1 / 10
プロローグ:読む必要のない島人転生
魚あるぞ!
しおりを挟む
広がる青空。
揺蕩う海。
白い砂浜。
照りつけるサンシャイン。
吹き抜ける風が髪をなでる。
ここは石垣島、だったらよかったのに。
いや、石垣島に白い砂浜があるなんか知らないよ?
あくまでこう、南の島ってイメージ。
あーもうじゃあハワイでいいよ、ハワイで。
じゃあここがハワイなんですかと言われれば、ハワイなわけーねじゃん。異世界転生なんだから。
こんがりと日に焼けた男たちが、木をくりぬいて作ったボートを浜辺に上げてこちらに笑いかける。
「喜べ!」「魚あるぞ!」「たくさんだ!」「すっごいぞ!」
いずれも麻布めいた腰蓑をつけている以外にはすっぽんぽんだ。
全身に魔よけの白い入れ墨を入れており、みな一様に背中には「でけえ魚」と現地語で書かれている。
俺はさすがに半裸にはなれなかった。
彼らと比べて胸板が薄いのが恥ずかしいからだ。
だから、同じ素材でできたズボンとTシャツを着ている。
彼らの話している言語が日本語ではないことは明白なものの、なんとなくふんわりその意味だけは理解できる。
不思議なものだが、言語が通じなければ異世界転生の話は進まない。
御都合主義的展開だが、どうやら俺はこのセカイに選ばれた存在のようだ。
ただ、選ばれたのは選ばれたが、別に彼らのスキルだのレベルだのが見えるわけじゃあない。
俺自身に特殊な能力もないし、世界の攻略法も知らない。
彼らに挨拶もほどほどに、隣に立つ若い男がさわやかに言った。
「火竜を殺しに行こう!」
俺の世話をするのは男ときた。
島の守り神に使える美少女の巫女さんとかケモミミの奴隷少女とかがよかったのに、妻帯者の男ってどゆことなの。
それでも見たいんだろ?転生したシーン。
見たくない?いや、見ろ。
これから俺は、火竜と戦ってどうせ死ぬんだ。
最後の頼みだからさ。ええい、ままよ!
―――それは、昨日にさかのぼる。
揺蕩う海。
白い砂浜。
照りつけるサンシャイン。
吹き抜ける風が髪をなでる。
ここは石垣島、だったらよかったのに。
いや、石垣島に白い砂浜があるなんか知らないよ?
あくまでこう、南の島ってイメージ。
あーもうじゃあハワイでいいよ、ハワイで。
じゃあここがハワイなんですかと言われれば、ハワイなわけーねじゃん。異世界転生なんだから。
こんがりと日に焼けた男たちが、木をくりぬいて作ったボートを浜辺に上げてこちらに笑いかける。
「喜べ!」「魚あるぞ!」「たくさんだ!」「すっごいぞ!」
いずれも麻布めいた腰蓑をつけている以外にはすっぽんぽんだ。
全身に魔よけの白い入れ墨を入れており、みな一様に背中には「でけえ魚」と現地語で書かれている。
俺はさすがに半裸にはなれなかった。
彼らと比べて胸板が薄いのが恥ずかしいからだ。
だから、同じ素材でできたズボンとTシャツを着ている。
彼らの話している言語が日本語ではないことは明白なものの、なんとなくふんわりその意味だけは理解できる。
不思議なものだが、言語が通じなければ異世界転生の話は進まない。
御都合主義的展開だが、どうやら俺はこのセカイに選ばれた存在のようだ。
ただ、選ばれたのは選ばれたが、別に彼らのスキルだのレベルだのが見えるわけじゃあない。
俺自身に特殊な能力もないし、世界の攻略法も知らない。
彼らに挨拶もほどほどに、隣に立つ若い男がさわやかに言った。
「火竜を殺しに行こう!」
俺の世話をするのは男ときた。
島の守り神に使える美少女の巫女さんとかケモミミの奴隷少女とかがよかったのに、妻帯者の男ってどゆことなの。
それでも見たいんだろ?転生したシーン。
見たくない?いや、見ろ。
これから俺は、火竜と戦ってどうせ死ぬんだ。
最後の頼みだからさ。ええい、ままよ!
―――それは、昨日にさかのぼる。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる