妄想劇場。

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イライラするお客様成敗。

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「だから。このネギちょっと曲がってるでしょ?10円安くならないかしら?」

「ですから、これは有機農法でつくった野菜で…」

「そんなこと関係ないわよ!!私が曲がってるから買ってあげるっていってるのよ?感謝されこそあれ、口答えなんて、あんたの親の顔見てみたいわ。私が若い頃は…」

かれこれ一時間このクソババアは十円の値引きに奮闘している。
スーパーに勤めて早五年、男も作らず、近づくアラサーへのカウントダウン。
そんな中これである。店長の方はと思えば目があった瞬間首をブンブン振っている。
御客第一とは口で言っても現実は違うらしい。
いまだにしゃべっているクソババアを横目に見ながら覚悟を決めた。

「お客様、すこしよろしいでしょうか?」

「何よ!値下げするの?しないの?」

「ともかく、こちらへ」

値引きに応じるかと思いクソババアは眼はこちらを睨んでいるがルージュをまとった口はにやけていた。
キショ。年取ってからの赤は似合う人間はかぎられてんだよ。と心の中で思いつつ、バックヤードに誘導する。

「で?値引きに応じるの?」

まだ、値引きすると思っているらしいクソババア。
だが、私の答えは違った。

「お客様、何か勘違いさってはいませんか?」

「何よ、あんた。あんたの方こそ勘違いしてんじゃないの?お客様は神様よ」

「そうですね…。お客様なら神様です。」

「ほらね。だから値引きしなさいよ。」

「その前に、あちらをご覧下さい。」

「何よ。何もないじゃない。」

私の指が角を指すと、クソババアもそちらを向く。

「あそこには防犯カメラが設置されております。今までのやり取りが全て記録されています。」

「だから何よ。私はお客。あなたは店員。それ以外でも何でもないじゃない。」

「お客様。いや、あなた様のなさっていたことは全て記録されています。つまり、あなたの営業妨害行為が全て。」

「え、営業妨害って私は買い物に来ただけじゃない。」

あせるクソババアに対して私は追い討ちをかける。

「あ、営業妨害でないとしたら?あー、脅喝罪ですか?執行猶予つきの有罪判決をうけたいと?面白いお客様。あ、お客様でなくて、あなた様でしたね。」

「そんなこと言ってただですむとおもってるの?この店のあること無いこと吹き込んでこの店なんか潰してやるから。もう帰るわ気分が悪い。」

目の色変えて迫ってくるクソババアに対して

「ありがとうございます。しゃべられて結構ですよ。ただし、あなたと私どちらが信用するでしょうか?」

不意にスマホを取り出しクソババアに対して向ける。

「な、何よ。何も写ってないじゃない。」

「写ってはいませんね。」

スマホをタップする。

"で、値引きに応じるの?"

◯チューブから今までのやり取りが全て流れてくる。
それを聞いた瞬間、クソババアの顔は一気に青ざめた。

「す、すぐに消しなさい!!」

「え、でも、アカウントもう10万越えてるから無駄ですよ。」

「消しなさい。」

スマホをクソババアが取り上げようとするが

「わかってないですね。ここまで盛り上がるともう無駄です。誰かが拡散しますから。さて、あなたがする事もう全国のかたが興味をもったみたいです。」

「この小娘が!!」

クソババアは我を忘れて私の首を絞めてきた。そこで私は

「キャー!!」

と叫んだ。

「なんだ!」

叫び声に対して警備部の方々が気付き、クソババアは取り押さえられた。

「このお客様が私の首を絞めてきたんです。」

警備部の人にそういうと警察に通報してくれた。

「この、小娘が!!」

とまた、近づいてくるも警備部の人に取り押さえられるので私のそばまではこれなかった。

結局、クソババアは警察に連行されていった。
暴行罪の現行犯逮捕だ。
私は、許すつもりもないので起訴になるだろう。

後日、クソババアは執行猶予付き判決を受け出所したらしいが私の所に復讐に来る余裕はないはずだ。

◯チューブに上げた音声が拡散され、彼女の自宅がばれてものすごい苦情電話と、追いかける人が増えたらしい。

近々引っ越すつもりらしいのでこのスーパーへ来ることもなくなるだろう。

お、シフトが終わる。

「お疲れ様でした。帰ってビール飲も。ビール、ビール。」

他人が不幸になろうとも、彼女の脳みそにはビールしか無いのであった。












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