婚約者を見限った令嬢は、1年前からやり直す。

伊月 慧

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5,婚約式

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 これで三度目の婚約式だ。

 毎回、言うこと為すこと料理と、全て同じ。けれど前回と違うのは、出席者にリーザ・ミントン男爵令嬢が来ていたことだ。


「あの…ヒューリア様」

 遠慮がちに声をかけてきたリーザに、周りが顔をしかめる。当たり前だ。男爵令嬢が侯爵令嬢に声をかけるなど、礼儀ではない。

 あまりの不作法にこちらも顔をしかめそうになったけれど、何とか我慢する。

「あら、ミントン男爵の。お会いするのは初めてね」

 初めて。それを周りに聞こえるように言うと、さらに顔をしかめた者たちがいた。
 貴族階級が違っても、友人として付き合うことはある。だから声をかけることはあっても、初対面で自分より上の階級の者に話しかけるなどあってはならないことだ。声をかけられるまで待つのが常識だというのに。

「はい、リーザ・ミントンと申します。お初にお目にかかります」
「この前、男爵にお会いしたわ。お元気?」
「はい。お気遣いありがとうございます、ヒューリア様」
「あなたとは同じ年だと聞いたので、話してみたかったのよ。パーティーに参加してくださって嬉しいわ」
「あ…ありがとうございます。あの、ご婚約おめでとうございます」
「ありがとう」

 もう一度よく品定めしてしまう。こんな自分が嫌だけれど、容姿は平凡だ。特に美女だとか、そういうのはない。そんな平凡なところにルイスは惹かれたのだろうか。

「…ルイス様とも仲がいいと聞きました。よろしくね」

 にこりと笑ったヒューリアに、少し驚いた顔をしたリーザが慌てて頭を下げた。

(ーーなによ、私が何も知らないと思ったの?)

 それにしても、ルイスが見当たらない。

(どこへ行かれたのかしら?)

 廊下に出ると、ルイスがいた。
 そしてそこには懐かしい……カインも、いた。

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