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6,恋人
しおりを挟む「美しい女性だな、ルイス」
おめでとう、と呟いたカインがワインを飲んだ。
「ありがとうございます、兄上。出来るだけ早くに結婚も済ませようと思っております」
「そうなのか?……そうか」
「兄上はリーザと?」
リーザ。出てきた名前に、ヒューリアは耳を疑ってしまった。カインはリーザを知っているのだろうか。
「…いや……私は王となる身だからな。リーザのことは可愛いと思うが、その程度だ。男爵令嬢と結婚は出来ぬからな」
「では側室に?」
「そうだな……まぁ、恋人としてはもう少し付き合うさ」
その意味を理解するのに、少し時間がかかってしまった。リーザとカインは恋人なのだろうか。次期国王となるカインが。
「ーールイス様!」
事実ならば、どういうことだろう。初めの時、リーザはルイスと付き合っていたのではなかったのだろうか。カインと付き合っているなんて。おかしい。
「ヒューリア?何故ここに…」
言いかけて、ルイスがハッとしたようにカインの方を向いた。そしてカインに紹介する。
「…兄上、ヒューリアです」
「ーーー近くで見ると、ますます美しいな」
息を飲んだカインをルイスが睨む。
「僕の婚約者ですよ」
「……そうだったな」
なんだろう?この違和感は。
「お初にお目にかかります、カイン王子。ヒューリア・アルテミスと申します」
「あぁ。アルテミス侯爵にはいつも世話になっている」
「こちらこそ、いつも父がお世話になっております」
ドレスの裾を掴んでお辞儀する。
「いつも父からカイン様のお話を聞いておりますの。お会いできて光栄ですわ」
「こちらこそ、こんな美女と会えるなんてな。渋々だが、今日来ていて良かったよ」
やはりカインは戻っていない。
それにしても。どうしてリーザの恋人がカインならば、ルイス様といるのかしら。ルイス様と噂になるくらいなら、いつも側にいるのだろう。なぜ?
「…では、兄上。もう行きます」
「!……そうだな。主役二人が抜けては不味いだろう。…ヒューリアも、また会おう」
いきなり呼び捨てなのね、相変わらず。
「えぇ、カイン様。また機会がありましたら」
ペコリと頭を下げ、広間へ戻る。
「…ヒューリア」
「なんでしょうか?ルイス様」
「兄上のことをどう思った?」
「は?」
「……いや…なんでもない」
ルイスが何を言いたいのか分からなかったけれど、気にしないことにした。
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