婚約者を見限った令嬢は、1年前からやり直す。

伊月 慧

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 翌日の昼のことだ。
 痛い腰を持ち上げて、無理に部屋を出た。その部屋にルイスはもうおらず、ヒューリアはとりあえず身だしなみを整えて部屋を出たのだ。

「ヒューリア?」
「ーーカイン様…」

 最悪のタイミングだった。

「どうして君が城に……あぁ、ルイスの部屋に泊まったのか」

 ふんっと鼻を鳴らしたカインは別に、私に一目惚れなどしていないのだろう。

「はぁ…」
「…あぁ、そうだ」

 昨日、覗き見していたことがバレる前に立ち去ろうと思ったのだけれど。

「これだけは伝えておく」
「はい?」
「私は君を気に入っている。その意味が分かるか?」
「は?」
「…いつでも私のところへおいでという意味だよ」

 あぁ、なるほど。ここでもどこでも、カインの考えはいつも同じ。

「カイン様はルイス様をお嫌いですものね」
「ーーなに、」
「本当はルイス様がお羨ましいだけなのに」
「なんだと?」
「私を使ったところで、ルイス様に嫌がらせなんて出来ませんよ。…それから」

 ついでに言っておこう。

「王妃に興味はありませんので。貴方の婚約者になることはまずありえません」
「ーー面白い」

 では、とカインが耳元で呟く。

「必ず私のものにしてみせるさ」

 と。

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