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26,不思議な体験
しおりを挟むルイスの戻った一度目の話では、ヒューリアは恋人がいたらしく、フツーに振られたそうだ。
二度目は戻ったことを逆手にとろうとしたものの、カインにあっさり取られたという。その後も平民、下級貴族、挙げ句にはルイスと婚約して間も無く、ヒューリアは婚約を破棄して他の男とくっついたという。
「お、お待ちください。私が意思を持って行動したのは、ルイス様が私より先に亡くなられた時だけです」
「分かっているから、余計に分からない。ーーこれ以上考えるのはどうも、しんどい」
「私もです…」
熱かった紅茶はとっくに冷めきり、お茶菓子は固くなっている。
「…僕が死んだから追いかけて来てくれたと言ったな。僕とやり直すために」
「ーーそうです」
「なら、僕は初めから君に好かれていて、今もその気持ちは変わらないということでいいのか?」
「ルイス様、それは…」
「いいんだな?」
目の前にルイスの顔が迫ってくる。
「今まで、何度言葉を交わしても君は僕のものにはならなかった。…答えて」
「っ……ずっと、」
こんなことを答えるなんて女人としておかしいのだと分かっている。けれど今は常識などより、ルイスの求める答えを出したかった。
それはヒューリアが何度も言いたかったことでもある。
「ずっと、愛しております」
「ーーもう、僕のそばを離れるな」
「……私でいいなら、…ずっと、貴方のそばにいさせてください…っ」
そんなヒューリアの言葉に、ルイスがこれ以上ないほどの笑顔をヒューリアに向ける。
「もう、逃がさない」
普通に聞けば不思議なその言葉の意味が分かるのは、お互いが不思議な体験をしたからだろう。
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