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【ヤクソ・ウュクスィ-要するに第一話-】魔法少女全員集合☆彡【ヴィースィ・ヴェーリ・ルク-五色の章-01-】

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 私はビル、その屋上にある一番高い場所、高架水槽の上から地上を見下ろしてます。
 そこからでも地上に小さい人影のような敵がいるのがわかります。
 まあ、ビルと言っても七階建てなので、そこまでは高くないのですが、これだけ離れると詳細は私には見えないですね。
 それでも私にとっては十分に高くて怖くはあるんですが、今日はそう言う方向で話が固まってしまったので、一応、私も参加してます。
 ついでに地上にいる敵は、謎の悪の組織、毒電波遮断教団の連中です。
 私の敵、いや、私達の敵ですね。
 仲間の魔法少女は、私を入れれば全員で五人。他の皆も違うビルの上から敵の様子をうかがっています。
 そして、敵を確認次第、私以外の四人はビルの上から地上へと飛び降りていきます。

 私?
 私は高架水槽に備え付けられている梯子をおっかなびっくり下ります。
 ビルの屋上は風が強いんですよ。
 そして、屋上の扉からビルに入り、エレベーターのボタンを押します。
 すぐにエレベーターの扉が開きます。当たり前です。私が乗って来たんですから。
 それに乗って一階のボタンを押します。
 そのまま、エレベーター内に設置されている鏡に映った自分の姿、未だ慣れない魔法少女の衣装に恥ずかしくなりながら、しばらく待ちます。
 エレベーターは途中で止まることもなく一階に着き、扉が開きます。
 誰もいないことを確認して、私はエレベーターから降り、普通にビルの出口から出ます。
 そして、そのビルの入り口にある階段に腰掛けて皆の様子を見ます。

 まず目に入ったのは魔法少女の青色担当、シニネン・アクアさん。
 水色の髪のウェットヘアの超が付くほど美人さん。ついでに細いのにスタイルもいいですね、羨ましい限りです。
 魔法少女の服装はワンピースの水着かレオタード的なのを基にしてるみたいで、その美しい体のラインを存分に発揮した衣装に、白いニーハイブーツといった感じで、ちょっとえっちいかもしれません。
 彼女は自分の意図した場所に、鋭い氷の柱とも棘ともいえるものを生えてきて敵を串刺しする魔法を主に使っています。
 何度見てもえげつない魔法です。
 ついでに敵は、毒電波遮断戦闘員ヴァルヨとかいう見た目は頭にアルミホイルを巻いた黒い全身タイツのあやしい人です。
 とはいえ、人間ではなくやっつけるとアルミホイルだけを残して消えちゃうんですけどね。
 だから、遠慮はいらないんですよ。
 妖精だか精霊だかの魔法の力で生み出された魔法生物っていう存在みたいです。
 私もよく知らないんですけど。
 今も大きな氷の棘にその戦闘員が串刺しにされているのが少し遠くでも見えます。

 で、次に目に入ったのが全身ピンクと黒を基調とした配色のヴァーレアンプナイネン・ローズピンクちゃん。
 一番覚えにくい名前の魔法少女かも。
 ふわふわツインテでピンク髪の毛がとってもかわいいです。
 ピンクと黒のゴスロリ風の服の魔法少女で、その服もよく似合っています。
 私達の中だと一番年下ですかね?
 けど、彼女が使う魔法もえげつないです。
 ピンク色の光線を放てるんだけど、ちょっと前に大きなトラックをその光線で吹き飛ばしているのを見ました。
 今もピンク色の光線を炸裂さえて戦闘員を容赦なく吹き飛ばしています。
 やっぱりえげつないです。

 んで、次が緑担当ヴィフレア・グリーナリーさん。
 多分、一番年上ですかね。
 緑色の髪の毛のストレートボブに眼鏡をかけたクールビューティなお姉さんです。
 服装もスーツ姿でOLぽい服装の魔法少女です。
 でも、スカートのお尻の部分に白いポンポンとうさみみバンドしてるから、元はバニーさんなんですかね?
 あと性格は少しSっ気のある感じなんですかね?
 鋭い棘の茨の鞭を使って敵を引き裂いていくお怖いお姉さんでもあります。
 でも、実はちょっと憧れもあります。
 私はどうにも気が弱いので、気の強い人にはどうしても憧れてしまうんですよね。

 で、最後がボクっ子で黄色担当、ケルタイネン・アンバーくんちゃん。
 この子、もしかしたら男の子かもしれません、中身が、ですが。
 確証はないんですけど。
 見た目もボーイッシュなボクっ子なんですけど、どうもヒーローにあこがれてたりして、言動もなんか男の子ぽいんですよね。
 服装もヒーローぽい感じなんですかね?
 女か男か、実際のところわからないけど、中身の人はとりあえず幼そうな感じかな。
 ついでに私を除いて美形ぞろいの魔法少女の中でも一番の美形なのは確かですね。
 そんなすんごい美形のケルタイネンくんちゃんは超再生能力と超怪力で戦う肉体派の魔法少女です。
 なんと魔法少女の中ではこの子が一番強いそうですよ。

 え? 私?
 私は一応、魔法少女の赤担当で、名前はプナイネン・ルージュって名前らしいですよ。
 赤い魔法少女の服を着て、少し栗色の茶髪で顔も普通の女子高生ですよ。他の皆は美少女なのに私は平凡な容姿ですよ。
 服装は、これ、メイド服風なんですかね?
 私の戦闘能力? そんなものないですよ。
 だって私だけは、この服もただのコスプレで、普通の何の力もない女子高校生ですもの。
 ちょっとした理由があって皆と一緒にいなくちゃいけないだけで、私自身はただの一般人なんですよ。
 ああ、コスプレもね、身バレ防止のためのもので、私だけ少し大きめのゴーグルとか付けて顔も隠しているような状況ですし。
 他の魔法少女は普段とは違う容姿なんですって。
 あんな美少女になれるのは、うらやましいですね。
 本当はマスクもしたいんだけど、それはダメって言われているんですよ。なんかこだわりがあるみたいです。
 まったく、身バレでもして悪の組織に襲われたらどうしてくれるんですか。
 私、ただのコスプレしているだけの一般人ですよ?
 みんながサクッと倒している戦闘員にすら負ける一般人なんですよ?
「どうしたんだゾ? プナイネン・ルージュ、そんな浮かない顔をして辛気臭いんだゾ」
 そう言って、白いもこもこのクマのぬいぐるみ、ヴァルコイネン・ケイジュっていう精霊だか妖精で、私達に魔法少女の力を授けた存在が、とてとてと歩いてきました。
 私の、このバイトの雇い主です。
 ついでに支払いはいいですね、物凄く。
 一応、命かけていますからね。その辺のバイトなんかと比べるまでもないですよ。
 そして、私が着ているコスプレ衣装を用意したのもこのぬいぐるみです。
 そんな人形じみた不思議なモコモコを私は抱え上げて、敵がこっちに来ないようにと願いながら皆が戦っている様子を私は見学しています。



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