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14,経過順調→仕上げ。
しおりを挟む手紙を見ながら、ヒューリアは微笑んでいた。
「ヒューリア様、御機嫌ですわね」
優しく笑いかけたメイドにヒューリアがまた微笑んだ。その笑顔は本当に、女神のような微笑みだった。
「えぇ、とてもいいことがあったの」
「そうですか?…旦那様が心配しておられました。ルイス王子とのことで…」
「……心配しないでいいのに。とてもいい気分なの、全部私の思い通りだもの」
「…え?」
とても順調。国王までもが私とカインの味方。ルイスは必死で抵抗しているようだけれど、きっとそれも長くは続かない。
「ヒューリア様、あの…」
別のメイドが遠慮がちに入ってくる。
「どうしたの?」
「その……カイン王子が、ヒューリア様にお会いしたいと来ておりますが…」
あら、どうしたのかしら。
ーーけれどいいわ。とても好都合。そろそろ目立った行動をしてもらおうと思っていたの。
「カイン様」
「ヒューリア。……機嫌が言いようだな」
「えぇ、とても。ところで何の御用で?」
「そろそろ来るべきかと。違ったかい?」
あぁ、やっぱり。この人はタイミングを分かってくれている。
「いいえ。ちょうど良かったですわ、少しお出掛けになりませんこと?」
「どこへ?」
「街へ」
「だが、街では人目がーーーあぁ、そういうことか」
忘れてはいけない民のこと。
民の力は凄い。ほんの少しの出来事ですぐさま噂になるのだから。
「行こうか、お姫様?」
「お戯れを」
さぁ…そろそろ仕上げにかかるとしましょうか?
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