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14,[カイン視点]父親
しおりを挟む私の父は、父である前に王だ。
そして私もまた、子である前に王子だ。
(…そうか…)
私は王位など継ぎたくなかったのだ。そして、王子ではなく、一人の息子として、父と。
「…なんだと?」
しばらく聞いていなかった声が、心臓に突き刺さるほど重い声で問いかけてくる。
「今、なんと申した?」
その姿を見て、彼女…ヒューリアも真っ青な顔になった。先程の言葉を聞かれたから。
「父上、これは…」
「カインは黙れ。…なんと申した、と聞いておる」
確かにカインの本心だが、それをヒューリアは口にしてはいけなかった。不敬罪……では済まないだろう、間違いなく。
「…あの、王様…」
「ーーこんな場所で話をしていては、誰に聞かれてもおかしくないだろう。それにルイスではなく、カインといるとは…噂が立っても文句は言えまい」
それに気付き、ハッとする。確かにこんな場所では誰に聞かれてもおかしくない。それに、噂が立って困るのはカインではない。ヒューリアだ。
きっと父上なりに気を遣って言葉を発しているのだろう。
「申し訳ありません、王様っ…」
バッと頭を下げるヒューリアに続き、自分も頭を下げる。
「私も、配慮が足りませんでした。申し訳ありません、父上」
「…ふん。……カインは後で私の元へ来るが良い。その時に話をしよう」
そう言葉を残して去っていった父を見て、心臓がバクバクと鳴る。
ーーどうしたものか。
「あの…」
「! なんだい?ヒューリア」
「申し訳ありません、王様の機嫌を損ねたのでは…」
心配そうに尋ねるヒューリアに笑って答える。
「まさか。あの方は気を損ねたら、何も言わずに去っていくよ」
だから不可解なのだ。
部屋に来い…なんて。自分が生まれて初めてでないだろうか。
父親。けれどその前に、国王。
さてーー本当に、どうしたものかな?
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