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まきのえ
まきのえ
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少年が住んでいる地域では、夕焼けが異様に赤い日時は外に出るな、という言い伝えがある。
マキノエがでるからだ。
マキノエとはなんだ、と、聞かれても誰もその答えを知らない。
昔かいる、言うならば、妖怪や怪異といった類だ。
黒い影、もしくは黒い布を被った獅子舞的な何か、と言われている。
獅子舞のように、踊るように、けど、ゆっくりと滑らかに動き、子供達の後をつける。
そして、子供が一人になったところで攫うか、食べるか、してしまう、そんな存在らしい。
それを実際に見た者はいない、訳ではない。
その地方では割と頻繁に、目撃されている。
それが異様に赤く染まった夕焼けの時には、だが。
何なら、家の中からでも、うねうねと外を練り歩いているマキノエを見ることができるときがある。
その時は見ても構わないのだが、子供が一人でいてはダメだ。
一人でいるとマキノエに狙われる。
できるだけ大勢で、見ていればまだ安全だ。
ただ、マキノエが見えている時は、トイレに行くときも複数人で行かねばならない。
とにかく赤い夕焼けの日は、子供は一人でいてはダメなのだ。
それがマキノエという存在だ。
少年が友人宅で窓から外を見る。
真っ赤に染め上げられた世界が見る。
少年が外を見渡すと、遠くの田んぼ道をうねうねとしている存在を目にする。
少年は、マキノエだ、と声を上げる。
友人らが窓に集まり、マキノエを探し、そして、それを見るける。
そうして、言うのだ。
じゃあ、今日は暗くなるまで帰れないから長く遊べるな、と。
マキノエは赤い夕焼け、その時間しか現れない。
日が完全に落ちてしまえば、マキノエは夕闇に溶け居なくなるのだ。
そんなとき、友人の一人がトイレに行きたいと言い出した。
仕方なく少年が付き添う。
他の友人らはゲームに夢中だからだ。
友人がトイレに入り、少年がドアの外で待っている。
そこで少年は気づく、あれ、今、一人じゃないか? と。
少年は途端に友人宅の物陰が怖くなる。
次の瞬間だ。
トイレの中から叫び声が上がる。
慌てて、少年はトイレの戸を開ける。
友人がしょうべんをしながらも固まり、トイレの窓を見て固まっていた。
そして、トイレの窓の外には、闇が蠢いていた。
真っ黒なのに、黒一色なのに、それが蠢いているのがわかる。
その闇が、窓を覗き込むように顔を出す。
獣のお面のような、そんな顔だ。
古い、カビの生えた木製の、黒くくすんだ仮面だ。
それは友人と少年を見る。
それを確認すると、それはトイレの窓から、うねうねと蠢くように離れていった。
友人は少年に感謝した。
命の恩人だと。
でも、違うのだ。
少年も一人で怖かっただけなのだ。
ただそれだけの話だ。
マキノエがでるからだ。
マキノエとはなんだ、と、聞かれても誰もその答えを知らない。
昔かいる、言うならば、妖怪や怪異といった類だ。
黒い影、もしくは黒い布を被った獅子舞的な何か、と言われている。
獅子舞のように、踊るように、けど、ゆっくりと滑らかに動き、子供達の後をつける。
そして、子供が一人になったところで攫うか、食べるか、してしまう、そんな存在らしい。
それを実際に見た者はいない、訳ではない。
その地方では割と頻繁に、目撃されている。
それが異様に赤く染まった夕焼けの時には、だが。
何なら、家の中からでも、うねうねと外を練り歩いているマキノエを見ることができるときがある。
その時は見ても構わないのだが、子供が一人でいてはダメだ。
一人でいるとマキノエに狙われる。
できるだけ大勢で、見ていればまだ安全だ。
ただ、マキノエが見えている時は、トイレに行くときも複数人で行かねばならない。
とにかく赤い夕焼けの日は、子供は一人でいてはダメなのだ。
それがマキノエという存在だ。
少年が友人宅で窓から外を見る。
真っ赤に染め上げられた世界が見る。
少年が外を見渡すと、遠くの田んぼ道をうねうねとしている存在を目にする。
少年は、マキノエだ、と声を上げる。
友人らが窓に集まり、マキノエを探し、そして、それを見るける。
そうして、言うのだ。
じゃあ、今日は暗くなるまで帰れないから長く遊べるな、と。
マキノエは赤い夕焼け、その時間しか現れない。
日が完全に落ちてしまえば、マキノエは夕闇に溶け居なくなるのだ。
そんなとき、友人の一人がトイレに行きたいと言い出した。
仕方なく少年が付き添う。
他の友人らはゲームに夢中だからだ。
友人がトイレに入り、少年がドアの外で待っている。
そこで少年は気づく、あれ、今、一人じゃないか? と。
少年は途端に友人宅の物陰が怖くなる。
次の瞬間だ。
トイレの中から叫び声が上がる。
慌てて、少年はトイレの戸を開ける。
友人がしょうべんをしながらも固まり、トイレの窓を見て固まっていた。
そして、トイレの窓の外には、闇が蠢いていた。
真っ黒なのに、黒一色なのに、それが蠢いているのがわかる。
その闇が、窓を覗き込むように顔を出す。
獣のお面のような、そんな顔だ。
古い、カビの生えた木製の、黒くくすんだ仮面だ。
それは友人と少年を見る。
それを確認すると、それはトイレの窓から、うねうねと蠢くように離れていった。
友人は少年に感謝した。
命の恩人だと。
でも、違うのだ。
少年も一人で怖かっただけなのだ。
ただそれだけの話だ。
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