寮の少年が住んでいる別の部屋から悲鳴が上がる。
寮の友人の一人がかなり取り乱している。
震えているだけで話にもならない。
だが、先輩が来てその様子を見て、一目で理解する。
その先輩は、リョウボさんを見て悲鳴を上げたんだな? と、聞くと、友人は、あれが、あんなのがそうなんですか? と、声を震わせて聞いた。
先輩はゆっくりと頷き、お前は寮を出る準備をしておいた方がいいよ、と友人にアドバイスをした。
先輩のアドバイス通り、その友人は寮から出ていくことを決めた。
通学に二時間近くかかるという話だが、それでもこの寮に住むよりはマシだと、そう言っていた。
身近でそんなことがあると少年も、そのリョウボさんという存在を信じなければならなくなった。
季節が初夏になった時期だ。
蒸し暑いので、窓をとドアを開け、それで涼がとれていた時期だ。
カツカツカツカツ、という音が廊下から響いてくる。
そうすると一斉に、今まで開かれていた他の部屋の扉がものすごい勢いで閉じられていく。
少年もその頃には、リョウボさんの存在をすっかり忘れていた時期だ。
一旦は信じはしたものの、それから数カ月、何もなかったのだから。
だから、油断していた。
カツカツカツカツという音が近づいてくる。
そして、それは少年の部屋を覗き込んで来た。
それは骨と皮だけの青黒い、恐らくは女性、そのナニカだった。
少年にはナニカとしか、言い表せない、そんな存在だった。
ぼさぼさで疎らな髪。
くぼんだ目に、ぎょろりとしたまん丸い黄色く淀んだ目。
そして何より不気味なのが、歯をかち合わせ、カツカツカツカツという音を発生させている。
そんな存在が少年の部屋の入口に手をかけ、覗き込んで来ていた。
少年は一瞬ギョッとしたが、何とか声を出さずにすんだ。
そして、平静を装い、勉強をしているふりをする。
あれを見ても、見なかったことにするしかない、それを何とか思い出したからだ。
けれど、勉強など、宿題など、手につくわけはない。
しばらく、一分か五分程度、それは少年の部屋を覗き込み、そのあと興味を失ったかのように寮の廊下を進んでいった。
カツカツカツカツという歯を鳴らす音が聞こえなくってから、少年はそっと自分の部屋のドアをそっと閉じた。
あれが、リョウボさんだと、少年もすぐに見当がついた。
だが、理解はできない。
少年はこれからこの高校を卒業するまで、あれと向き合わないと行けないかと思うと、気が重かった。
ただ、それだけの話だ。
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