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第1章
1︰アイテムコレクター【黒野鉄志】
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人生とは、何か。
何のために人生を駆け抜けるのか。
そんな問いかけをするドキュメンタリーを見たことがある。
もし俺がそんなこと聞かれたら、たぶんこう答えるだろう。
「たくさんのアイテムを集めることだ!」
迷宮――それは様々な財宝が眠る場所。
生える植物、石ころのように転がる魔石、散らばるガラクタに、モンスターの全てが人間に影響を与える財宝だ。
そんな恩恵を与えてくれる迷宮が、十数年前に世界各地と日本に出現した。
人々は迷宮に眠るお宝、いやアイテムに大きな価値を見出す。
ゆえに探索者が生まれ、大いなる発展に貢献する。
そんな探索者になろうとしている俺は、長身で黙っていたら美人と言われる馴染みあるお姉さんと迷宮管理局で仕事の話をしていた。
「はいはい、わかったわかった。じゃあこの書類のここに名前を書いてね、鉄志。そうすればライセンスの発行ができるから」
「なんだよ、霧島さん。聞いておいてそれはないだろっ」
「仕事だから聞いたの。わかりきってたけど、やっぱ思った通りの答えだったわ」
簡単に話を聞き流した青髪の女性【霧島瑠璃】に俺は唸った。
一瞬、文句を言おうかと思ったがそんな時間はないと思い返し、すぐにやめる。
書類に目を通し、不備がないことを確認して【黒野鉄志】という名前をしっかり書き記した。
「書いたよ」
「あらー、ホントに書いちゃったの。これで立派な駆け出し探索者ね」
「とっととライセンスを寄こせよ、瑠璃姉! 俺は早く迷宮に行きたいの!」
「はいはい。わかったからわかったから」
ドウドウと、たしなめられながら瑠璃姉からあるものを手渡される。
それは星一つと表記された探索者バッジだ。
「それがライセンスよ。迷宮に入るためにも必要だから、絶対になくさないこと。わかった?」
「へぇー、これが。ありがとな、瑠璃姉」
俺はライセンスをポケットにしまい、お礼を言う。
同時に心の中で大きな大きなガッツポーズを取り、探索者になったことを実感していた。
やっと、やっと探索者になれたよ。
これで俺の目的に近づける。
「そんじゃ、早速行ってきます」
「ちょい待ち。まだチュートリアルは終わってないわ」
「なんだよ! まだ何かあるのかよ!」
「アンタはまだ初心者。だから念押しするのよ」
念押しって、そういうのはいいから早く迷宮に行きたいんだけど……
そんな俺の思いとは裏腹に、瑠璃姉はあれやこれやと話し始めた。
なんだか長くなりそうだ、と感じながら見渡しているとある場所に人だかりができていることに気がつく。
何となくそこへ目を向けると、何やら楽しげにカメラに向かって語りかけている少女の姿があった。
「この子、始めての迷宮配信だってよ」
「へぇー。結構馴れてる感じがするね」
どうやらここ迷宮管理局では迷宮関連での情報として最近流行りの迷宮配信を流しているようだ。
配信事態が初々しいおじさんから、こなれたベテラン感を醸し出す幼女まで様々だ。
『みんなー、今日は私、ひだまり迷宮へきましたー!』
そんな中でも一際、人が集まっている迷宮配信がある。
ここからだとどんな人がどういう配信をしているのかわからないけど、とりあえず人気だということだけはわかった。
そんな配信を見ているみんなは、興奮気味に叫んでいる。
「待ってました!」
「天見アヤメちゃん、今日も見るぜ!」
探索者すらも魅了する探索者か。
すごいなー、と俺は思いながら熱狂する探索者達を眺めていた。
すると、そんな俺を見て瑠璃姉が声をかけてきた。
「ちょっと鉄志、話を聞いてる?」
「え? あ、聞いてたよ!」
「ふーん。まあいいわ、とりあえずアンタがいく陽だまり迷宮は攻略するのに十日はかかるから、ちゃんと準備していきなさいよ」
「はーい」
いつの間にかチュートリアルは終わっていたそうだ。
何にしても、これで俺も迷宮を探索できるぞ。
さあ、俺の夢を叶えに行こう。
世界で始めて全てのアイテムをそろえたアイテムコレクターになるために。
いざ征かん、ひだまり迷宮へ!
何のために人生を駆け抜けるのか。
そんな問いかけをするドキュメンタリーを見たことがある。
もし俺がそんなこと聞かれたら、たぶんこう答えるだろう。
「たくさんのアイテムを集めることだ!」
迷宮――それは様々な財宝が眠る場所。
生える植物、石ころのように転がる魔石、散らばるガラクタに、モンスターの全てが人間に影響を与える財宝だ。
そんな恩恵を与えてくれる迷宮が、十数年前に世界各地と日本に出現した。
人々は迷宮に眠るお宝、いやアイテムに大きな価値を見出す。
ゆえに探索者が生まれ、大いなる発展に貢献する。
そんな探索者になろうとしている俺は、長身で黙っていたら美人と言われる馴染みあるお姉さんと迷宮管理局で仕事の話をしていた。
「はいはい、わかったわかった。じゃあこの書類のここに名前を書いてね、鉄志。そうすればライセンスの発行ができるから」
「なんだよ、霧島さん。聞いておいてそれはないだろっ」
「仕事だから聞いたの。わかりきってたけど、やっぱ思った通りの答えだったわ」
簡単に話を聞き流した青髪の女性【霧島瑠璃】に俺は唸った。
一瞬、文句を言おうかと思ったがそんな時間はないと思い返し、すぐにやめる。
書類に目を通し、不備がないことを確認して【黒野鉄志】という名前をしっかり書き記した。
「書いたよ」
「あらー、ホントに書いちゃったの。これで立派な駆け出し探索者ね」
「とっととライセンスを寄こせよ、瑠璃姉! 俺は早く迷宮に行きたいの!」
「はいはい。わかったからわかったから」
ドウドウと、たしなめられながら瑠璃姉からあるものを手渡される。
それは星一つと表記された探索者バッジだ。
「それがライセンスよ。迷宮に入るためにも必要だから、絶対になくさないこと。わかった?」
「へぇー、これが。ありがとな、瑠璃姉」
俺はライセンスをポケットにしまい、お礼を言う。
同時に心の中で大きな大きなガッツポーズを取り、探索者になったことを実感していた。
やっと、やっと探索者になれたよ。
これで俺の目的に近づける。
「そんじゃ、早速行ってきます」
「ちょい待ち。まだチュートリアルは終わってないわ」
「なんだよ! まだ何かあるのかよ!」
「アンタはまだ初心者。だから念押しするのよ」
念押しって、そういうのはいいから早く迷宮に行きたいんだけど……
そんな俺の思いとは裏腹に、瑠璃姉はあれやこれやと話し始めた。
なんだか長くなりそうだ、と感じながら見渡しているとある場所に人だかりができていることに気がつく。
何となくそこへ目を向けると、何やら楽しげにカメラに向かって語りかけている少女の姿があった。
「この子、始めての迷宮配信だってよ」
「へぇー。結構馴れてる感じがするね」
どうやらここ迷宮管理局では迷宮関連での情報として最近流行りの迷宮配信を流しているようだ。
配信事態が初々しいおじさんから、こなれたベテラン感を醸し出す幼女まで様々だ。
『みんなー、今日は私、ひだまり迷宮へきましたー!』
そんな中でも一際、人が集まっている迷宮配信がある。
ここからだとどんな人がどういう配信をしているのかわからないけど、とりあえず人気だということだけはわかった。
そんな配信を見ているみんなは、興奮気味に叫んでいる。
「待ってました!」
「天見アヤメちゃん、今日も見るぜ!」
探索者すらも魅了する探索者か。
すごいなー、と俺は思いながら熱狂する探索者達を眺めていた。
すると、そんな俺を見て瑠璃姉が声をかけてきた。
「ちょっと鉄志、話を聞いてる?」
「え? あ、聞いてたよ!」
「ふーん。まあいいわ、とりあえずアンタがいく陽だまり迷宮は攻略するのに十日はかかるから、ちゃんと準備していきなさいよ」
「はーい」
いつの間にかチュートリアルは終わっていたそうだ。
何にしても、これで俺も迷宮を探索できるぞ。
さあ、俺の夢を叶えに行こう。
世界で始めて全てのアイテムをそろえたアイテムコレクターになるために。
いざ征かん、ひだまり迷宮へ!
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