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本編
2日目~咲良side~
しおりを挟む浮気はやめて。
そう言った次の日、彼は私に携帯を見せてきた。
「これ。消したから、…女の連絡先」
「…うん」
正直、驚いた。
1度言うだけでやめるとは。
もっと早くに言えば良かったのかな?
「ありがとう、煌夜」
「…それで?なんだよ、いきなり。お前が泣くとかありえねーって思ってたのに」
そりゃそうだ。私は生まれて此の方、この男に涙なんて見せたことはない。
「…たまにはいいかなって」
「あ?」
「たまには、泣いて甘えるのもいいかなって思ったのっ!」
「んだよそれ。…まぁお前、俺と別れるなんて出来ねーもんな。俺にベタ惚れだろ」
「そうだよ?」
「……は?」
いつも私は素直になれないよね。
だから、あと1年で終わるんだから。少しくらい素直に甘えてみようかな。
「ずっと煌夜が好きって、告白した時に言ったでしょ?別れるなんて出来るわけないでしょ」
「だーかーらー……なんなんだよ、本当……なんかあったのかよって聞いてんだけど」
「…ないってば。本当に、なにもないの。ただ、本当に煌夜が大切だから」
だから、許して。
ウソばっかりつく私を許して。
「…明日から学校だね。…課題、終わった?」
「終わってねーよ。いいじゃん、どうせお前が見せてくれるし」
「もー…」
まぁ、私が見せられなくなっても他の友達が見せてくれるだろう。これは大丈夫。
「…そーいえばさ、次の料理部でケーキ焼くんだって?俺に寄越せよ」
「どこで聞いて来たのよ…。ていうか煌夜、甘いもの苦手じゃなかった?」
「お前のケーキ、貰ってくれるヤツいねーんだろ」
「なによそれ、失礼ね」
というか元々、煌夜にあげるために紅茶のシフォンケーキ作る予定だったのだ。
(まぁ、もらってくれるって言うならいいか…)
「んだよ?」
「…別に。煌夜のだーい好きな砂糖、たっくさん入れておくね!」
「おい!…ったく…」
いつも言うのもあげるのも、私から。
だからこの時、煌夜の言葉が本当に嬉しかった。
“寄越せよ”
煌夜はきっと知らない。
私がその言葉で、どれほど喜んでいたか。
きっと彼は、永遠に知る由もないのだろうけれど。
伝えることが出来ないのが、本当に残念。
伝えたらきっと彼は。
…私が本当の望みの通りになるから、言えないの。
ごめんね、煌夜。
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