アイテムコレクターの俺が迷宮で有名配信者を助けたらバズった件 やべっ、ドロップしたUUR武器を装備したら一撃で迷惑系配信者を倒したんだけど

小日向ななつ

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第2章

11︰動き出す闇

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★★西鬼優作 視点★★

 いやはや、なかなかに楽しい時間を過ごしましたよ。
 黒野くんにアヤメちゃんか。
 二人とも将来性を感じさせる逸材ですよ。

「ふふ」

 いつか彼らとパーティーを組んで探索してみたいものですね。
 ホント、将来が楽しみです。

 さて、甘い夢を見るのはそろそろやめましょうか。
 あの人に呼び出されてますし、余計なことを考えていたら怒られてしまいますしね。

「遅いぞ」

 私が明かりが乏しい路地へ入ると、白い仮面を被った女性に声をかけてきた。
 身体はいつものようにローブで隠されているが、苛立ちが隠せないのか腕を組んでいることがわかる。
 貧乏揺すりしているのか、小刻みにカカトで地面を叩く姿も目に入った。
 そんな彼女に笑いかけると、苛ついたようなため息が吐き出される。

「合流予定の時間はとっくに過ぎている。そのことをわかっているのか?」
「もちろん。ま、そのことも計算して私を呼び出したんでしょ?」
「わかってての所業か。殴ってもいいか、西鬼?」
「それは勘弁を、菅田火織さん」

 名前を呼ばれた彼女は一度唸った後、ある紙切れを突き出してきた。
 その紙切れを受け取り、私が目を通すと思いもせず目を大きくしてしまう。

「ターゲットだ。そいつをやるぞ」
「迷宮管理局の副支部長ですね。こいつは何をしたんですか?」
「最近、目立っているデブがいるだろ? その雇い主がそいつだ」
「なるほど、それはいいことを聞きましたよ」

 最近騒ぎを起こすデブ。その雇い主が、この男ですか。
 一体どうしてあんなことをしているのかわかりませんが、まあ理由は聞けたら聞きましょうか。

 私はそう考え、ターゲットを殺すための準備を始めようとした。
 だがその時、「ヒィィッ」という悲鳴が耳に飛び込んでくる。

「た、助けてくれー!」

 振り返るとそこには懸命に手足を動かし、こちらに走ってくるやつれた顔の中年がいる。
 よく見るとその中年は迷宮管理局支部に勤めている古田さんだ。
 彼は必死に抱きつくと、こんなことを訴えてきた。

「こ、殺される! 助けてくれー!」

 唐突な言葉に思わず周囲を確認した。
 一体何があったのでしょうか。
 事情を聞こうとしたその瞬間、菅田さんが殺気を放ち始める。

「西鬼、構えろ。お呼びでない客のお出ましだ」

 闇が支配する裏世界との境界線。
 そこから「ふへへっ」と軽薄で不気味な笑い声が響き渡った。

 その声を聞いた瞬間、古田さんは身体をビクッと震わせる。
 慌てて後ろへ隠れ、悲鳴を上げながらは「助けて!」と訴えてきた。

 怯えている古田さんに目をくれず、二人で闇を睨みつけると汚い笑顔が唐突に浮かび上がる。
 メガネの奥にある目をギラつかせながら、アヤメちゃんを襲ったデブが姿を現した。

 菅田さんはそんなデブを見て、拳を強く握りしめた。

「何をしに来た? 迷惑配信者」
「ふへへ、ちょっと腕試しにね。いい武器を手に入れたから、ぶん殴りに来たんだよ」

 確かにお呼びではない客ですね、と心の中で呟きながらトンファーを握り、戦闘態勢を取る。
 するとデブは高笑いし始めた。

「それ、レア度はSRぐらいの武器だね。ふふ、そんなもので僕に勝てると思ってるのかい?」
「あなた程度なら十分ですよ」
「そう。じゃあ、泣いても知らないよ!」

 デブはそう叫ぶと杖を握りしめ、飛びかかってきた。
 それを見た菅田さんは私に叫んだ。

「西鬼、やるぞ!」

 共に迎撃しようと身構える。
 しかし、先ほど後ろに隠れていたやつれた中年が唐突に悲鳴を上げた。

「あああぁああぁぁぁあぁぁぁぁぁッッッッッ」

 その悲鳴は段々と歪んでいく。
 思わず振り返ると、やつれた中年の身体は黒く変色し肥大化していった。

 その肥大化した身体からはさらに四本の腕が生える。
 途端に中年はさらなる悲鳴を上げ、暴れ始めた。

「なっ!」
「これは……古田さん?!」

 生えてきた四本の腕は周りにある建物を殴り壊し、瓦礫が飛び散る。
 かと思えば瓦礫を掴んで力いっぱい投げつけてきた。

 反射的に攻撃を躱し、私達は古田さんから距離を取ろうとする。
 だが、私達の意識が古田さんに向いた瞬間にデブが飛びかかってきた。

「まずは一つー!」

 私は咄嗟にデブの攻撃をトンファーで受け止めた。
 本来ならば何も変哲もない振り下ろし攻撃だ。
 しかし、その攻撃を受け止めた瞬間、持っていたトンファーが砕け散った。

「チッ」

 私はすぐにデブの腹部を蹴り飛ばすが、後ろには暴れている古田さんがいた。

『アァ、アー……助けてッ』

 古田さんは叫びながらえぐり取った壁を私に投げつけてきた。
 すぐに破壊しようと残ったトンファーを握りしめた瞬間、菅田さんが後ろに立つ。

「世話がかかる」

 彼女は強く拳を握り、私でも見えないスピードで拳を打ち出すと壁は粉砕された。
 いつ見ても恐ろしい拳ですね、と私は感心する。

「イタタタ。くそ、もう少しでやれたのに!」

 蹴り飛ばしたデブが元気よく叫ぶと飛び上がるように立ち上がってきた。
 私はそんなデブから視線を外し、壊れてしまったトンファーに目を向ける。
 それは持ち手以外粉砕され、攻撃どころか防御にも使えそうにない状態だ。

 完全に破壊され、もう使い物にならなくなっていますね。

 確認を済ませ、ダメになってしまったトンファーを捨てる。
 すると菅田さんがこんなことを口にした。

「気をつけろ、西鬼。あのデブが持っている武器は【リスキーロッド】だ」
「あれがですか? なるほど、だから私のトンファーが壊れたんですね」
「下手に防御するな。丸裸になるぞ」
「それは嫌なことを聞きましたよ」

 私とデブの相性は悪いみたいですね。
 そう考えていると、菅田さんが前に出た。
 どうやらデブと戦ってくれるようだ。


 なら、私は古田さんをどうにかしましょうか。
 そう考えていると、菅田さんが思いもしないことを言い放った。

「後ろは任せたぞ、西鬼」

 私はその言葉を聞き、力強い笑みを浮かべながら「了解」と返事した。

 トンファーを握り、古田さんと向き合う。
 彼は苦しんでいるためか、近くにある建物をただがむしゃらに殴りつけていた。

『イタイ、いたい、イたい、イタい!』

 彼がそう叫ぶと、唐突に背中が膨れる。
 それを見て私は身構えた。

 直後、膨らんだ背中が爆発し、炎が襲いかかってきた。

「菅田さん、来ます!」
「わかった。任せたぞ」

 私はキャッチクローを取り出し、ビルの屋上にある貯水タンクを掴む。
 そのまま飛び上がると、菅田さんが地面を強く踏みつけ、壁を生み出し防いでいる光景を目にした。

 一面が炎に包まれる。
 そんな炎の中から這い上がってくる古田さん、いやバケモノは叫んでいた。

『助け、助けて、クレ……西鬼、クンッ』

 ビルを登ってきたバケモノは嘆き叫んでいた。
 黒く染まった身体に、増える腕。どんどん肥大化する肉体は人の三倍の大きさがある。

 私は残ったトンファーを握り、そんな大きなバケモノと対峙したのだった。
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