浮気癖夫が妻に浮気された話。

伊月 慧

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 元義母は香織の顔を見るなり嫌そうな顔をした。
 香織も同じような顔をしそうになったが、陽一が後ろに隠してくれた。

「…お久しぶりね、香織さん。挨拶もなしにいなくなったから、もう一度くらには会いたいと思っていたわ」

 あからさまな嫌味に、顔をしかめたのは陽一だった。
 それが気に入らなかったのか、義母はふんっと鼻を鳴らす。

「いやねぇ、すぐに他の男の元へ行くなんて。汚らわしい…」
「ーー何様のおつもりかは知りませんが、妻に失礼なことを言わないでいただけますか?」

 陽一もそれなりに苛立ったようだ。

「妻、ですって?もう再婚したというの!?」
「…広瀬さん、申し訳ありませんが」

 もうこの人は私の義母ではない。

「体調が悪くなりましたので、失礼します」
「なっ…!」

 この人を見ていたら本当に気分が悪くなる。

「あなたねぇ!!」

 振り上げた手に、香織が目を瞑った時だ。

「…やめてもらえますか。もう貴女と香織は何の関係もない」
「放しなさいよ!」
「放しますとも。金輪際、もう関わることもないでしょうし。…香織、帰るぞ」

 唖然としている元義母に、背を向けた。
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