螺旋の操り人形

近未来的サイト

建物の中に立ち込める薬品の臭い。
無数に置かれている実験道具や何か大きな機材達。
その中に、彼は居た。
まともに電気も付けず、暗い中で画面に向かう。その中にはモニターが3つほどあり、複雑なキーボードの様なものを操作している。
彼はこの施設の所長を務めていた。
...とは言っても、人には言えないような極秘の研究をしているのである。
｢うん...やはり傑作だ！｣
モニターに映るのは1人の女性の姿。
その女性はコンビニの袋を片手に道を歩いている。どうやら住んでいるアパートへ帰っているところの様だった。
その姿を確認すると、所長は手元に置かれたキーボードのキーの内のひとつを押した。
｢あんまりいじると良くないな。早く仕上げなければ...！｣
画面の中では、キーボードの操作に合わせて女性が行動している。
しかし女性は行動をコントロールされているという事実には気が付いていないようだった。
いつも通り、家に向かっているといった風に歩いている。
所長は食い入るように画面を見つめ、キーボードを操作した。
そんな所長の背後には配線が入り組み、その下には簡易的なベッドが置かれている。
そこには1人の女性が寝かされていた。
配線は彼女の頭に取り付けられた機械へと続いている。
所長は一度立ち上がると、その女性に近づき、声をかける。
｢...君には申し訳ないと思っているよ。だが、これは素晴らしい実験なんだ！
君もそんな実験に携われて、嬉しいだろう...？？｣
所長が額に手を添えるその女性は、画面の中で日常を送っていた、あの女性であった。
所長は彼女の額から手を離すと、ニヤリと不気味な笑みを浮かべた...。