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本編
16日目~煌夜side~
しおりを挟むバキッ、と鈍い音が響く。
ほとんど人の来ない病院の廊下で倒れたのは、湯島弘樹だった。
それを見下ろすように立っていたのは、紛れもなく煌夜だった。
「…なんでアンタにそんなこと言われないといけねぇんだよ」
静かに言った煌夜に、弘樹は笑った。
その拳は、煌夜の敗北宣言のようなものだった。
***
昨日、咲良が倒れたと思いきや、病室を追い出された。その後駆けつけたおじさんとおばさんが泣きながら別の部屋に連れていかれて、俺はどうしようもなくなって帰った。
そして今日、もう一度病院に来ると、弘樹先輩がいた。
「…中西と別れろよ」
それが弘樹の第一声だった。
「俺の方がお前より、中西のこと好きだ!ずっと好きだった!」
「…それは知りませんけど、咲良とは別れません」
多分、自分は焦っていたのだ。
弘樹のような完璧人間に彼女を取られる。そんなシナリオが簡単に頭に出来てしまった自分に焦り、苛立ち、悔しかったのだ。
「お前が中西の何を知ってるんだよ?俺は全部知ってる!入院した理由も、」
「…俺だって」
「嘘つけ、どうせ何も知らないんだろ!中西が言ってたぞ!煌夜には嘘をついてるってな!」
そのあとに続いた言葉に、カッとなった
「中西はなぁ、心臓病なんだ!あと一年も生きられるか分からないんだぞ!」
ーーお前より俺の方が、幸せに出来る。
そう断言した弘樹に、勝てないと思った。それでも殴ったのは、自己満足。
けれどそれは、敗北宣言となってしまった。
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