80 / 102
79
しおりを挟む広瀬和樹を好きになってしまった。
それが何を意味するか、私は自分で分かっていたはずだ。傷付きたくなかったのに私は好きになってしまった。
あの頃のように。
告白を了承されて、涙が出た。この人は変わってしまった。だから私はフラれる覚悟だったのだ。
「お、おい、泣くなよ」
彼の焦った声が聞こえたけれど、私はそれでも泣き止むことができなかった。
彼の言葉が嬉しかった。
「お前となら、もう一度スタートラインから始められる気がするんだ」
同じことを考えていたから。
「私も、同じこと考えてたっ…!」
そう言って顔をあげる。彼は少し驚いたような顔をして、それから笑って、「うん」と気恥ずかしそうに笑った。
それでようやく、私も笑うことが出来た。
それから和樹とは頻繁に会うようになり、昔と違い浮気をされることもなく。
和樹曰く、
「失った時間は戻ってこないから、今、お前を大事にしたい」
そう言ってくれた。欲を言えば前の奥さんと比べてほしくはないし、出来ることなら忘れてほしい。
けれど取り敢えず、今のままで十分だと私は思う。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,418
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる